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調合師の徒然草  作者: 紫ノ乃芽 透子
プロローグ
12/12

吟遊詩人は闇の中で明かりを灯す


「アン、スワローリンクの性格は知ってる?」

部屋から出たソンフォードは優しく、そう問いかけた。


「頭が良くて、自分の個々が独自に持つリーダー像と主人(あるじ)が違う場合は見切りをつける」

アンツェローズは、自分に確かめるように(つぶや)く。


「当たり。じゃあ見切りをつけたスワローリンクは、どうなると思う?」


そう聞かれたアンツェローズは、ある1冊の本に書かれてあった内容を思い出した。

「従魔契約をした魔物が主人に見切りをつけると、契約から逃れられないストレスで自分の毛をむしったりする場合がある。」

と、震えながら小さな声で、ぽつりぽつりと話した私にそうだね。とソンフォードは静かに返事をした。


「そして、拘束力(こうそくりょく)が強い契約紋だったり前の主人に対しての忠誠心が強かったりするとスワローリンクは余計に、その行動が顕著に現れるんだ。」

その言葉を聞いた時、私はショックで足の力が入らなくなり、立っている感覚が無くなった。


あの店で見つけた時、無意識下(むいしきか)可哀想(かわいそう)と、助けてあげないとと思っていたのかもしれない。

いや、無意識じゃなくて、そう思っていた。

目に()まった瞬間(しゅんかん)から私は、どうやったら助け出せるかと悩んでいた。

だけど、あの大きな鳥籠の中にいた時、あの子の心が前の主人の事を思っていたのだとしたら?

それとも、もう主人を求めてないのだとしたら?


私は、とても辛い選択をあの子に()いたんだ。

どうしよう……


その事ばかりが頭を()()くした時、ソンフォードの温かい手が差し伸べられている事に気がつく。


「アン。僕は愛する妹を責めたくて先程の言葉をかけたんじゃないよ?まだ、あの子は、必死で生きようとしてる。だから君が、主人が、あの子の未来を先走って決めては駄目だ。出来ることから、やっていこう。兄ちゃんも手伝うからさ!」


そう声をかけられたアンツェローズは、今まで心に(ただよ)っていた暗闇に小さな明かりが(とも)ったような気がした。

そして、兄に連れられて辿(たど)り着いたのは、兄の部屋に備え付けられている小さな扉の先にある書庫だった。


「僕が従魔のスワローリンクとワイルドバードに初めて出会った時、まだ幼かったからテイムって言葉を知らなくて、契約がなくても魔物と仲良くなれる、そう思ってたんだ。

だけど時が経ったある日、通りすがりの冒険者が仲間をテイムしているのを見て、仲間を取られたく無かった僕は、お願いして頼み込んだんだ。僕の仲間を取らないで、って。


そしたら冒険者は、こう言った。仲間を取られたくなかったら、名前の入った首輪で(つな)いでおくんだったなって。

その後、拘束力の強い契約紋をつけたのを見たら、怒りに任せて魔法を使って暴走しちゃってさ。仲間は主人を失ったんだ。


その冒険者は、ならず者だったみたいで、お(とが)めはあまりなかった。

主人を()くした仲間はテイマーギルドで僕と契約し直して、それでうまく収まったと思ってたんだけど。

ある日、スワローリンクが自分の羽をむしり始めたんだ。アンツェローズがやったみたいに、たくさん調べ物したし、色んな人を頼ったけど、無理だった。

自分は手を尽くしたって思ったある日、一冊の本に出会ったんだ。それがこの本。


そう言って手渡されたのは、古ぼけた一冊の本だった。

表紙を開いて中を読み進めていくと、最初は日記のような文面だったけれど、ページを(めく)るごとに何かのレシピのような実験を試行錯誤して作っているような文面になっている。

そして、あるページには何度も何度も丸を重ねた中に、細かく書かれた薬の分量が書いてあった。

その薬の名前は、「緩和(かんわ)薬」と書かれていた。

何を緩和するのか書かれていないが、兄がこれを見せたということは、多分そういうことだ。

そして兄の方を見た時、兄はしっかり頷いた。


その時、気持ちが溢れて「ありがとう」を何度も言ってしまい、兄に「そういうのは、スワローリンクが良くなってからだ」と笑われてしまい、私も妙に納得してしまう。

その後、急いでレシピに書かれている材料を集めに行き、一緒に薬を作っていく。

そして、薬が出来上がる頃には日が暮れて、夜が訪れようとしている(よい)を刻んでいた。


「できた〜!」


そう声を上げた時、目の前にウィンドウがいくつか現れ、見慣れぬ文字が飛び交った。


‘調合スキルを取得しました。’‘秘匿レシピNo.1が解放されました。’‘称号:調合の申し子 が追加されました’‘称号:はじめの一歩 が追加されました’


いきなり視界に現れたウィンドウは視覚認識すると直ぐに消えていき、私の表情が固まっている所が兄に見られてしまい、少し心配させてしまった。

しかし、自分の使命を思い出したアンツェローズは今、起こった出来事を気にも留めず、兄を置いて薬を持って急いで自室に向かった。

もしよろしければ皆様のフォローやコメントなどの応援を下されば幸いです。


今月の小説の新規投稿は終了です。

これから月末まで、今まで投稿した小説の手直しやキャラクター原案の紹介文をまとめて投稿しようと思っています。


いつも、拙い文章を読んでくださっている皆さん、

ぐだぐだな投稿スピードでも、温かく待っていてくれる皆さん、

本当にありがとうございます(*´꒳`*)

12月になったら続きの物語を書いていくので、お楽しみにしていて下さい。

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