表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
133/203

プリンセス

そして莉乃愛の学校と雪菜さんの学校の卒業式当日となった。




「お前の親はもう行ってんだろ?」


「あーうん、俺が昨日の卒業式休んだから、唯一の卒業式だって喜んで行ったよ」




そう直人と2人で、莉乃愛と雪菜さんの学校のある駅近くのハンバーガー屋で話していた。


あの陽キャクラスメイトにからまれでもしたら、流石に1人はきつすぎると思い、直人も呼んだ。


そして、四谷高校の卒業式は昨日だったのだが、俺は欠席した。


出席する理由ないし…。




「しかし、卒業式を欠席するとか、なんかもう本当お前らしいな」


「だって…」


「あーあー、わかってる。理由がないだろ? まぁそりゃそうなんだがなぁー」


「寒いし」


「まー別にいいけどな。んで、りのあちゃんとはいつ合流するの?」


「連絡するって言われてる」


「しかし、まさか雪菜ちゃんのところでそんなことが起こっていて、お前が解決していたとはなぁ」




近況を長く直人と話すようなタイミングがなかったので、正月以降ぐらいの一連のことをナナイロやゆきはと言った名詞を伏せてかいつまんで直人に話した。


まぁ直人だし普通にわかってくれたみたいだ。




「大変だった」


「実写の方は俺も見たけど、まさかりのあちゃんまで動画配信始めるとは」


「なんか俺の配信で声が入ったので、ネットが盛り上がって思いついたみたい」


「りのあちゃんらしいな(笑)」


「うん、あ、りのあから連絡来た」


「んじゃ行くかー」




そして直人と一緒に莉乃愛の高校に向かった。


高校の正門の近くで莉乃愛に『正門外だよ』と連絡して暫くすると、女子生徒の塊が校舎から出てきた。


絶対近寄りたくない一団ではあるのだが……。


チラッと中心辺りに莉乃愛と華蓮さんが見えた。


まぁそうだよね…。




「おーすげーなりのあちゃん。めっちゃ下級生に囲まれてる」


「文化祭の時もそうだったけど、りのあって女子人気すごいよね」


「まぁやっぱりあこがれるんじゃねーか? 美人だしスタイルいいし。wiwiでモデルもやってて、女子中高生向けの人気動画クリエイター。その上に普段は話しかけやすいしな」


「そういうもんなのかな…」




直人とそんな話をしていると、その集団が集団ごと移動してくる。



り、りのあ、まずその集団をどうにかしてからきてほしい!!!



そして正門前にいる俺と直人の近くまで来ると、




「おーあっくん! 正門のこの看板のところで写真撮ろう!」




と正門わきに飾られた卒業式の看板を指さす。




「い、いや、りのあ…」




と俺がもごもごと喋ると、集団から、




「菅谷先輩! 彼氏さんですか?!?!」


「え、この人?」


「横の人?」




と女子たちの視線がこっちを向く。


とうの莉乃愛は、




「えーーーー! そういうわけじゃないけどーー、えーー?」




みたいにわけわかんないことを言ってる。




「り、りのあ。と、とりあえず、皆をどうにかしないと…」


「あ、そっか! 皆ごめんね! ちょっと写真撮るから看板前行かせてー!」




あ、いや、そうじゃなく……。


その集団をどうにか処理してほしかったのだが……。



そう思いつつも、莉乃愛に手を引かれて看板前に移動し、




「直人ー! 撮ってー!」


「あいよー、ちょっとごめんねー」




と直人がスマホを構えて、




「んじゃ行きまーす! ハイチーズ! もう1枚行きまーす! ハイチーズ」




そう言って、手に卒業証書の入った筒を持った莉乃愛とツーショットの写真を撮った。




「あーあっくん! 私も入るー!」


「え、それなら俺もー! あ、これお願いできる?」




と、直人が集団の一人の女の子にスマホを渡し、華蓮さんと2人で一緒に並んだ。


そして4人で写真を撮った後に、今度は集団の中から彩春ちゃんと茜ちゃんが出てきて6人で撮った。



その後、りのあは集団の子達とそれぞれ写真を撮っていた。



俺と直人は少し離れた場所でその光景を見ていた。


こうやって見ていると、本当莉乃愛は光が当たるべくして産まれてきたんじゃないかと思ってしまう。



子どもの頃の話じゃないけど、ギャルっぽくてスカートも短いから容姿的には違うのかもしれないけど、多くの人囲まれて女性に憧れられる。時代が時代なら本当にプリンセスみたいなもんだろうな。







そんなことを思いながら待っていると、結局30分ぐらいかかって、




「ふーー! お待たせー!!」


「JKりのあは今日が最後だからねー!」




と、莉乃愛と華蓮さんがこっちに歩いてきた。




「よーし雪菜のところいこう!」


「行こう行こう!」




そう言って、雪菜さんの高校の方に二人が歩き出すと、




「おああああああああああああああ! 幼馴染くんじゃねーかー!!!!!!!!!!」


「写真撮ろうぜえええええええええええ」




と、勉強会に来ていた男子3人が駆け寄ってきた。




「え、あ、いや…」




というものの、既に腕を持たれ看板前に引きずられていく。




「あー俺撮るよー!」


「あ、さんきゅー!」


「んじゃいくよー!」




そう直人が言って、3人の男子と並んで写真を撮った。




「菅谷も来いよー!」


「さっき教室で撮ったから別にいいじゃんー」


「そうだがぁ…」


「用事あるからー!」


「ぐぅ…んじゃま! またどこかでなー!」


「えーまたは嫌だなぁー」


「はぁ?! 寂しいくせに!」


「え、ミリも?」


「ちな、俺らの誰かが実は好きだったの! とかそういうのねーの?!」


「ミジンコほども!」


「ぐ…み、三好!」


「死ね!」




と華蓮さんが肩にかけてるバッグで殴った。そして、




「ほら、あっくんいくよー!」




と言う莉乃愛に引き連れられて、俺達は雪菜さんの学校に向かった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ