表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
終末の運び屋  作者: 俊
骸の王
7/24

1-1 王との邂逅 《精神世界にて》

観察者オブザーバーは嬉しそうに笑っていた。

鏡を囲む3人の少女は現実世界の出来事を見ていた。

もしかしたら予言が外れたかもしれないと思わせるほどの出来事に観察者オブザーバーは笑みを抑えられなくなっていた。


「くふふ、なんとまぁ、回避されたねぇ?予言通りだったぁ?ねぇ、予言者プレディクター?ねぇ、ってばぁ〜♪」


笑みを我慢しようにも堪えられないというような表情を露骨に予言者プレディクターに向ける観察者オブザーバーがそこにいた。

予言者プレディクターの周りで浮く髑髏も心なしか不安げな表情で彼女を見つめていた。


「…まぁ、“予言が外れた”と言えば嘘になりますわ。…ただ本当にかすかに見えただけの未来カードを引いてくるとは…面白いですわね。観察者オブザーバーさん、実験者テスターさん彼の監視を続けてちょうだい。チャンスがあれば骸の王(ロード・オブ・デッド)でもう一度仕掛けますわ。わたくし達はようやく特異的存在を見つけたかもしれませんね」


優雅さを崩さずに答える予言者プレディクターの姿を見て、観察者オブザーバーは不満げな表情となる。

予言者プレディクターはいつの間にか姿を消し、鏡の周りにいるのは観察者オブザーバー実験者テスターの2人だけとなっていた。

ふぅ〜と息の吐く音が流れた後、


「なんなのよあいつぅ!素直じゃないなぁ!“わたくしの予言が外れていましたわ”って言えないのかよぉ!」


悪意の混じったモノマネを挟みながら観察者オブザーバーが叫んだ。

2人だけになったことを確認した観察者オブザーバーは不満を爆発させたのだ。

おもちゃが欲しくて駄々をこねる子供のように地面に寝転び手足をジタバタさせて叫ぶ観察者オブザーバー実験者テスターが眠たそうに見つめていた。


観察者オブザーバー、パンツ見えてるよ」


実験者テスターが冷静に冗談めかして話しかける。

しかし、その程度の言葉では彼女の一度発火した焔を鎮火するには至らない。


「そんなこたぁどうでもいいんだよ!なんなんだよ!いつもいつも毎回毎回!何が予言通りだっただ、ちくしょー。どうやったらあいつの余裕の表情を崩せるんだよっ!」


観察者オブザーバーはなおもジタバタすることをやめない。

実験者テスターはため息をつきながら


「それがあの子の受けた才能ギフトだもの。仕方ないよ」


と告げる。

観察者オブザーバーはジタバタするのをやめ、その場で寝転んだまま実験者テスターを見る。


「でも、その予言すら覆す可能性のある奴はいるんだろぉ?特異的存在とやらがさぁ」


「そうね、あくまでいるかもだけどね」


「ぜってぇ、見つけてやるかんな。なんなら作ってでもあのゴスロリに吠え面かかせてやる」


観察者オブザーバーが決意に満ちた表情を浮かべる。

その隣で実験者テスターは何度もあくびをしていた。


「はいはい、頑張ってね…ふわぁ〜。私はもう寝るわね」


そう言った次の瞬間には実験者テスターは寝息をたてていた。

観察者オブザーバー実験者テスターの顔の前で手を振り、名前を呼んだりして完全に深い眠りについていることを確認する。

そうして観察者オブザーバー実験者デスターに背を抜けながら


「この眠り姫が…だが、まぁなんだ…いつも話聞いてくれて…あ、ありがとな…。な、なんだこれ恥ずかしっ!…さ、さあて!僕はもう少し彼の動向をチェックするとしますかぁ!」


と言った。

いつもは真っ白な肌を真っ赤にさせながら観察者オブザーバーは鏡に映るシオンを見た。

観察者オブザーバーはシオンに彼が特異的存在になるのではと期待の眼差しを向けていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ