第十四話
第十四話です。
「ウフフフ♡きたきたきたー
私の能力『死体操作』。樹ではないが、アーサーとやら死んだわね。樹の仲間を殺して操り、樹自身も殺す。弟のか・た・き・う・ち
ぶっ潰す!!」
◇
くそっ外に出たのはいいが本体の特徴がわからない。
どうする?どう探す?
取り敢えず……
「アリシア、例の追跡する水晶を」
「無理です。相手の姿を一度見なければなりません。」
「そうなのか」
何かないか?敵を見つけ出す方法が
敵は大量の死体を操っている
じゃあその死体はどこからやってくる?
大量に、蘇られる、ゾンビ、兵士―――
「わかったぞ! 本体の位置が、墓だ!アリシア、戦死した兵士の墓は近くにあるか?」
「はい、水晶で検索してみます。あ、ありました。場所は、ここから西におよそ10km」
「10km!?」
「ええ、ここらか一番近いのがそうです。」
嘘だろ、いくらなんでも能力の範囲が広すぎる。遠すぎる。
普通に歩いて2時間……
死体を2時間歩かせたなんてことなのか?
見当違いか?
どうする?早くしないとアーサーが……
一方―――
「さぁ、来なこの俺が相手してやる」
「うおぉぉぉぉぉぉぉ!!!」
男は雄叫びを上げる。
男とアーサーの体格は同じ。アーサーは斧で殴りかかり、男の体に斜めの傷を入れる。
死体だからだろうか血は吹き出ない。
「くっそ、ダメージが入ってる感触じゃねぇな」
首のコリをほぐし、再びその大きな斧を振り回す。
「うっしゃぁぁぁぁぁ!!」
アーサーは無能力者だが意外に善戦のようだ。
全くもって攻撃が無意味というわけではないが元々が死体なので直接的にダメージがあるわけではない。そんなことを理解しながらそんな、精神の中で戦っている。
それに加え、大きな斧を振り回しているため、アーサーの体力消費は半端じゃない。
どちらかが先に壊れた方が負けという戦いだ。
や、やべぇ。こいつめちゃくちゃにしてんのにまだ、こっちに向かってきやがる。
ちと厄介だな。
周りにいるゾンビにも注意しながら戦ってるからな
少しでも、気を抜けば負ける!
アーサーは最初こそ善戦していたが周りのゾンビと男の単純な破壊力が強いのか防戦一方だ。
斧を盾として使ったりで、ギリギリで体制を保っていられている状態である。
そんな時、集中力が低下しつつあるアーサーは転がっているゾンビに足が引っかかり、バランスを崩した。
刹那、男に首を掴まれた。
こうなったらもう無能力者の彼は終わりである。
為す術もない。
「くっぐぎぐぎぎゃぐぎゃゃ」
涎がたれてきて足をバタつかさせている。
こ、呼吸ができない。や、やばい。死ぬ。
樹、頼む!は、早く本体をぉぉお!
一般的な男女の息止め平均時間は1分程度。
この時既に1分30秒を過ぎている。
2015年にあるスペイン人が、水中で24分3秒も息を止めるという仰天記録を樹立しているが、あくまで世界記録。常人にははっきり言って無理だ。ましてや、首を掴まれているという事実がその時間をより一層長く感じさせる。もう、アーサーには限界だろう。
そんな時だった。
首を掴んでいる力が弱まった。
この一瞬にアーサーは最後の力、全身全霊で斧を振った。その斧は掴んでいる腕の切断に成功した。
「げぼっ」
なんとか助かった。
その後、周りのゾンビ達もどんどん塵になってゆく。
「きっと樹達だ!本体を倒したんだ!」
◇
時は少し前に遡る。
考えろ考えろ考えろ
何かないか?何か。
「そうか、わかっぞ! 本体の場所がわかった。まず、俺達は元々イコラメコヒケの宿なんかにいなかったんだ。」
「どうゆうことだ?」
ギルとアリシアは目を点にして、キョトンとしている。
「おそらく空間操作系能力者がいるんだ。俺が今日昼間の店での戦闘中、妙な出来事があった。店を出ようとしたら透明の壁があったんだ。
その時はそこ以外能力を使われなかったので気にもとめなかったがおそらくあの、男の能力――」
「あの、男ってアーサーと戦っているやつか?」
「そうだ。」
「死んでいる男の能力まで操れるのかよ。」
「それに、俺とアリシアが避難誘導のため宿の下に行ったが人はいなかった。
この時既に空間転移が起こっていたのだろう。
これらの理由から空間操作系能力者だと断定する。
よって、能力で俺達のいた空間がそのまま別の場所に転移された――
そう仮定すれば水晶で墓地の場所が10kmと出たのが頷ける。
つまり、そういう定義をつけ、もう一度水晶で検索してくれ。」
「了解しました。」
アリシアは再度水晶で本体の検索をかける。
「ありました。南の方向300m先に墓地があるらしいです。」
ビンゴだ。
どうやら、俺の推測は当たったらしい。
「急ぐぞ」
◇
見えてきた。墓地だ。
霊標にたくさんの兵士の名前が刻んであるとアリシアが教えてくれた。
完全に黒である。
墓石の上に黒髪ショートにゴスロリ服で雨も降っていないのにフリフリの傘をさしている一人の女が座っていた。
その女は墓地の土から死体を取り出した。
どうやら本体は彼女らしい。
「おい、お前が死体を操っているやつか?」
「うん、そうだよ」
少しの躊躇いもなくYesと答える。
「どうするの?殺す?」
というセリフとともに彼女の後方から大量のゾンビがうじゃうじゃ出てきた。
「樹、これはまずいぞ。敵が多い。ここからは臨機応変に対応していく。」
「ああ、アリシアは離れていろ」
アリシアを墓地から戦いに巻き込まれないようとうざけた。
「戦闘開始」
ギルが呟くと同時に既に二、三体のゾンビの首をはねている。とんでもないスピードだ。
俺も負けてらんないな。
『能力発動、時間作成』
時間で俺の分身を作った。
「お、いいねその能力
こっちも、速度を上げてくぜー」
な、なんだこいつら、つ、強い強すぎる私のゾンビちゃん達が次々とやられて行くぅぅぅ
ああ、まずい、弟の方のが気を緩めてしまった。
やばいやばいやばい一瞬で詰められた。
気づいたとき、既にギルが女の首にナイフを当てている。
「本体を見つけたら後は案外すぐ終わったな。今すぐ能力を解除しろ」
女は微笑んだ。不気味な笑みを浮かべている。
「ふっふふふふふははははははははは
解除するわけないじゃん♡
『能力発動、死体操作!!!』」
「な、なんだこれは」
ゾンビ共が合体していき一つの巨大な人形に変形した。
体長30メートルぐらいありそうだ。
「おい、さっさと能力を解除しろぉぉぉ! 本気で殺すぞぉぉ!!!!」
ギルの警告を無視して、その巨大なゾンビでギルに攻撃を向ける。
「死ねぇぇ
死んじゃえぇぇぇぇ」
ギルはその巨大なゾンビに掴まれ、そのまま投げ飛ばされた。
「ギルぅぅぅぅぅ!!!」
「ぐはっ」
ギルが地面に激突する。
俺はアリシアにギルを治療するように知らせた。
巨大なゾンビは少しずつその形を完成させている。
女は巨大なゾンビの肩に乗って操作している。
どうやら本体を倒すにはこいつを倒さなければいけないらしい。
さて、第二ラウンドだ!




