第十六話
第十六話です。
「雑魚が何人来ようと私のジャイアントキングゾンビちゃんには勝てねぇつってんだろー!!」
女は少し焦っている。
今度は全方位射撃。
十本の指からゾンビを噴射。
しかし、樹の能力で『戻って』行く。
たまに樹が取りこぼしてしまってもギルとアーサーが相殺していく。
「うわわわぁぁぁぁぁぁやばいぞ!!!
死ね、死ねぇぇぇ!!!!」
「おいおい、どうした声出てんぞ
もしかして、、、焦ってんのか?」
アーサーは女を煽る。
樹の能力で、巨大ゾンビは『戻る』反動を受け、体のバランスを崩し、よろける。
巨大ゾンビはついに膝を地につけた。
「もういい、最大出力だ」
巨大ゾンビは攻撃を止め、女は空いっぱいに両手を広げる。
そして、そこに何かが集まって来た。
「ぎゃははははは、表皮、川、湖沼、海そして空気に、あらゆる場所にそれはある。
そう、動物や植物、微生物の死骸だ!!!!
操れるのは人間だけじゃねぇんだよぉ!!!」
そして、その溜まった死骸を玉状にし、俺達に向かって投げてきた。
「ぎゃはははは今度こそ死ねぇぇぇ」
「はぁ〜」
俺は呆れ、ため息をつく。
飛んできた玉を受け止め、能力を使用した。
「『時間改変過去』
そういえばあの巨大なゾンビ、核があるといっていたな」
こんだけ大きければ十分だろ。
死骸の時間を戻し、戻した反動で巨大ゾンビに直撃する。
「核を見つけるのがむずいなら、核ごと全てを吹き飛ばしてしまえばいい」
「ぎゃああああああああああぁぁぁぁぁ」
女は悲痛の叫びを上げる。
巨大ゾンビは解体し、女だけが残った。
俺達はすぐさま縄で女を拘束した。
ギルとアーサーがアリシアの治療を受けるなか、仲間達には聞こえないように情報を聞くことにした。
「戻す時間と飛ばす時間を混ぜて打った。
ギリギリ生かしてやったぞ。
さ、クライアントの情報を吐け」
「話さないと言ったら?」
「食べ物が全て青く見える呪いをかける」
「それは、結構きついね」
女は笑いながら言った。
「わかった、言うよ
その代わり、私と結婚して? 樹のこと好きになちゃった♡」
断固拒否する。忘れてはいけない、こいつは俺を殺そうとしたやつなのだ。
「じゃ、聞かないわ
元気でなー」
「うそうそうそ、ちょっとまってよー意地悪
話すから、無条件で話すからぁ」
仲間のもとに戻ろうとする俺を必死に止める。
「じゃ、聞いてやろうじゃないの。で、誰なんだクライアントは?」
「そ・れ・は、ア・・・」
「え?」
これ以上女は声を上げなかった。いや、上げられなかった。
クライアントの名前を言おうとした瞬間固まって動かなくなってしまった。
「おい、どうした。しっかりしろぉぉぉぉぉ!!」
そう、死んだのだ――
後で、アリシア達から聞いたのだが死因は『呪い』だそうだ。
何らかの発動条件の元発動する呪いだそうだ。
やはり情報を話すことがトリガーだったのだろうか。
それよりもア・・・の後が気になる。
女は名前を言おうとしていた。つまり、考えられるのはアリシアということなのだ。
考えたくもないが確かにアリシアにはいくつか不審な点がある。
一つ、一番最初だ。俺が異世界転移することになったタイミング。
城ヶ崎琉奈を助けようとした時に転移したこのタイミング、いくらなんでもタイミングが良すぎる。
二つ、アリシアは俺を異世界召喚した理由について言っていない。
最初はレッドファイヤードラゴンを倒すためだと考えていたが、レッドファイヤードラゴンのランクは7アリシアは8だと言っていた。この点もおかしい。
三つ、俺にギルドに行きギルドカードを作って来いと言ったのもアリシアだ。
そして、向かっている道中に敵に襲われた。クライアントだったら敵に俺の場所を教えることは可能だろう。誘導されていたのだ。
四つ、俺が長身の男との交戦後助けに来たのもアリシアだ。ギルドにいるわけでもないのに俺の場所がわかったのはなぜだ?
結論から言おう。はっきり言ってアリシアは黒だと思っている。
だが、これらは全て状況証拠だ。決定的ではない。
やっぱり現行犯逮捕でしょ
そのほうが確実だし、もし、これらを突きつけ言い逃れされてしまったら警戒され証拠を掴むのはより一層困難になる。
俺はアリシアを泳がせることにした。




