櫻の樹の下には…。
愛とは美しく恐ろしい。
私の胎内にある愛は…。
どうやら人の屍体の体液を吸っている。
腐乱して蛆が湧き、死臭を放つ屍体の体液だ。
私は…。
ソレを抱き抱え…。
肉体の穴と云う穴から吸っている。
私にとっての『真実の愛』とは…。
愛する人と身も心も…。
1つになる事なのだろうか…。
『そうすれば…。天国の扉が…。』
私は気付かぬ内に言葉を漏らしていた。
「ようやく理解しました。これで私も天国へ行けるのでしょうか…?」
その言葉を聞いたマットブラックの瞳の男は…。
少年の様に無邪気に笑った。
「天国?君は自分が何をしたのか覚えてないの?」
「覚えてますよ。でも…天国は胎内に存在する。罪は関係ありません。」
「そうだった…。君は…。胎天理教の教徒だよね…。」
マットブラックの瞳が揺らめく。
「はい。胎天理教の教徒です。」
「1つだけ教えて欲しい。現在の教祖は君と同じ年ぐらいの女性なのでは?」
「顔は存じておりませんが…。声からすると、多分そうです。」
「なるほど…。そういう事か…。」
マットブラックの瞳は、私に背を向けると歩を進めた。
そしてー。
「気分が良くなった。君は生かしといてあげるよ。」
と云い…。
「天国へ行けると良いね…。」
と続けた。
「あの…。貴方は…。貴方は誰なのですか?」
「僕?XXXXX XXX。」