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砂の詩集

『絶叫』

作者: 餡蠱

濁った瞳で町外れに転がり伏せる俺たちは、明日もきっとこんなものだといびつな唇で自嘲する

だけど俺たちは知っていた

掃き溜めから這いずり出る力強い輝きある奴らのいることを


濁った心で俺たちは諦めと言い訳をはき違えて繰り返す

不毛な繰り返しの中で俺たちは輝きから目を逸らし、掃き溜めの塵芥に歪んだ共感を抱いて負け犬の感傷を舐めあう


だから俺は気づかないふりを決め込む


俺たちの価値と輝きの可能性に

俺たちを嗤い嘲り唾吐く奴らに作り笑いでへりくだるそのことこそが、俺たち自身を自傷しているということに

だから俺たちはいつまでもこの掃き溜めで傷つけあうことに


だけどそれってそんなに悪いことなのか

俺は言葉にならない叫び声をあげる

ただ泣き叫ぶことしか俺にはできないから


錆びた廃屋に背中を預けて冷たい霧雨に震えながら身を寄せあう俺たちは、こんな俺たちだけどこうなりたくてこんなところにいるわけじゃないんだ

泣き叫びたくてそうしているわけじゃないんだ


なれるものなら狼になりたいんだ

誇り高い遠吠えを、できるものなら俺たちだって謳いあげてみたいんだ


だけど俺たちは負け犬だから、負け犬のプライドで冷たい世間に叫び続ける

金切り声で哀しさと悔しさと苦しみと痛みと涙とその全部を込めて、ただ絶叫を繰り返す


言葉にならない声を枯らして

身体中を砂埃にまみれさせて


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