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調合師の徒然草  作者: 紫ノ乃芽 透子
プロローグ
9/12

初めてのテイムは慎重に……


「アン、待たせた。」

そう言って小走(こばし)りで駆け寄ってきたのは、リード兄さん。

腰より少し長い髪を(ゆる)いお団子()いにして、シンプルな服装で現れた今日の兄は、

中階級の庶民に近い服装なのに、着ているのがモデルのような背格好(せかっこう)(顔も含む)の為、

しっかり着こなして神々(こうごう)しく目立っている。

そして、そんな兄を見るといつも何故(なぜ)か緊張して少し浮き足立ってしまうのだ。

こちらを見ている兄に、 さぁ、いこうか と声をかけられた私は1回、深く呼吸をしてから気持ちを切り替えて今日の買い物に意識を向け歩き始めた。



スラムと低階級(ていかいきゅう)の者が住む地域の間。

そこに今日、私達が行くテイマー市場がある。

様々な生き物や魔物が王国の管理の下、飼育されていて、テイムしたい場合はここを訪れるのが一般的だ。

テイマースキルを持っていない者でも特殊な(インク)で主従関係を結ぶ事が出来る。

そして、管理体制を整える理由で室内がはっきりと見える程の透明度の高い材質で建てられている為、様々な形の店が一堂(いちどう)(かい)する景色は壮観(そうかん)だ。


今日は、そこで私の従魔を見つける事と兄の趣味である(お忍び?)抜き打ち調査をする事になっている。


さっそく、テイマー市場に着くと、

「まずは、契約する従魔を探そうか。」

と兄は言って、色々な店を回る事にした。


大通りの店から小道を入っていった先にある隠れた場所にある露店や小さな店まで隅々まで探索すれば、

大きいものや小さいもの、飛ぶものや泳ぐもの、色とりどりで様々な魔獣が展示されている。

そして、私が魔獣選びに夢中になっている頃、

兄は施設の管理体制に目を光らせて時折(ときおり)、餌が溢れているとか、水が古いなどと聞き取り(にく)い声で呟きながら観察していたのだった。




「テイムしたいものは見つかったか?」

そう兄に聞かれたのは、魔獣探しに没頭(ぼっとう)しすぎて遅くなった、昼下がりの昼食タイム。

「えーっと、どれも魅力的で……」

そう、愛想笑(あいそわら)いを浮かべながら口籠(くちごも)るのには(わけ)がある。

それは私が大の生き物好きだから。

種族は問わず爬虫類(はちゅうるい)から虫まで生き物という生き物が大好きなのだ。

だから、ここは私にとって夢のような場所で選ぶという事が難しい。

今までに出会った子達を次々に思い浮かべていると、

兄は、 そうか。 と優しい微笑(ほほえ)みを浮かべながら、お茶を口にした。


昼食を終えた後、兄に連れて行かれたのはテイマー市場の中程(なかほど)にある鳥類専門の店。

理由を聞けば、 飼えば色々便利だから1羽、飼っておいても損はない。 と言われ、

()物顔(ものがお)で店に入って行った兄と二言三言(ふたことみこと)話した店主は、兄の背丈(せたけ)程ある鳥籠の前に案内した。


「こちらは、スワローリンクでございます。主に伝書(でんしょ)用で飼われる事が多く、長距離を飛ぶのも(いと)いません。夜目(よめ)()くので偵察にも向きます。餌は朝・昼・早晩(はやばん)の計3回。虫と草、果物を(この)んで食べるので、それらを中心にした食事をしてください。食べる時に、コップ一杯の水と小粒の石もご用意下さい。消化を助ける働きがありますので。」

そう店主は説明を終えると一礼をして後ろに下がり口を閉じた。


店主の気遣(きづか)いを()んで目の前の鳥籠の方へ意識を向けると、

燕尾服(えんびふく)を着たような模様の奇麗(きれい)な鳥が、

鳥籠の中に(うわ)っている木に留まったり、飛んだりしながら思い思いに過ごしている。

可愛らしい鳴き声を聴きながら檻の周りを沿()って歩いていると、一羽の鳥が目に入った。


羽などがバサついていて、周りの仲間のような元気がない。


「あのスワローリンクは、この間保護したばかりでして、まだ人馴れしていません。

スワローリンクは元来(がんらい)、個々が独自に持つリーダー像があるが為に、主人に見切りをつける事もありますし、何より、人馴れしていない魔獣はテイムの効力が弱いので、他の元気で人馴れしているものを選ぶのをお勧めしますよ。」

私の視線の先に気付いてか、店主はそう話した。

でも何故か、あのスワローリンクが気になって、長い間うんと考えた末に迎える事に決めた。

「では、こちらの紋様(もんよう)の真ん中に一滴の血をお願い致します。」

店主に言われ、渡された紙と針山に刺さった針を使い、紙に血を垂らすと、店主はスワローリンクの入った鳥籠の下に紋様の描かれた紙を敷き呪文を唱えた。

すると、鳥籠の床面に紋様が現れて従魔契約が完了した。


「獣魔契約は完了しましたが、人馴れするまで(かご)から出さないようにお願いします。それと、餌を与える時は部屋の窓を閉め切ってから餌を与えてください。もし、獣魔紋が消えてしまった場合は、お近くのテイマーギルドにお持ち頂き、また再契約をお願い致します。」

そう淡々と店主は説明し終わると、再契約の時に必要な紹介状と3種類の色紙をアンツェローズに渡し、

「今、キャンペーンを(おこな)っていまして、こちらを入り口近くの催事場(さいじじょう)まで持っていくとクジが引けるので、もし良かったらどうぞ。」

と言い終え深々と頭を下げる。


店主の言葉を聞いたアンツェローズは輝かせた目で兄に訴えかけ、兄は笑みを(こぼ)しながら了承し、店を後にした。

投稿期間が空いてしまい皆さんを、お待たせしてしまいました〜。

これから、モリモリ!投稿できたら良いなぁ〜っと思っているので、

もし良かったら、これからも、よろしくお願いします!



もしよろしければ皆様のフォローやコメントなどの応援を下されば幸いです。

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