第十九話
第十九話です。
俺とアリシアはなんとか異世界にとどまることができた。
「はぁはぁはぁ……」
本当に危なかった。だってアリシアが能力を使っているときに暴れ出すんだもん。
とっさにアリシアを気絶させてうまく能力を使えたから良かったけど……
色々と事故ったし、城ヶ崎もいなくなってしまったので模擬戦は中止となった。
その場にいた観客達は皆不満そうに帰っていき(観客と言っても一般市民とかではなくて、一応は全て王室の人間)、アリシアは気絶しているので城の中にある治療室のベッドで回復を待った。俺とアーサーはというとひとまずギル部屋を使わせてもらうことにした。
「なぁ樹、ありゃぁ何だったんだ?」
ギルが質問してきた。
「さぁな俺だってさっぱりだ」
「でも、樹だってその城ヶ崎?ってやつ知っていたじゃないか」
「知ってるだけだ」
「じゃあ、なぜ俺と城ヶ崎の戦い中に現れた謎の『扉』に引き寄せられたんだ? 何か知ってるんじゃないか」
ギルが探りを入れてきた。
「わからないただ、あの時はまるで操られているかのように自然と引き寄せられたんだ
だから、俺もなんとも言えない」
「でもよほんとに不思議なのはアリシアだぜ。『扉』の前に引き寄せられる時に何かを呟いてやがったんだ」
アーサーは俺とギルの会話に割って入った。
「何かって…?」
たしか、ギルはあの場にいなかったな。
「たしか…『時間、空間、無限、支配、復活、略奪、模倣、記憶』って言ってた気がするぜ。その後だったよな樹とアリシアが『扉』に向かっていったのは」
「そういえばそうだったななにかの暗号とかか?」
「なんだ、樹とアーサー知らないのか? 神のことだよ」
「?」
神……
「え?ほんとに知らないの?」
「ああ、ギル、説明を頼む」
「俺も子供の時ばあやに聞いた話なんだけどよ
この世の全ての物を作ったとされる8人の神、さっきアーサーが言っていた時間、空間、無限、支配、復活、略奪、模倣、記憶これらを司る神のことだよ
まず時間と空間の神が世界となる土台を創っていき、無限と復活の神が自然界の法則を生み出し、支配と略奪と記憶の神が人類を創り、模倣がその人類や動物、植物といったありとあらゆる生物の『最初』をコピーして生産していった。こうして今僕達は生きている。
ま、そんなかんじだ。」
「なるほどな」
「時間、空間、無限、支配、復活、略奪、模倣、記憶これらの能力を与えられし者はその神をうまれかわりだそうだ。」
突然、ギルの部屋のドアが開いた。
アリシアだ。
どうやら回復したらしい。
「お、待ってたぜアリシア。さ、聞きたいことは山程ある。
話してもらおうか」
「え?何のことです?」
は?……
「アリシア、お前何を言ってる?」
アリシアはいつも道理で何を言っているのだろう?という感じでこちらを見つめてくる。
「だから、なぜ、俺とアリシアそして、城ヶ崎を含めた計8人は『扉』の前の招集されたんだ?」
「さっきからおっしゃってる意味がよくわからないんですが? だって私達はギル君の試合を見ていて、それで……気づいたら城の治療室のベッドにいたわけなんです。 何があったか聞きたいのは私の方ですよ。」
「おい、ふざけてるんじゃねぇぜ、こっちだって何もわかってないんだ。」
ギルがアリシアを睨みつけて言った。
「ほんとに何を言ってるんですか?」
それでもアリシアは相変わらず何を言ってるのかわからないらしい。
一同イライラを隠せないままでいた。
そんな時、またしても部屋のドアが開き、誰かが入ってきた。
「あ、回復術師さん」
「アリシア、知り合いか?」
「知り合いも何もさっき私を回復魔法で治してくれた方ですよ。先程はどうもありがとうございました。」
「いえいえ」
その回復術師というのはこの城の回復役を担っているアルローという老人だ。なんでも凄腕の回復術師らしい。
「先程、アリシア様の様態を見てみましたがどうやら記憶が削除されてしまっているようです心当たりは?」
「ある。たしかあの時城ヶ崎が記憶消去能力を使っていた。
俺はなんともなかったので大丈夫だと思っていたがアリシアは能力を少しくらっていたということか?」
「おそらく、では私からの報告は以上です。」
そう言ってアルローは部屋を去っていった。
俺達はというと状況をまだ飲み込めてないままで沈黙が続いていた。




