第十五話
第十五話です。
多くの死体が集まってできた存在――
――巨大ゾンビが今俺の目的の邪魔をする。
今はギルもアリシアもいない。聞くなら今がチャンスか。
「なーお前の弟から聞いたんだが俺を殺すよう命じられたらしいなー
で、クライアントは誰だ?」
返事がない
30mの巨大ゾンビの肩に乗ってるんだよな声届いているかな?
「おーいきーてるかー?」
「ちゃーんと聞いてるわよー」
聞こえてんなら返事しろ。
「だーかーらークライアント――」
「ゆーわけないでしょ」
女は俺の話を遮って言った。
「そんな知りたいなら私を捕まえて、じっくり拷問でもすればいいでしょ
あ、やだ、想像するだけで濡れてきちゃう♡」
とんだ性癖の持ち主だ。
「別にそんなことしねぇよ」
「えー別にいいんだよ少しぐらいエッチなことしたって
まぁーいいや」
少し残念そうだ。
「じゃ、無駄話もこれくらいにしてぇ
死んで♡」
巨大ゾンビが襲いかかってくる。
「死ねぇ死んじゃえぇ
私のジャイアントキングゾンビちゃんは無敵よ!」
女はそのセリフと共にその場で足踏みをする。
巨大ゾンビは手をパーにして薙ぎ払いを決めてきた。
攻撃は俺の体をかすっていき、ギリギリで攻撃範囲を逃れることができた。しかし、風圧で飛んできた小石が顔面に直撃する。
「ぶへっいってぇ」
そして、砂が目に入る。
視界が遮られた。
砂を取り除いていると横から一発蹴りを入れられた。
30mの巨体で175cmの俺の体に蹴りを入れたんだ。当然ただでは済まない。
それはまるで、子供が力任せにおもちゃを投げたときに発生する形状の変形のように、
とてつもない激痛で(多分肋骨が折れてるというか砕けている。)宙に浮く。
うおぉぉぉぉぉぉぉ落ちるぞぉぉぉぉ!!!
『能力発動、時間改変過去!!』
「おっとそうはさせないわよ」
能力発動前に掴まれた。
巨大ゾンビの手からギリギリ呼吸ができるように頭だけ出ている状態だ。
体は完全に拘束されていて身動きができない。
能力もつかえない。
「じゃ、あとは握り潰しておしまいかしらねー」
もうだめだ、そう思ったとき聞こえてきた。
「おーーいーー」
アーサーの声だ。
「ゾンビが消えたので倒したかと思っと待ってても全然帰ってこないから心配して探しに来てみれば――
どうなってやがんだ?」
アーサーが助けに来たのだ。
アーサーは倒れているギルとそれに付き添うアリシアに駆け寄る。
「アリシア、それにギル酷い怪我じゃねぇか」
「アーサーさん。
ギル君はあいつにやられました。」
そう言ってアリシアは巨大なゾンビの方向に指をさす。
「今、回復魔法で安静にしている状態です。それより、樹さんがピンチなんです。
アーサーさん、助けにいってください。」
「ああ、わかった」
「あ、ちょっと待ってください。
これを渡しておきます。」
アリシアはアーサーに光輝くお守りを渡した。
「これは、私の所属する宗教の神の力が宿ったお守りなのです。」
「ああ、受け取った。じゃあ、樹を助けてくる。」
◇
「おい、お前が本体か?」
「見ての通りでしょ
わかんないかな?」
「今から人を殺すからな、確認だ。」
「はぁ~お前ごときに負けるわけないじゃん
私が操っていたゾンビ一人に殺されそうになっていたくせに無能力者さんよぉ」
「じゃ、遠慮なく行くぜ」
まずは、正面突破っ!
アーサーは巨大ゾンビの足を素早く斧で斬りつける。
しかし、それは一体のゾンビではない。大量のゾンビが集まってできたもの
なので、一瞬で操って元の形状に戻ってしまう。
「くっそ、どうすればいいんだ? おい!取り敢えず樹を離せ!」
「えーそれはちょっと無理かな」
「アーサーさん!核があるはずです!」
後方からアリシアがアーサーに弱点を知らせる。
「こんだけ大量のゾンビを一つの形にまとめているんです。それを制御する核、つまり心臓の部分が必ずあるはずです!」
「チッ」
女が舌打ちをした。
「それがわかったところで核を探すのは砂漠からアリ一匹探すようなもんよ」
そうだよな、なんか、探す方法はないか?
いや、発想を変えるんだ。
核を見つける方法ではなくゾンビ達を一掃する方法。
または、全てを破壊する力か――
そうだ!アリシアから貰ったお守り。
ズボンのポケットから光輝くお守りを取り出した。
「うわっ」
あまりの輝きで目をくらませる。
巨大ゾンビは手で、光を遮るようガードした。
その手はちょうど樹を拘束していた手だ。
樹を落とす。
アーサーは宙に浮いた樹をジャンプしてキャッチする。
「っぶね
樹、回収成功
アリシア、パス」
アーサーは樹をアリシアに投げた。
「はいっ」
アリシアはキャッチした樹を一旦地面に置く。
『ヒールッ!!』
すかさず樹に回復魔法をかける。
ゾンビの弱点はわかった。
光だ。
アリシアの輝くお守りのおかげで樹を回収することができたわけだが――
どうもさっきより輝きがなくなったと思う。気のせいではない。徐々に光を失いつつある。
「アリシア!このお守り光んなくなったぞ」
「それは、アーサーさんの目的、つまり、願いが達成されたからです。」
「おい、でもゾンビは、女は倒せてないぜ?」
「ですからお守りを受け取ったさい樹を助けることが願いだと定義をつけてしまったからです。」
えっそんな制約あったのかよ。
などと考えてるうちに次の攻撃がきた。
手から大量のゾンビを放出してきた。
「うわぁぁ気持ちわりぃ」
なんとか回避はできたが体勢を立て直す前に次の攻撃。
巨大ゾンビは手で銃の構えをし、ゾンビ一体を弾丸にして飛ばしてきた。
光が弱点なのはわかっている。わかっているがこんな暗い夜に光なんかない。
「まずい、これはかわせない」
ジャギン
その効果音と共に飛んでくるゾンビをナイフで相殺したやつがいたのだ。
「ぐっ
まだ、痛みはあるげど、こんなとこでへばっちゃいられねぇぜ」
「ギル!?」
ギルだった。ゾンビを相殺したのはギルだったのだ。
アリシアの治療を受け、体中包帯だらけだが通常どうりに動いているように感じる。いや、無理をしているのだろうか、俺に心配されないように。
再度ゾンビの弾丸が飛んできた。
次はパンチだ。パンチで飛んでくるゾンビを『戻した』。
「オラァ
『能力発動、時間改変過去!』
弾丸が飛んでくる前の状態に戻した。」
ゾンビは元の場所に戻って行く。
巨大ゾンビの弾丸を放出した手に『戻る』反動ダメージを受けた。
「樹!!」
「あーこれでも一応は主人公ってとこ見せねぇとな
さぁ、行くぞお前ら反撃開始だ!!!」
「「おう!!!」」




