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第十話

第十話です。

 俺達はギルのもとに駆け寄った。


「おい、大丈夫か?ギル」


 ってかあんなに負けるフラグ立ってたのに勝っちゃうのかよ。


 ギルの身体には目立つ傷や怪我が無数にある。特に、頭部の負傷が目立っている。それにギルの眉毛がもう短くなっている。あの大男も武器は使はなかったとは言え容赦ないな。


「ああ…へい……き……だ……」


 ギルの声がかすれている。


「おい、無理すんな。アリシア、早く回復魔法を」


「いら……な……い」


「なに言ってんだ。自分で何を言っているのかわかっているのか?すごい怪我なんだぞ!」


「あい…つ……を先に……

 ゲホッ」


 ギルは血反吐を吐く。

 そんなになってもあいつを優先するのか。


「わかった。すぐに戻る。アリシア、まずはあの大男からだ」


「いえ、もうやってますけど。同時治療が可能なので。」


 アリシアは少し呆れながら、笑いながらでもって心配しているようなよくわからない表情だった。


「なんだよもっと早く言えよ」


 ギルに対して少し感動し泣きそうになったまだ出してない涙を返せ。


 俺とアリシアは宿のベッドにギルと大男二人を移動させた。


 俺はアリシアの治療中にギルに話しかける。


「ギル、なんであそこまで頑張った? 俺、ギルのこと心配したんだぞ」


 ギルはなぜか悲しそうに喋る。


「実はさ、俺、この国の王子なんだよね」


 あ~なるほどだから次々と立てたフラグを折っていくのね。

 ってか今こいつ自分が王子だと言ったのか?


「は?まじかよ」


 俺は久しぶりに焦った。

 おいおい、やばくないかこれ、王子にめちゃくちゃ怪我させちゃったよ。ワンちゃん処刑だよ。


「ほんとごめん」


 とりあえず謝っておこう。オーケーこれで多少なりとも大丈夫だろう。

 俺は気づくと現実逃避をしていた。


「何がだよ。まあ良いや」


 ギルが呆れながら言った。


 良くはないだろ。

 ツッコミたいところは山ほどあるが今はよしておこう。

 今の本題はそこではないからだ。


「それで話を戻すが、なんであそこまで頑張ったんだ?」


「俺が王子だからな」


「それはさっき聞いた。王子だからってあそこまで頑張る必要ないだろ」


「じゃあ、昔の話をしよう。

 俺の父親つまり今のイコラメコヒケの王は生まれながらにして神から能力を複数授かっていた。複数の能力者というのは大変珍しく歴史上を見ても片手で数えられるくらいだった。そのためすぐさまイコラメコヒケの王として抜擢され、実力主義の国を作ってしまった。

 俺はというと無能力者で特に強力な魔法を使えるわけでもなくただの凡人だった。実力主義の国を作ってしまった以上王室では肩身の狭い日常を送っていた。そんなある日、父は俺に王族としてふさわしくないと思ったのだろう。父の能力の一つである『能力譲渡キャパシティーギフト』によって俺に『眉毛再生アイブローリバース』が譲渡された。『能力譲渡キャパシティーギフト』は自分の持っている能力をランダムで他人を渡すというもの。父はきっと最後にチャンスを与えてくれたのだろう。

 しかし、だめだった。生まれた時から能力を使えなかったため俺には使いこなす事ができなかった。

 そして三年前、俺はとうとう城を追い出されてしまった。けれど、父を見返したかったから、認められたかったから、必死に努力した。いろんな人に喧嘩をふっかけ金を奪い生活していた。能力だってそこそこ使えるようになってはいたんだ。そんな時たまたま樹達に出会ったのさ。

 今までの努力は裏切らないと思っていたから、裏切らせたくなかったから、こんな俺を助けてくれた樹にカッコ悪いところを見せたくなかったから、でも樹に負けて、悔しくて、昨日泊まった宿で決意した。『もう負けない』と、だから俺は死ぬ気で戦った。そして勝った。どうだかっこいいだろ!」


「ああ、めちゃくちゃかっこいいよ」


 自分から喧嘩をふっかけるところ以外


「でも、もう無茶はするなよ。この戦いだって意味なんてなかったんだから」


「いや、意味ならあったぜにいちゃん」


 横でアリシアに治療を受けていた、ギルと対峙した大男が起き上がったて話しかけてきた。


「そこのギル?とやらの成長を感じられた。それに・・・

 俺はお前らと一緒に行くことを決めたぜ。」


「え? えええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!?? おい勝手に決めんなよ」


「おいおい俺がいちゃあ嫌か?」


「別に嫌じゃないけど、俺達の目的は魔王を倒すことじゃなくて

 佐東を倒すことなんだよ」


「別に良いじゃありませんか」


 横からアリシアが話かける。


「戦力が高まれば樹さんの目的は達成されやすいんですし。」


「わかった取り敢えず名前を教えてくれよおっさん」


「おう、俺はアーサーってんだ。アーサー・クラウンだ。」


 とてもアーサーって感じの見た目じゃないけどな


「俺は沢城樹、でこいつギル、こっちがアリシア。さっきも言ったが魔王を倒すことが目的ではない。なぜついてくる?」


「それは、こいつにリベンジするためだ」


 アーサーはギルの方を指す。

 それからギルが言った。


「俺からも頼む。こいつはまだ本気を出してないはずだ……だから……」


 もう、しょーがないなー

 俺は渋々了承する。


「わかったよ一緒に来い。

 アーサー」


 そして、俺達の仲間にアーサーが加わった。

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