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番外編:柏城彩の体育祭2

「これから体育祭実行委員会議を始めます。生徒会書記の佐藤です。よろしくお願いします。まず早速……。」

 という流れで、真面目そうな眼鏡の佐藤さんの進行で、体育祭の目的とか伝統とか簡単に説明された。


「ということで、これからの進行は生徒会長に一任します。」

眼鏡の佐藤さんから、黒髪ロングのかっこよさげな女子生徒にマイクが渡された。


「一年生諸君、久しぶり。入学式以来だな。まずは、学校が始まった間もないというのに、体育祭の実行委員という役職に立候補してくれたこと、感謝する。実行委員だからといって、あまり気を張らなくていい。二、三年生がサポートをするから心配するな。気楽にな。」

 おー。リーダーシップがすごい。堂々とした発言にここにいる全員がくぎ付けになっていた。実行委員会議で行うこと、決めることなどを詳しく説明してもらった。


 スローガンについても何か言っていたようだが、ぼーっと聞いていたらあまり頭に残らなかった。なんか、高校のスローガンっぽいスローガンだった気がする。


「まず、今日決めるべき内容は各クラスの実行委員がどの仕事をするのかということだ!」

総務、看板、広報の三つの分野があるらしい。


「学年ごとに話し合って三つに分かれてほしい。偏りがないように、最低三人は役職にいるようにしてくれ。」


 一年生は全部で五クラスあるので、一年生合計で十人の実行委員となる。ということは最低でも一年生三人、二年生三人、三年生三人の合計九人の部門になるということだ。


 私が知っているのは、佳奈子、東野君、西田君……くらいだ。でも、すれ違う時に、笑顔で話しかけてくれた人もいたから、相手は私のことを知っているのかもしれない。私は知らないけど。……決めるのだるいなぁ。


「といっても、すぐに決められるものでもあるまい。学年ごと話し合って、明日までに決めえてもらえればいい。」

 そういうと、生徒会長は解散してもよいと付け加えた。もうすでに決まっているのか、それとも別の場所で話し合うのかわからないが、二、三年生はぞろぞろと退出していった。私達もこの波ニ乗レ!という思いを込めてみんなの方を向く。すると、真面目そうな女子生徒が口を開いた。


「あの、私達も教室で話し合う?」

みんなぞろぞろと大会議室を後にする。


--

こういう時ってなぜか一年一組が選ばれるような気がする。……いや、単に教室が一番近かっただけだね。

 まだ教室にたむろってカードゲームやらスマホゲームやらで遊んでいる人たちがいて、他クラスの私としてはなかなか入りにくい雰囲気だった。


「あの、体育祭実行委員の話し合いに教室使うから、いい?」

真面目女子が言う。話し方的にこの子は一組っぽい。


「え、他のところなかったのかよ……。」

「それな。」

陰キャの法則その一、会話している相手と会話しない。


「悪りぃ、すぐ終わっからさ!ちょっとの時間だけな?」

「そ、それなら……。」

陰キャの法則その二、陽キャに弱い。西田君の見た目も言動も、パリピ陽キャだからかなりの効果があったようだ。あとはとどめ。


「無理いってごめんねー西田君も言ってたけど、ちょっとだけだから!」

上目遣いに語りかける。秘儀、悪魔の角度発動。この角度から見たものは、なんか言うことを聞いてくれるようになる。


「は、はぃ!」

それに、陰キャの法則その三、美少女に弱い。が加わり、ぞろぞろとゲーマーたちは教室から出ていく。まあ、美少女に弱いは陰キャに限ったことじゃないよね!


「じゃあ、さっそく誰が何やるか決めよう?」


 真面目女子が言う。ふむ、率先して自分から司会進行を行っているところを見ると、彼女は総務お似合いかもしれない。私が推薦をしてあげよう。総務ってなんか大変そうだし。やりたくないし。だけど、その前にやっておかなければいけないことがある。


「そのまえに、自己紹介、しない?」

これですべての人の名前を覚えることができる。


「そうだね。それじゃあ私から。一組の……」

 という感じでみんなのクラスと名前を聞いた。実行委員をするだけあって、みんな真面目そうだなーという印象を受けた。二組の二人以外は。


「二組の東野登也だ。よろしく。」

「俺は二組の西田義春!世界の頂点を取る男だ!」

 東野君はそっけなさすぎだし、西田君はうざすぎて少し変な空気が流れる。トラップカード、共感性羞恥が発動し、なんか私まで恥ずかしくなってきた。


「自己紹介も終わったところで、さっそく話し合いに入りましょうか。」

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