聖女は大魔王と同棲し、ドラゴンは飛び・・・立たなかった『(聖女の初恋はブラウン管のカチカチ音と共に)千文字ver』
「く。なぜ私が偽物認定されるのだ」
「建物がショボかったからでしょ」
傷心の大魔王の傷をドラゴン(オス)がえぐる。
「なぜ、私が伝説の剣持って大魔王(偽物)を監視しなければならないんです?」
「だってあんたの世界の魔王でしょ。なんかあったらどうするの」
途方にくれる聖女に、本を読んでいた少女が眼鏡をくいっとあげて答える。
「うう重い。そこのあなた。この剣持っていただけますか? 」
サラリーマン「(公安の忍者にそんなこと期待されても。)ちょっとスポーツをかじった程度ですよ」
少女の知り合いの探偵「小林少女。コーヒーにはたっぷりミルクを入れてくれ」
「変なあだ名をつけないで」
そう言いながらも、少女は重い腰をあげて、台所に向かった。
「この剣、日本刀ですね。ちょっと抜いてもいいですか」
「ええ」
「こ、これは虎徹!?」
「コテ?」
魔王と聖女とドラゴンが首を傾げる。
「幕末の新撰組の局長が持っていた刀。偽物多し」
「偽物だな」
「にしてもどんだけひどい魔王城だったのよ」
「それが、維持費をけちってほったて小屋に住んでいたのよー。ほんと困った大魔王様。そこが放っておけなかったんだけれどね~。もう潮時かしら」
「じゃあver.upしたんじゃないですか。0.1BEAくらい。良かったですね。“大”魔王さん」
「うう。なんと棘のある言い方」
「だって、人んちの境内ににいきなりボロいアパートがたったらぶちきれるでしょ?」
「森の端っこにちょっと魔王城があってもよかろう」
「よくないです!」
大魔王の参謀ドラゴンは羽をはばたたかせ始める。
「そこのUMA。勝手に飛んで行くなー」
「三kのブラックな魔王城に嫌気が差していたのよ。それでも付き従っていたのは大魔王様が格好よかったからなのに聖女と同棲なんてやってられないわよ。幸い餌になるヒトには困らないわ」
「食うな!必殺殺虫剤!(よいこはまねしないでね)。つうか引き留めろ魔王。飼い主ならしっかりペット世話しろ!」
「誰も彼の自由を阻めない」
「くきゅうー。」
「この害獣とりあえずゴミ箱に放り込んでおきますね。」
飛び立とうとしていたドラゴンは、サラリーマンの殺虫剤攻撃にやられ、蚊のごとくぽとりと落ちた。それを少女が捕獲する。
「ああ、入道雲がきれいだなー」
役に立たない名探偵はコーヒー牛乳を飲みながら呟いた。
「魔王どころか、聖剣まで偽物だったなんて。それも、魔王と同棲なんて。ううう。お嫁にいけない」
BEA・・・メー○ーの民の建物の単位。知らなくても大丈夫。