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東方転移物語  作者: 御狐
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第2話 無期水禍異変

めっちゃ遅くなってすみませんでした。

 「…クシュッ!」

小さなくしゃみをして、雨の寒さで体を震わせた。

私は博麗霊夢はくれいれいむ[幻想郷]げんそうきょうの平和を守り、今日もこの結界を管理する…巫女だ。

[幻想郷]とは、こことは違う[外の世界]で忘れ去られたりしたモノを匿う為に作られた[異世界]だ。

結界というのは、詳しく説明するといろいろと面倒なのでわかりやすく説明すると、[外の世界]から存在を守るための壁。

「おーい!霊夢~!聞いてるか~。」

不意に聞きなれた友人の…霧雨魔理沙きりさめまりさの声が聞こえた。

「うひゃ…なんだ魔理沙か…びっくりした。」

「別に驚かすつもりはなかったんだぜ?」

「雨のせいで音が普段よりも大きく聞こえるのよ。」

「そうか、それはすまなかったぜ!」

魔理沙は謝る…けど顔が笑っている!

反省心を一切感じさせない魔理沙の平謝りは、ただただ私をムカムカさせた。


まったくもう…。魔理沙は昔っからこうだ。


魔理沙は私の親友…いや悪友(?)で自称【普通の魔法使い】だ。

白黒でフリルの着いたの魔女装束を着た金髪の少女で、語尾に「~ぜ。」とつける。性格は元気いっぱい…訂正、血気盛んで私に会うたびに「勝負だぜ!」と言って私と競ってくる。

負けず嫌いなんだと思うけど正直鬱陶しい。

「で…何の話をしてたんだっけ?」

「はあ!?霊夢聞いてなかったのか?!」

「魔理沙が驚かすから忘れちゃったわ。」

「嘘つけ!」

「冗談よ。」

私はさっきの仕返しに魔理沙をからかった。魔理沙があまりにも面白い反応をしたからつい笑っちゃた。

「まったく…霊夢は昔っからそうなんだぜ。」

「それはお互い様よ。」

で…実際に何の話をしてたんだっけ?

私はお茶で手を温めながら思い出す。

…そうだ。

確か、無期水禍むきすいか異変の事だった。

今から3週間前、[幻想郷]に雨が来た。

そうただそれだけだった。

だから最初は特に気にしなかったけど、この判断が間違いだった。

雨は止まずにずっと降り続け各地に被害を出し始めた。

山は降り続ける雨水により地盤が緩み土砂を起こし、川や湖は減ることのない増水により溢れてきた。

しつこい湿気により、気分も洗濯物もジメジメとして最悪だ。

おまけに奇妙な奴らまで現れた。そいつらは青いローブと奇妙な面を身に着けていた。

この前、私がそいつに近づいたらいきなり攻撃されたので反撃して倒したら、そいつの体が水になって流れ落ちて魂だけになった。

その魂を調べてみたらなんと、地獄から逃げた悪霊だったのだ。

そこで初めてこの出来事が異変だと気づき、私たちがさっきから異変解決の為に話し合いをしていると言う事だ。

「で。どうする?私はここが怪しいと思うぜ?」

魔理沙は地図のある部分に人差し指を置いた。

この場所は…[霧の湖]だ。…なるほどねー。

「無難な選択だと思うわ。なんせ、ここの雨雲が一番大きいからね。」

「じゃあ決まりだな。ここに居るであろう異変の黒幕をぶっ倒して、この鬱陶しい雨を終わらして異変解決!………よし!そうと決まればさっさと行くぜ!」

魔理沙はお皿に置いてある大福を口に放り込んで、飛び出していった。

「あぁ…私の分なのに…。魔理沙ったら、何をそんなに慌ててるのよ…」

自分の分を食べられた事を毒づきながら、魔理沙を追って空へ飛び出した。

………。

………………。

さて、あれから5分くらい経ったかな。魔理沙と軽い雑談をしながら向かっていたら、何か変なのがとんできた。それをよーく見てみると、それは半透明な矢のようなものだった。

「……なあ…霊夢。」

「ええ…わかっているわ。」

軽く回避をした私達は、目線を配らせて自分の周りを確認した。

青色のローブを着ていてのっぺりとした仮面を付けた例の悪霊たちが、私たちを取り囲んだ。

「……どうやら、私たちを歓迎しているみたいだぜ?」

「ええ…そうみたいね。」

私と魔理沙は、いつでも相手の攻撃に対処できるよう気を引き締める。

「…(霊術・鋭利な滴)。」

仮面の悪霊たちは何かをつぶやき、私に手のひらを向けた。

すると、さっき飛んできた半透明な矢が…正確には水で作られた飛礫が出現し、私に目掛けて飛んできた。

私は寸前で避け、仕返しとして札を何枚か投げつけてやった。

札が直撃した仮面の悪霊たちは体が弾け飛び、魂だけがとなった。

「…(霊術・守護の泡)。」

倒し損ねた仮面の悪霊が何かをつぶやいたかと思うと、半透明な膜がその悪霊を包んだ。

「いっちょ前に防御をするんじゃないぜ!」

魔理沙は八卦炉って言う道具を使い、五芒星の形をした魔法の弾を放ち、膜ごと悪霊を吹き飛ばす。

「へっ!私の魔法をそんなちんけな術で、防げると思うんじゃないぜ!」

腰に手を置いてドヤ顔で決め台詞を言う魔理沙を無視して、冷静クールな私は遠くにある大きな雨雲を注視する。

雨雲はまるで卵のような不思議な形をしていて、雲なのに重量感があった。

その雨雲には視認できるほど巨大な穴が開いており、定期的に雲の塊と悪霊の集団が放出されるようだ。

穴のせいで卵と言うより、スズメバチの巣のようだ。

「…あれじゃ、悪霊の巣ね。魔理沙の読みは当たってそうよ。あの中に黒幕がいるかもしれない。」

「なるほどなー…よし!じゃあ霊夢!どっちが先に解決するか勝負しようぜ!」

魔理沙はやる気満々って感じの声色で、私に勝負を求めた。ちょっと面倒そうに魔理沙の目を見たが、やっぱりやる気に満ちている。

「良いわよ。じゃあ私が勝ったら、何かおごって。」

「ああ!わかったぜ!」

私と魔理沙は飛翔し、邪悪な雨雲へと向かっていった。

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