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桜花爛漫
私は…。
あの桜の様になりたかった。優美で荘厳な花弁を纏う桜になりたかったのだ。人を不安にさせるほど美しく咲き誇る、そんな桜に…。
私は罪を犯した。でも…。その時の私はキラキラと輝いていたのだ。母親譲りの白い肌が、返り血で染まった時、淡い桃色になった…。美を求める事は美の奴隷になる事なのだろうか。
真実の愛とは…。
愛する人と身も心も、1つになる事なのだ…。
私の胎内に存在する愛は…。
人の屍体の体液を吸っている。腐乱して蛆が湧き、死臭を放つ屍体の体液だ。ソレは私のドロドロとした樹液の様な感情と混ざり合い、私を優美で荘厳な桜へと変貌させるのだ。
だから…。
だから私は…。
上村のソレらを抱き抱え…。
上村の血液を…肉体の穴と云う穴から吸っている。
花弁はヌラヌラと濡れて淫らに咲いた。
桜の森は満開になっていく。
もう少し…。
もう少し上村のソレらを愛でてから…。
私は…。
彼を…。
彼の1部を…。
私の…。
天国に迎え入れるのだ…。
あぁ…。
私の愛は…。
狂おしく咲き乱れている。