第二十七話
第二十七話です。
「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
「うるさいなー、こんなことでいちいち騒がないでよ。小指をちょっといじっただけじゃない。」
「うぐゎっ、ぐぎっぐるっ、はぁはぁはぁあ、っっ!」
やばい…これが最低でも後九回……
耐えられる気がしない…絶対死ぬ!!
悲鳴と同時に出てきたよだれが自分の足に伝っていった。
「次…」
真由美がそう言うと、左の薬指をロックオンした。
やばい…次の攻撃が来る!
薬指の包丁をかけると再び例の記憶が流れた。
しかしさっきの続きではないらしい。
同じ人の記憶だが、また別の場面のようだ。
◇
暗い…。
城ヶ崎はゆっくりと目を開けた。
なんだ…?牢屋か…?捕まっているのか?
手に鎖が繋がれており、その終点には重りが結びつけてある。足にも同じような重りがある。拘束自体は緩いが重りが重くてとてもここからの自力脱出は不可能だと判断する。
捕まっている檻のようなものは脱出するとしても目の前にある鉄格子を突破せねばならない。正面の鉄格子以外の壁と天井、床はコンクリートで固められている。
しかも、触ったり叩いたりする感じ、壁の向こう側は空洞ではないようなので破壊して脱出することもできなさそう。
もっとも今の城ヶ崎に破壊するような力や技術はないが。
しかし、自分から見て真後ろつまり鉄格子の真反対の壁にだけは自分の身長では届かないほど高いところに鉄格子で遮られている小窓があった。
その小窓から月明かりがかすかに見える。きれいな夜だ。
コツコツと鉄格子の外の廊下から足音がする。
鉄格子の前で足音が止んだ。
暗くてそれに、影でしか判断材料はないし、誰かはわからないが体型や雰囲気からしておそらく女だ。
「おはよー起きた?もう夜だよ?いや、まだ夜だよ?かな?」
声をかけてきた。
やはり、女の声だ。
雲に隠れていた月が私達を照らす。
一瞬だった。けど、はっきりと確信をもつことができた。
ネイサだ。
ネイサは思春期に恋愛をする女子高生のような初々しい『恋』の表情を浮かべている。
何か獲物を狙う目、そんな感じがした。
「私をどうしたいの?ここから出して!」
「それはもちろんあなたの全部がほしい。けれど、それは叶わなかった。だから無理矢理でも実現させて見せる。」
「!?」
ネイサは後ろから短剣を取り出した。月明かりが短剣の刀身に反射して光輝いて見える。
「一体それで、何をするの?」
「あなたの見た目はすごく好みなのよね。でも、少しうるさい。そんなうるさいのは黙らせる。」
「答えて!それで何をしようっての?」
「だーかーらーうるさいからー殺して私の部屋に飾るのォ!」
くっこいつ、正気か!
ネイサが短剣を構え私の方に突進してくる。
やばい…止めなければ、死ぬ!
手で攻撃を防ごうとし、防御体制をとったところ防御体制に入る瞬間に、片手がちょうどネイサの頭をかすった。
たまたまだった。いや、これもまた、運命なのかもしれない。
城ヶ崎自身もこの能力については気づいてない。
そう、ネイサの頭に触れたとき、ネイサの記憶が一部削除されてしまったのだ。
しかも、幸運なことに削除された部分は今のほんの数時間前の記憶。城ヶ崎瑠奈を殺そうとした記憶だったのだ。
能力は前々から持ってはいたが、発動の仕方がわからなかったため、能力の存在自体に気づくことができなかった。
これが、これこそが城ヶ崎瑠奈の能力なんだ。記憶操作系能力者なのだ。




