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【中里雪菜視点】暇なゴールデンウィーク

『太田:ゆきはさん、今日の15時から個別でお打ち合わせできますか?』




本来だったら毎日配信で忙しかったはずのゴールデンウィークは、活動を休止したことにより一気に暇になり、何もやることがなくなった…。


南さんに無断で視聴者の皆さんに休止を宣言して、休止前最後の配信では『待ってる代』という投げ銭も多くもらった。


本当に申し訳ない…。


湯月くんに何もすることがないと相談して二人で話した結果、結局配信で活かせることを準備しておきましょうってことになった。


それでも配信じゃないからあまり身も入らず、結局ゴールデンウィークはこれまでお正月も配信だったから高校生活で全くできなかった、家族孝行をしたり、おばあちゃんの家に行ったりして過ごした。


おばあちゃんはよくわかってないみたいだったけど、同じタイミングで来ていた親戚のおじさんは、私がそれなりに有名な動画配信者だと知ると大層びっくりしていた。


ただ、お父さんが収入はうまくオブラートに包んでくれた。


正直最近はお父さんの収入も大きく超えていて、今回のおじさんは大丈夫らしいけど、お金目当てですり寄ってくる奴も出そうだからということらしい…。



まぁ確かに、めちゃくちゃお金持ちって公言してる動画配信者の人たちもいるもんね。



そんなゆっくりとしたゴールデンウィークが明けてすぐ、流石に暇すぎると思いだしたころに、なんと南さんもいるグループLimeに太田さんが連絡をくれた。


しかも南さんも何も反応しない。


どういうことなんだろう?




『はい、大丈夫です!』

『じゃあ後でMTGのURL個別で送るね!』




おぉ、個別連絡するって公言してる。


これは、湯月くんと直人くんが進めてくれていたことに、何か進展があったに違いない!



私は少し期待した気持ちを持って、MTGの時間までOPEXの練習をした。


そして時間より少し早くMTGに入り、暫くすると太田さんが入ってきた。




「ゆきはさん! こうやってお話しするのは久しぶりですね!」


「お久しぶりです! 太田さんもお元気そうでよかったです!」


「来週から有給でもういなくなるんだけど、ここだけの話仕事定時で終わった後、皆で新しい事務所の準備手伝ってるから、めちゃくちゃ忙しいんだよね!」


「そうだったんですね!」


「それでね、ゆきはさん、あまり時間がないから今日明日には決めて欲しいことがあります」


「はい」




なんかドキドキしてきた…。




「ゴールデンウィークの頭の方に、ナナイロとエンゲージさんの話し合いがありました」


「はい」


「そこで私たち社員の異動は、社員個人の問題なのでと許可されました」


「はい」


「そして動画配信者さんにつきましては、本人が希望する場合は、エンゲージさんの新事務所に移籍できることに決まりました。そのままの名前とチャンネルで」


「えぇ?!?!」


「今回、移籍すると決めた人の移籍金をエンゲージさんが支払うことでナナイロと合意したとのことです。既に契約書も締結済みで、近々ナナイロからも発表があります」


「ほ、本当ですか?!」


「はい。そして、その移籍候補者の中にゆきはさんも入ってます。どうしますか?」


「移籍します!!」


「え、えっと、お父さんとかお母さん大丈夫…?」


「わかりませんけど、私が移籍したほうがいいと思っているので!」


「あまり時間はないと言ったけど、一応明日ぐらいまでであれば待てるけど?」


「いえ! 大丈夫です! 移籍でお願いします!」


「そ、そうですか! ではそれで社内調整します! またこれからもよろしくねゆきはさん!」




太田さんはそう言うと画面の向こうでウインクした。


それを見ていたら、なんだか最近ずっと嫌な気持ちのままだったのが急に晴れやかになって、なんでか涙が出てきた。




「あ、う…ズッ…よ、よかったです…ズッ……私太田さんがいいんでずぅ…」


「あ、ちょ、ちょ! 泣かないで! 本当ごめんねゆきはさん!」


「い、いえぇぇー。よかったですぅ…!」


「細かい条件とかは再度まとめてエンゲージさんの方からご提示させていただきますが、恐らくナナイロ時代とほぼ変わらない内容になるかと思います!」


「…ズッ……はい…あ…」


「どうかした?」


「あ、あの、契約条件から顔出しNGを外してもらっていいですか?」


「えぇ?! どうしたの??」


「いや、エンゲージって直人くんの所なんで、モデルなんかもやってみようかなって…」


「あぁ! ゆきはさんそういえば社長と友達なんですよね!」


「そ、そうですね…! なんで、ゆきはに迷惑かけないぐらいでやってみてもいいかな…とか…」


「ふふふ! 了解! ゆきはさんならできるわよ! じゃあそれはエンゲージさんに伝えておきます!」


「ありがとうございます!」


「後、恐らくゆきはさんの1周年に、移籍の実発表は間に合わないと思います」


「そ、そうですか…」


「ただ、待ってくれた視聴者さんに向けて、少し遅れちゃうけど何か準備しませんか?」


「ぼ、ボイスですよね…?」


「はい…。どうしても視聴者さんはそれを強く望んでますので…」


「わ、わかりました! やります!」


「いいの?」


「はい…! 恥ずかしいのは変わらないですけど、太田さんや直人くんやアークさんが頑張ってくれたのに、私が頑張らないわけにはいかないので!」


「本当?!」


「はい! なので、ちょっとどうやるかわからないんですが、ボイトレを…」


「おっけー! エンゲージさんと調整する!」


「ありがとうございます!」


「じゃあまた詳しいこと決まったら連絡するね!」


「はい!」


「あ、ちなみにまりんさんも移籍だよ!」


「えー! まりんさんと一緒なのは嬉しいです!」


「ふふふ、じゃあまたね!」


「はい!」




私はイヤホンを外して、一呼吸して、グッとガッツポーズの様にこぶしを握った。



嬉しすぎる!


また太田さんと一緒に出来る!!


しかも今度はアークさんも同じ事務所だ!!!


社長は直人くんだし、今回みたいなことにはならないだろうし!!!!


みんな本当にありがとう!



私はそんなことを思いながらコルクボードに飾ってある、皆で撮った卒業式の写真を眺めた。





それからはもう、ゴールデンウィークが嘘かのような目の回るような忙しさになった。


まずは太田さんがエンゲージさんに相談してボイトレを組み込んでくれて、更に復活後にまりんさんと歌をだそうということで歌の練習。


そしてなんと驚いたことに、りのあちゃんと華蓮ちゃんも同じ事務所に所属するらしく、華蓮ちゃんがアークさんのマネージャーも兼任しているとのことだ。


更に華蓮ちゃんは私のマネージャーも兼任すると言って、最近は太田さんとのMTGに一緒に出てる。



そして太田さんはまりんさんと私にアークさんも加えた、マリンスノーの箱舟で歌を出したいと思っているようで、華蓮ちゃんと交渉しているらしい…。


湯月くん、歌は絶対やらないと思うんだけどな…。


でも、太田さんが華蓮ちゃんと交渉するていうその状況が、なんかいいな。


やっぱり私はこういう雰囲気がいい。


こういう雰囲気だと、私も頑張らなきゃって思える!




そして私は他にも復活後のグッズの打合せに新衣装の打合せに、他の移籍になる方々とのコラボの打合せや、待ってくれた視聴者さんへの皆でのサプライズ等やることが盛沢山。


更に私は、太田さんに相談してモデル活動をしてみたいと話したところ、今度は凜香さんという直人くんのおばさんが出てきて、りのあちゃんと一緒にwiwiにねじ込むと意気込んでた。


それに伴い、今まで割とおざなりだった髪の毛や美容にも気を付けるようになって、もう本当忙しい。


一日が一瞬で終わってしまう…。


たまに湯月くんからLimeが来るけど、正直ちょっと前みたいにお話しするような時間がない…。


湯月くんも大体の事情を把握しているからか、頑張ってくださいって応援してくれている。



頑張らないと!


でも、楽しみだな!!


こんな形で皆と一緒になると思ってなかった!!!




私はそんなことを思いながら、最近の日課になったボディークリームを塗りだした。


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