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シオン先生は気だるそうに授業を開始した。
まぁ朝からあんなバカップルに見せつけられたらやる気もなくなるだろうが。
「あー、じゃあ1回しか説明しねぇからよく聞いとけよー。えー、今年度新入生であるお前らの記念すべき第1回魔術戦はー春季の2月目、水の週だ。各自ペアを決めて準備しておくように。じゃあルールブック配んぞ。適当に読んどけ。」
春季、2月目、水の週……はぁ!?三日後じゃないか!!
何かの間違いではないかとルールブックを読み込んでみる。
♦*::;;;;::*♦*::;;春季第1回魔術戦;;::*♦*::;;;;::*♦
日付:春季の2月目、水の週開始から1週間
参加資格:王国魔術学園高等部の生徒であること
ルール:
・試合において即死攻撃は反則とする。
・また審判が試合続行不可と判断した場合はいかなるかる状況においても指示に従わなければならない。
・相手が審判にリタイアの意を伝える、又は戦闘続行不能な状態であると審判が判断することにより試合は終了する。 …………以下略
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「あぁ、そうだ。これ本当は1ヶ月前に知らされてたんだけど俺が伝えんの忘れてただけでもう他のクラスはとっくに練習始めてっから。……まぁお前らSクラスだし何とかなんだろ。詫びといっては何だがこれから三日間の授業は自習だ。ペア決めるなり訓練でもするなり好きにしろ。」
……先生、それは詫びではなく授業放棄と言うのですよ…?
クラス全員の総意ではあるがそれを言えるものは誰もいない。
「あー、そうだ。今日中にペア決めて俺に報告しに来てくれ。…もし来なかったらもう大分待たせてるから校長に叱られる。……俺がな。じゃ、職員室にいっから。」
全員ポカーンという表情で見守る中、当の本人はそんな視線を気にもとめず欠伸をしながら教室を出ていってしまった。
それにしてもペア、ペアか。
中等部までは個人戦だったので新鮮だ。
上級貴族であれば、婚約者と組み死闘の末、仲を深めるというのが普通だ。
以前であれば私もあの阿呆と組まされることになっていたはずである。
あの脳筋戦法に付き合わされるはめになるはずだった、と考えると今でも身の毛がよだつ思いだ。
誰にしようか、悩んでいると後ろからポンと肩を叩かれた。
うん、嫌な予感。
「じゃあリィ、よろしくね。」
「お断りします。」
「え、なんで。」
「いや、ホントに王族とペア組むとか正気の沙汰じゃないんで。私のか弱い乙女なメンタルはプレッシャーに耐え兼ねるので。」
王族と組むということは最低でも3位以内に入ることが期待という名で要求される。
魔法戦は王族主催の行事である。
王族にそんな行事で恥をかかせようものなら……うぅ寒気が止まらん…
だがこっちの気持ち知らずにこいつは話し続ける。
「もぉ、ひどいなぁ。リィと僕の実力なら余裕で優勝狙えるでしょ?」
簡単に言ってくれるものだ。
まぁいけないこともない、が。
今年はまだ、あの人がいる。
「いやいや、今年は無理ですよ。なんてったってお兄さまがいますから。」
「あぁ、アルメリア殿かぁ……でもあの人妹に激甘だしさぁ」
「その妹の横に婚約者でもない男がいたら……?」
「…あは、ボッコボコだね!」
そう、私にはお兄さまがいる。
強くてイケメンでイケメンで優しくてイケメンでかっこよくて、素敵な人…なのだが。
幾分私に激甘、いわばシスコンと呼ばれるアレである。
あの阿呆との婚約が決まった時にはそれはもう誰よりも怒り狂い……
阿呆はどうなってもいいが、流石にお兄さまに貴族殺人の罪を犯させる訳にはいかない、必死に止めたものだ。
私が遠い目をしていると書類を持ったアイツが目の前にたっていた。
「ただいまー。」
「おかえりなさい…って、え?ただいま?」
「うん、ちゃんと申請してきたよー。」
仕事はやいな!というかまだ私ペア組むって言ってない……
まぁ申請してしまったものは仕方がないか……
出来るだけお兄さまを避けて、いけるところまでいこう。
「無策でいって勝てる程お兄さま以外の先輩方の相手も簡単ではないでしょうし、何か作戦を練りましょうか。」
「うん、そ」
「おい、リィ!!!残念だったな、俺のペアはアイリスだ!お前は誰にもペアになって貰えず泣いてろ!!」
うわ、来たよ。
第2王子殿下の言葉を遮りつつ何か意味不明な発言をしながら阿呆が来ちゃったよ。
残念なのはお前の頭だ。
そして泣くのはお前と組まされて可哀想なアイリス嬢だ。
「ざーんねん、リィは僕のペアだから。……あといつまでリィって呼ぶ気?そろそろ僕もイライラしてきちゃうなぁ。」
「なっおいリィ!お前クレマチスとペアなのか!?王子と公爵令嬢なんて魔力量が化物同士なのに組んだら大変なことなるぞ、ズルだ!!!」
何このワガママなやつ。ホンットに言いたいことばっか言いやがって。
というか、ヤバいぞ?殿下そろそろキレちゃうぞ?
この阿呆は語彙を増やす前に、まず空気を読む、ということを学んだ方が良さそうだ。
「その前に、ヘンルーダ様。貴方はここのクラスじゃないですよね。もしかして前々から魔法戦の日にちを知っていたのですか?」
「あぁ、その通りだ!そのおかげでお前らより多く練習してきたからな。リィには絶対に負けんぞ!」
おぉ…ドヤ顔から、言わなかった俺賢い!みたいなオーラが漂ってるけど、それ同じ練習量じゃ勝てないから抜け駆けしちゃったよ☆って自白してるようなもんだからな…?
男なら正々堂々やれよ……。
まぁ阿呆は今までと同じく力押しの脳筋戦法だろうだから魔力量が上の私達なら簡単に押さえつけられるだろう。
問題は、アイリス嬢だ。
特待生というくらいだから当然実力は確かなはず。
高等部からの入学生なのでまだどんな魔術を使うか、誰も知らない。
その点、中等部でも魔法戦を行っていた私達は手の内を知られているので少し不利だ。
まぁ阿呆が人の魔術をちゃんと覚えているかは知らないが。
「やーい、ズルだズルー!!お前ら強いんだから1人で出場しろよー!!」
あーもう、この阿呆さっきからうっさいなぁ!!!
ズルズルズルズル言いやがって、麺でも啜ってんのか!?
決めた。
婚約破棄で恥をかかされた件、魔術戦で思う存分報復したるわ。
泣いて謝るまで許してやらないかんな!!!
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