第十八話
第十八話です。
翌朝、
さ、城に向かおう。
俺達は再びイコラメコヒケの城に出向いた。
「おい、来てやったぞ! さっさと開けろ!」
門番が扉を開けた。
「王の許しが下った。入れ。」
俺達は門番に連れられ王室へと向かった。
「父上」
「おお、ギルか」
なんとそこにいたのは王であるカールとその護衛だけではない。
城ヶ崎琉奈らしき人物がいた。
初めて会ったときは制服だったのでドレス姿に花の髪飾りの彼女に若干の違和感があるが多分、城ヶ崎本人だ。
見た目は同じで雰囲気が違っているように感じる。
その様子は客というよりはこの家の人と同じぐらいの扱いを受けているように思えた。
「そちらの方は?」
反射的に聞いてしまったが我ながら冷静だったと思う。
「次期王候補だよ。君には関係ないと思うんだが。
それよりギル、お前だいぶ強くなったみたいだな。」
「……」
「だが、少し遅かった。ここにいる城ヶ崎琉奈という女性を次期王として私から推薦しようと思う。」
嘘だろ、城ヶ崎が王候補……
どうなってやがるまず、『城ヶ崎琉奈』という日本人の名前で通っているのが不思議だ。
ひょっとして俺と同じ異世界転移者なのか。
「じゃあ、俺は王にはなれないということですか?」
ギルが言う。
「ああ。弱いやつに興味はない。」
そうだった、この国は実力主義だった。
でも、そこには明確な親子としての愛情がきっとあるはずだ。
それをギルはたしかめたいのだろう。
それプラス俺の目的を達成されやすいのは……
「じゃあよぉーなにかそこにいる女のほうがギルよりつええのかよー
だったら、ギルとひと勝負しても良いんじゃないんですかー?
実力主義なんだろ?」
ゾンビ戦で見せたギルの素早い動きなら勝てるかも。
「樹……」
「模擬戦って形でどうですか?」
「そこまで言うなら受けて立とうではないか。いいよな琉奈?」
「はっ、王のお望みとあらば」
城ヶ崎がその場で王にひざまずく。
俺達は王の承諾を受け、模擬戦をやらせてもらう事になり、闘技場へ場所を移動する。
闘技場はまんまコロッセオのような見た目で、観客席で囲まれていてその真ん中で試合を行う形式だ。
二人にはそれぞれ剣が与えられ勝負するらしい。
ルールは以下の通りだ。
・殺してはいけない
・相手が負けを認めるまで続ける
・能力の使用が可能
簡潔かつシンプル!
「両者構え!」
審判が合図をする、とうとう始まるのだという緊張感が観客席で見ている俺達にまで伝わってくる。
二人が、それぞれの構えに入った。
審判の『始め!』という合図と、同時だった。
闘技場の空中に『それ』は現れた。
「なんだありゃあ?」
何かはわからないが、『扉』のようだった。
宙に浮いている、『扉』だったのだ。
そして、城ヶ崎は空に飛び、『扉』の前に立つ。
「条件がそろった。」
城ヶ崎が何かを呟く。
その声は俺達のところには届いていないがなんとなくわかる。
意思疎通ができているようで気持ち悪いがわかってしまう。
「おい、降りてこい!」
ギルが城ヶ崎に向かって言った。
「おい、君戦わないなら負けとみなすよ」
審判が忠告する。
「黙れ」
城ヶ崎が怒った顔をしながら審判に向かって言った。
それから、城ヶ崎は手からレーザービームを出し審判を焼き切る。
「死ね」
城ヶ崎は淡々としている。
攻撃を当てた箇所から蒸気が出ており地面が焦げている。もう、審判の体の原型は跡形もなくなってしまっていた。
観客達を皆うろたえる。これはほんとにあの時いじめられていた城ヶ崎琉奈なのか?
そして観客席で一緒に見ていたアリシアが突然何かに乗っ取られたみたいに喋りだした。
「時間、空間、無限、支配、復活、略奪、模倣、記憶」
な、なんだ?何を言っている?
「私は、模倣」
「どうした!? アリシア!!」
「今、この場に揃った。」
一体、何が起こっているんだぁぁぁ!!
な、なにかやばい、気がする。
観客席から3人(全員女のようだ)、その『扉』の前に招集されたかのように宙に浮いて行った。
そして、俺とアリシアも自然と『扉』の前に引き寄せられた。
引き寄せられた俺達は『扉』を中心に円を描くような状態でいる。
俺の隣はアリシアと知らない女の人だ。
城ヶ崎は俺から見て対角線の向こう側に位置している。
さっきのアリシアのようなことを城ヶ崎も言った。
「私は、記憶」
他の観客席から引き寄せられた3人も同じことを言っていた。
「私は、支配」
この女、どっかで見たことがあるぞ
「私は、略奪」
「私は、無限」
「私は、時間」
っふぐ口が勝手に、
「空間と復活が来てない。まぁ、いい」
城ヶ崎は変わらない口調で言った。
「空間と復活は死亡した」
アリシアが城ヶ崎に説明する。
「まぁいい、この『扉』は『時間、空間、無限、支配、復活、略奪、模倣、記憶』の8つの能力が『異世界』でという条件の元能力を使用し、かつこの中の誰かが王になった時に現れる。
今現れたということは現王であるカールはそこにいるギルではなく私を『確定』として選んだようだ。」
なんなんだ一体……
「準備が整いました。これより現実世界に逆転移を開始します。」
なに!? 逆転移はまずい、向こうに行って能力が使えるとは限らない。
それに、こんな状況になってしまったがこの後学校で起きる城ヶ崎を助けなくてはならない。
ミスったら終わり覚悟で逆転移する瞬間、ギリギリで能力を使って脱出するしかねぇ
ほんとは城ヶ崎にも能力を使いたいのだが、なんせ俺から一番遠い。
なので、アリシアを一緒に戻す対象に選ぶことにする。アリシアにも言いたいことは山ほどあるからな。
突然、『扉』が光だした。それはもう神々しく神秘的だった。
今だ、この瞬間、直感で理解できる。あの時俺が異世界に転移した時と同じ感覚。
俺は自分自身とアリシアに触れ、能力を発動する。
『能力発動、時間改変過去!!!』
俺の目は最後、城ヶ崎がひどく焦っている光景を写した。
「やばい、だめだ時間と模倣がいなくなるぅぅぅぅ!!!」
『能力発動、記憶消去!』
時間と模倣の記憶を消し、『支配』ちゃんの能力で従わせ……
ギリギリ城ヶ崎達はうまく逆転移して行き、俺とアリシアは能力の射程を逃れ、異世界にとどまることに成功した。




