想像しちゃうじゃん
翌朝、パーティールームのドアが開き、莉乃愛が入ってきた。
「あんたら…なにやってんの? あっくんまで…」
「あ、いやOPEX教えてくれって言われたから、教えてたら今になった…」
莉乃愛は、「はぁ~」と頭を押さえつつ、
「はい、もう終わりね。華蓮達いま朝ごはん食べてるから、片づけて!」
と、言われ、「へーい」と、今プレイしていない男子二人がセイッチやらを片付け始めた。
莉乃愛が近づいてきて、
「あんたも!」
と言って、ペレステのコードを抜いた。
「おわあああああああああ」
「片づけておいてね~」
と、手を振りながら莉乃愛は出ていった。
そして、仕方ないかとゲームを全員で片づけて、俺はゲームをもって家に帰った。
部屋に入り、とりあえず接続は後でいいやと思い、着替えをもってシャワーを浴びに行った。
シャワーから出て、着替えてコーヒーをもらいにリビングに行くと、朝ごはんを食べている華蓮さんが、
「お! あっくんおはよ~! ってか徹夜でゲームしたんだってね~」
「と…途中からは教えてただけだけどね……」
「ゲームも教えられてるあいつら、スペック低すぎでしょぉ!! 逆にあっくんスペック高すぎでしょ!」
と、ケラケラ笑いながら話していた。
俺はとりあえずコーヒーをもらい部屋に戻り、しばらくすると莉乃愛が入ってきた。
「りのあ…既にノックすらなくなったのか(笑)」
「あ、ごめん! コンコン」
ノックの音を出してノックするって…
「まぁもう入ってきてるし、別にりのあならいいけどね…」
「え、あ…うん」
「どうしたの?」
「あっくんなんかあいつらがごめんね。大丈夫?」
「あーうん、俺は全然大丈夫だよ。OPEXやってて徹夜とか結構やってたし。あと、アカウントで3人にアークってバレちゃった」
「まじ?! 大丈夫それ?!?!」
「一応言わないで書かないでとは話して、忘れることにするとは言ってたから大丈夫かと」
「んじゃ多分大丈夫だと思うけど、後で私からも言っとく! あいつら悪気無しになんかすることあるから」
「う、うん、ありがと…。自覚はあるみたいで、だから忘れることにするって…」
「あいつらにしては賢明な判断だわ。でも言っとくね!」
「うん」
「でもなんかごめんね。あいつらに付き合ってもらっちゃって…」
「まぁ、確かにちょっとついていけない程、賑やかな人たちだけど、悪い人じゃないと俺も思うよ。だから、心配しないで」
「それならよかった。じゃ、じゃあまた後で!」
そう言うと莉乃愛は出ていった。
一体何だったんだ…
ペレステを接続したりしていると、莉乃愛が、「あっくんそろそろ行くけど大丈夫~?」とドアの外で呼んでたので、「今行くねー」と言って、一旦接続は途中のまま外に出て、パーティールームに向かった。
中に入ると、布団も片づけられて元通り、ではなく、3人とも寝てた…。
「おーまーえらー…起きろー!!!」
と華蓮さんが言うと、
「んあ~、ちと流石にこれでは帰れないから少しだけ寝かせてくれ~……」
と、一人の男子が言った。
すると、華蓮さんが「ぐぬぬー」とこぶしを握ったので、
「ま…まぁ、いいじゃないですか。解き方の復習は起きてるメンバーだけでやりましょう」
と、俺が言うと、莉乃愛が、
「そうそう、困るのはあいつらなんだからほっとこ」
と、言って少しわきにどけられたテーブルに座ったので、華蓮さんも「それもそうか」と座り、俺は3人向けに解き方の復習をした。
1時間半ほどで解き方の復習は終わり、
「終わった~~~! あっくんありがとう!」
そう、莉乃愛が言うと、「本当本当~」と他の2人にも口々に感謝された。
「これで恐らく点数はとれると思うので、補講にならないといいですね…」
「がんばるぞー! そして夏休み楽しむぞー!」
と、華蓮さんが右手を上げていった。
そして、その右手を上げたまま、寝ている男子のもとに歩いていき、そして振り下ろした。
「うがぁ! な…なんだよ……」
と言って、振り下ろされた男子が言った。
「帰るよ! 起きて片付けろ!」
と、華蓮さんが布団を引っ張ると、流石に起きないとと思ったのかノソノソ男子が起きだした。
そして、パーティールームを元に戻し、
「これで大丈夫かな!」
莉乃愛がそう言うと、
「おっけー、そしたらうちら帰るね!」
と、華蓮さんが言った。
そこで田原君が、
「す…菅谷……」
「ん? なに?」
「………………………やっぱり菅谷は無理だ! 三好、今日の下着は何色?」
と、聞いた。
そうだった、すっかり忘れてた。
負けると思ってなかったから、そもそも気にもしてなかった。
暫くの沈黙の後、華蓮さんが、
「は? キモ、死ね!」
と言って、思いっきり田原君の足を踏んだ。
華蓮さんって、三好華蓮って言うんだ。
「ってえええええ。しょうがなかったんだよ~~~~。ゲームで負けて、負けたやつがそれを誰かに聞くってなってたんだよーーーー」
と、言うと、
「なんで、りのあは無理であたしだったらいいんだっての!」
と、言ってもう一回足を踏んだ。
そして華蓮さんは女子の元に戻り、女子3人は、「本当キモいよね~」「男子ってホントあほ」みたいに、軽蔑した目で言った男子を見ながら話してた。
「ぐ…俺の高校生活は終わったかもしれない……」
と、言った田原君は他の男子のもとに戻っていった…。
「まぁ、男子がバカでキモいのは今始まったことじゃないけど、とりあえずあっくん今回はありがとねー」
と、莉乃愛がいうと、皆にありがと~と言われた。
「んじゃ、あたしらは帰るわー」
「幼馴染くんよ! 俺達はもう忘れたから心配するな!!」
と、言いみんながぞろぞろ部屋から出ていった。
俺と莉乃愛も後ろからついていき、オートロックの自動ドアの前でバイバーイと言い別れた。
自動ドアの向こうで、「あんたはあたしの鞄を持て。そしてキモいから前を歩け!」「ハㇶ」というやり取りが聞こえてきた。
俺と莉乃愛も家に戻ろうと歩き出すと、後ろから莉乃愛がコソッと話しかけてきた。
「(あっくんわたしの今日の下着の色知りたい?)」
…いったいなにを……
「あ、いや、俺は別に。ってか負けると思ってなかったから、気にも留めてなかったんだよね」
というと、
「(ピンクだよ)」
と、ニヤッて笑いながら俺の横から覗き込みコソっと言った…。
俺は立ち止まりしばしフリーズし…なかったことにして歩き出した。
「あー顔赤くしてー!」
と、莉乃愛がからかってきたので、
「あーもう!」
そう言って、俺は早歩きで家に戻った。
だって、目の前に笑った莉乃愛がいて、下着の色はピンクだよって言われたら、なんか想像しちゃうじゃん…。
俺は家に戻るなり部屋に入り布団に入った。
莉乃愛も後から入ってきて、
「ごめんね(笑) でも今回はありがとね」
そう言って、布団から微妙に出てる俺の頭をなでなでとしてきた。
徹夜もしてたからか、それがなんか気持ちよくて、俺はそのまま眠ってしまった。




