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きつね色

「じゃあこれいれた後、きつね色になったら取り上げてくれる? 私、残りのお肉の味付けするから」


「え、きつね色?」


「うん、きつね色」


「きつね色ってどんな色ですかね…?」


「え、なんだろ、黄色っぽい茶色?」


「黄色っぽい茶色って…?」




俺がそう言いながら「うーん…」みたいな感じで下を向いて考えると華蓮さんが、




「おっとー! アークまさかの色がわからない!!」


「い、いや、色は分かるんだけどきつね色って定義が…」


「でたー! アークの小難しい話!」


「あ、アークさん! ガスのデフォルトスキンの洋服の色の少し暗い感じです!」




雪菜さんが慌ててそう言った。


なるほど…。




「なるほどですね…。あの色の少し暗い感じですか。いけそうです」


「えっと…じゃあお肉いれるからよろしくね?」


「はい」




そう言うと雪菜さんはお肉を鍋に入れた。


するとジューという音共にお肉が揚がっていく。




「いや、さっきの色の方がわからないんだけど…」




華蓮さんはボソッとそんなことを言っていたが、俺は唐揚げに集中している。


だって料理なんてしないからね。


タイミング分からないから。




「あーっと、Rinoも焼きだすようだ!」




華蓮さんはそう言って、忙しそうに実況しながらあっちこっち動き回る。


華蓮さんてすごいよなー。


こういうことやってたわけじゃないのに、実況しまーすってなったらなんかそれっぽいことできちゃうんだもん。




そして、双方料理が完成して実食となった。




「では先に完成したYukiの唐揚げからどうぞ!」




そう言われたので俺は目の前の更に盛られた唐揚げを一つ食べる。


いや、普通にうまい。


うん、普通に美味しい。




「美味しいです」


「美味しいですいただきましたー! どんなところが?」


「え、えっと…美味しいです…」


「アークが壊れたー!!! しかし、あまり食べると食べれなくなっちゃうので次はRinoのハンバーグをお願いします!」




俺は唐揚げを食べ終えると、別の更に盛られたハンバーグを箸で切って一口食べる。



え?


普通に美味しい。


え???


あの調理で??




「え、あ、普通に美味しいです…」


「こちらも美味しいです頂きましたー! どんな感じに?」


「えっと…調理工程からまさかこれができあがるとは…」


「あー! アークどいうことそれー!!!」




莉乃愛が腰に手を当て華蓮さんの後ろからそう言った。


いやだってさ?


豪快なんだもん!


色々と!!




「よーし私もYukiの唐揚げ食べよーっと!」


「あ、じゃあ私もRinoのハンバーグもらうね」




そう言って二人とも食べた。




「え、めっちゃ旨いじゃん。なに、Yukiから揚げ屋さん始めるの?」


「いやいや! Rinoのハンバーグもめちゃくちゃ美味しいから!」




二人はそんなことを言いながら、今度は自分の作ったものを食べて感想を言った。




「さーアーク! 今日の勝敗は!」




ひと段落したところで華蓮さんがそう言って俺に話を振った。




「い、いや…」


「さー!」


「えっと…」


「さーさー!!!!!」


「ひ、引き分けで……」


「えー!!!!!!!!」


「だ、だって、違う料理でどっちも美味しかったら比べようなくない?」




俺がそう言うと、華蓮さんと莉乃愛はアチャーって感じで頭を押さえた。




「それもそうかー!!!!!!」


「同じ料理食べるの大変かと思って違うのにしたんだよねーー!!!!」


「いや、普通に美味しかったけど、比べるってのは難しいよ…」


「あっちゃー! まぁでもそしたら今回は引き分けと言うことで! 次回をお楽しみに!」




華蓮さんはそう言うと、華蓮さんが持っていたカメラをRinoとYukiに向けた。




「お楽しみにー! この動画がいいと思ったら、陰陽幼馴染チャンネルのチャンネル登録とー?」


「Goodボタン」


「コメントもお待ちしています!」


「Rinoも私もSNSがあるのでチェックしてみてね!」


「「またねー」」




「はい、おっけー!」




華蓮さんがそう言って撮影が終わった。


すると途中笑ったりはしていたものの、見守っていた直人と凜香さんがこっちにきた。




「3人ともお疲れー」


「直人はなんでいたの?」


「え、火を使うから危なくないかと思って」


「なるほど…」


「凜香さんは調理に困ったときのお助けマン」


「出る場面無かったけどねー! 後はRinoとYukiの初コラボだし見とこうかなって!」


「え、凜香さん…」


「あ! アークさん! ちなみに私料理はめちゃくちゃ得意だからね!」


「アークそれは本当だぞ。料理めちゃくちゃうまい。だから料理がうまくても結婚できるわけではないってことだ」


「直人、あんたはいつも一言余計なのよ!」




凜香さんはそう言うと、直人のわき腹をゴスっと殴った。




「し、しかし、無事に終わってよかったよ。雪菜ちゃんどうだったー?」




直人はわき腹を押さえながら奥に立っていた雪菜さんに話しかけた。




「な、なんだか、動画配信はいっぱいしてきたけど、こういうのは初めてだから新鮮で楽しかったよ!」


「そっか! それならよかった!」


「雪菜ありがとね!」


「りのあちゃんも誘ってくれてありがとー!」


「うん!」




そしてその後、皆で作った料理を食べて、感想を話していた。


直人も凜香さんも、莉乃愛の調理工程を見ていたので、むしろなぜこれが出来上がったのか疑問だと言っていた。


本当疑問だよ…。


少し不格好なハンバーグだったけど普通に美味しかった。


雪菜さんの唐揚げは、少し衣がザクザクした感じのやつでこれは優等生的に美味しかった。



なんか作った人の性格が出ているような感じだったけど、どちらも美味しかったし優劣なんかつけれない。



俺はそんなことを思いつつ、こんな時間から重い物なんて普段食べないので胃もたれしないかなと心配になりながら、皆が話している光景を眺めた。


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