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「殿下、昨日のは一体どういうことですか!?」


私は教室に入るなり殿下のもとへ詰め寄った。


「おはよう、リィ。朝から元気だねぇ。でもあんまり大きな声をだすとクラスの皆が驚いちゃうよ?」


…ド正論だ。淑女が出すような声量ではなかった。


「うっ…すみません。」


「あはは、冗談だよ。もう皆君の性格も分かってるだろうしねぇ。」


おい、それは一体どういう意味だ…と言いたかったが、今はそれよりも優先すべきことがある。


「それで、結局あれはなんだったんですか!?」


「あぁ、返事は急がなくていいから。」


「っ!!」


どうやら夢オチではなかったらしい。


私はあの後放心状態になり、殿下が両親のもとへ連れて行って下さったそうだ。

そして婚約破棄についても説明し…その後の、きゅっ求婚についても…


「君の両親は喜んで賛成してくれたよ。」


「…残念ですが、私は当分は婚約者を作らないつもりです。」


「なんで?またヘンルーダみたいに捨てられるかもって?」


「…」


「大丈夫。僕は絶対君のこと…リィのこと大切にするから。」


「いや、そういう事簡単に言える人とか1番信用出来ないんで。」


「えっ何でいきなり冷静になったの。」


殿下が横で「普通は顔赤くするところじゃ…?」とか何とか言ってるのをききながら、私は1度真剣に考えてみた。


実際、本当に殿下と婚約することになったらそれは悪いことではないのだ。

王家にも我がサンタビリア公爵家にもお互いメリットの方が大きい様に思う。


…だが。

私はチラッと殿下の方を見る。

金髪碧眼に整った顔立ち、品行方正、成績優秀。

彼の婚約者を狙うご令嬢は数えきれない程いる。


そんな彼に婚約者に捨てられた私の様な者の相手をさせるのは、お門違いと言うものだろう。


それに、私は昔からの知り合いであり今まで散々迷惑をかけてきた彼には是非、こんな同情のような形で結婚相手を決めず、好きな人と幸せに結婚して欲しい。


「…」


「何故私を睨むのですか。」


「んー、また君が見当外れな事を考えてるんじゃないかなぁって思ってね。」


「そんなことはな」


「おい、リィ!!どうしてくれるんだよ!お前のせいで散々父上と母上に叱られたんだぞっ!」


私の言葉を遮り、教室の扉を勢いよく開けて叫んだのはお察しの通りあの阿呆、改め元婚約者様だった。


「…ヘンルーダ様、リィと呼ぶのは止めて欲しいと言ったはずです。」


「そんなことどうでもいいんだよ!父上と母上にお前の機嫌をとって婚約破棄を無かったことにして貰えるよう頼んでこいって言われたんだ!でも俺はそんなの嫌だ!!」


全部言ってどうするよ、阿呆。

それに自分の言いたいことばかり言うんじゃない。

私だってまた婚約とか絶対嫌だわ。

てかお父様とお母様が許すわけない…


「酷い言い様だね、ヘンルーダ。で、それを言いに来てどうするつもり?」


「おぉ、クレマチス!どうすれば父上と母上がアイリスとの結婚を認めてくれるか一緒に考えてくれ!!おい、リィお前もどうすればいいか考えろよ!」


何故に上から目線?

何様?俺様、ヘンルーダ様!ってか。

ムカつくから無視してやるわ。

あと、リィって呼ぶなって何回言えばいいんだよ。


「ねぇ、ヘンルーダ。それでいつまでリィって呼ぶつもりなの?」


「えっ、あぁ…言われた直後には呼ばない様にしようって思うんだけど、いざ次呼ぶ時になると忘れてるんだよな…」


よっ流石阿呆!

鳥だって3歩歩くまでは忘れないのに、あなたは数秒で忘れちゃうんですね。


あと私が何度言っても聞く耳さえ持たなかったのに殿下が言った瞬間答えるとか何気にムカつく。

いや、何気にっていうか普通にムカつくわこいつ。


「あのぉ…」


教室の扉の方から控えめで可愛らしい声がきこえる。

振り返るとそこにいたのは、昨日のパーティーで元婚約者様の隣にいた可愛らしい少女ーーアイリス嬢だった。


まさかの主要人物全員集合。

マジかよ…

読んでくださりありがとうございました!

ちなみに感想などをくださると歓喜のあまり踊り狂います。

冗談です、いえ冗談でもありませんが…

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