3.悪女
「ねぇ、今ごろは捕まったかなぁ?」
腕に抱き着いたままクスクス笑っているレミアの頬に軽くキスをする。
レミアは悪だくみをしている時が一番綺麗だ。
その顔が見たくて、ミルティアに媚薬を飲ませたのだ。
嫌っている義姉がめちゃくちゃに汚されたとなれば、レミアは笑顔で喜ぶだろうと思ったからだった。
「そうだね。あの媚薬は強力だからね。
さっさと捕まって抱かれないと精神が壊れちゃうし、
ミルティアもあきらめてやられるんじゃないかな。
あいつらも探しに行ったから、今ごろは見つけて空き部屋に連れ込んでるんじゃないか?」
「空き部屋って、その辺にあるの~?」
「無いかもな。まぁ、廊下の隅とかでもいいんじゃないか?
この時間はほとんど人いないだろうし。
見つかっても、衛兵たちじゃ邪魔できないだろう。」
「ふぅうん。じゃあ、お義姉様はやられちゃった後、
廊下に転がされたまま放置されちゃうの~?」
廊下で引き倒されて、ドレスは八つ裂きにされ何人もの男に汚される。
そして、ミルティアは助けが来るまで裸で放置される。
そんな情景が浮かんできたレミアは楽しくて仕方ない。
にやりと笑った顔が好きでたまらないフォレッドはレミアの身体を抱き寄せた。
「まぁ、わざわざ汚れてんのを連れて戻ってくることは無いだろうから、
終わったらそのまま置いてくるじゃないか?
誰か衛兵にでも見つかった方が婚約破棄もあきらめつくだろう。
汚れた女じゃ王太子妃にふさわしくないからな。」
「ふふふ。朝になって人が来るのが楽しみね。
その前に見に行こうかしら。」
「ある程度終わったらあいつらは戻ってくるだろうけど、
このままここで待ってるのはめんどくさいな。
俺はそろそろレミアと二人っきりになりたいんだけど?」
「もぉ~仕方ないな。じゃあ、抱き上げて連れて行って?」
「もちろん。」
ミルティアが走って外に出た時点で、
少しでも良心を持つ令息や、気の毒すぎて見ていられない令嬢は退出していた。
自分の親たちにこのことを伝えて、これ以上の最悪をもたらさないようにと。
思ったよりも早く帰って来た子どもに驚いた親たちは、その内容を聞いて、
この国の王子がそれでは国が終わるかもしれないと頭を抱えた。
そのうちのいくつかの家が王宮の衛兵室に使いを出して、
公爵令嬢を助け出して保護するように指示を出した。
知らせを受けた衛兵たちは王宮内をくまなく探したが、
朝になってもミルティアが見つかることは無かった。