第十二話
第十二話です。
「お前、誰かは知らんが俺を殺すんだったよな? やってみろよ」
「ああ、依頼だからな」
依頼?なんのことだ?
ジャキンという効果音と共に男の体中から無数のナイフが飛び出てきた。
「気持ち悪りぃなぁどうなってんだそれ? 全身からナイフが突き出てんぞ」
「薬で俺には痛みがない、つまり、
どんな攻撃も効かない」
俺の問いに対し、男は説明する。
へいへい丁寧にご説明どうも!
でも、厄介だな。痛覚がない以上痛みで気絶させることができない。
ゾンビかよ
色々考えているうちにその男からナイフがまた一本飛んできた。
「くっそ」
右足にくらった。
足にくらったナイフを抜き取り、さっき左の手の平から抜いたナイフと合わせて二本。
ナイフを一本ずつ両手で取り、構えた。
「さっきから一本ずつしか投げてこないけどそういう制限があるのか?」
「いや、こんなもんじゃない」
そう言うと男は身体からいくつかのナイフを飛ばした。
何本か避けたが避けた先に的確にナイフを当ててきている。
幸いにも急所は外れている。
しかし―――
「一本当たるごとに動きが鈍くなっているぞ」
その通りだ。
急所ではないものの蓄積されると結構なダメージになっている。
俺は回復とけん制の意味を込め、ようやく力を使うことにする。
『能力発動、時間改変過去!!』
時間を戻した。
それは一番最初左手の平にナイフが当たる前だ。
女の首が落ちる。
確か、この辺だったよな?
あらかじめ『そこ』に手をおいておく。
『そこ』とういのは・・・
シュッ
ほら来た。
『そこ』というのはナイフが飛んで来る位置だ。
俺はそのナイフを片手で受け止め、男が出てくるであろう方向にナイフを突き出す。
「何者だ?」
相手に能力がバレてはいけないので初見の反応をしてみる。
店の奥から長身の男が出てきた。
「お前、なぜかわせた?」
「なんとなくだよ」
「能力を使ったのか?」
「というと?」
「時間を戻したのか?」
「!?」
な、なにーーーー!!
なぜわかった?
お、落ち着け、冷静になれ
「な、なんでそう思ったんだ?」
「クライアントからの情報だ。それに俺のナイフを初見でかわせる人間などいない。」
ジャキン
再び、身体からナイフを飛び出させた。
おいおい、まじかよ能力を見破られたってことは仲間の中に裏切り物がいる可能性が出てきたというわけか。
「行くぞ」
また、無数のナイフが飛んできた。
さっき、同じ攻撃をくらったからな、俺なら避けれる。
『能力発動、時間改変未来』
避けた後まで時間を飛ばした。
さすが未来の俺、全部避けれてんじゃん
「避けられただと、やはり、俺と会ったときからいや、会う前から既に戦っていたというわけか。」
「ふっ、どうだか」
時間を戻す前同様ちゃーんと両手にはナイフがあるね。
俺の正体を知っているのは驚いたがこいつを倒してクライアントとやらを暴いてやる。
「さ、どうした一回も攻撃が当たってないぜ。次はこっちの番だ。」
俺は目標に向かって全力で走りながら能力を使う。
『時間改変未来』
ほんの数秒時間を飛ばし、飛ばした時間の間で男の背後に回り込む。
男の首に持っていたナイフの先端を差し込む。
血が少量出てきた。
「お前、痛みがないとか言っていたが、首を切ったら間違いなく死ぬ。
今のうちにクライアントの情報を吐け」
本当に殺したりはしないが、ハッタリをかけてみることにした。
しかし、男にハッタリは通用しなかった。
首に当てられていたナイフを手でつかみ、それを俺ごと床に投げ降ろしたのだった。
「ぐはっ」
受け身がとれなかった。
そのままナイフを逆に利用され、俺の腹を突き抜けた。
「わあああああぁあぁっぁっぁ」
『時間改変過去!!』
しかし、なぜだ、能力が使えない。
痛みで能力発動に集中できていないのか?
もう一本持っていたナイフで抵抗してみたが、男の抑え込む単純な力が強いのかその行動は意味をなさなかった。
その時、男に誰かからか分からないがテレパシーが来ていた。
(おい、時間がかかりすぎだ。いつまでやってんだぁ?)
「ああ、姉貴か。今、終わらす。」
姉貴?なんだ急に?
男は俺の首を思いっきり締めてきた。
死―――
人は死ぬ瞬間、走馬灯を見ると言う。
走馬灯を見る原因は”突然死”のケースが多いとされている。助かりたい一心でなんとか助かる方法を脳から引き出そうとするために記憶が映像的に一気によみがえる現象のことだ。
樹には走馬灯なんて物は見えなかった。
まだ、死ぬ瞬間ではない!と誰かに言われているようなそんな気がする。
ギリギリだったが間に合ったのだ。
姉貴と言う人物との一瞬の会話のすきにできた僅かな時間で能力発動の準備ができた。能力のイメージができたのだ。
『時間改変過去』
と、能力の使用と同時に能力の『覚醒』が起こった。
覚醒内容は『戻る』ではなく『時間』の中で起きた全ての出来事そのものを変え、現在に反映させるというもの。
『絶体絶命』というのがまさに樹の能力の『覚醒』に必要な材料だったのだ。
状況が逆転した。
男の腕力が急激に低下する。
「な、なんだこれは、
さっきまでこんなパワーではなかったはず
いや、パワーが低下しているのか?俺のが?」
『時間改変未来』
時間を飛ばし、男の背後に回り、即座に腕を折り、使えないようにした。
男の筋力の時間を送らせ操作したため脆く簡単に折ることができる。
男は体中からナイフを再び飛ばすも全て受け止め、今の樹にとっては無意味であった。
その後、受け止めたナイフを男の頬にぶっ刺したり、引き抜いてスライドさせたりでもはや原型をとどめてないほどに顔面をめちゃくちゃにした。
初めて人をそれはもう、残虐に殺したが、夢見が悪いなんてことはなさそうだ。
「あ、ごめんクライアントの情報を聞く前に殺しちゃった。まぁ、でもいいか姉貴と言う人物から聞くことにするよ。
ぐはっ」
めまいがした。それと、吐き気も
呼吸もできない。
覚醒した能力に体がまだついていけてないのかそのまま意識を失ってしまった。
◇
「弟が殺された。沢城樹は私が殺す。
クライアントのためにも」




