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編み出した治療

~前回のあらすじ~


街に到着からの


ギルドテンプレからの


ギルドマスターとバトルからの


緊急事態のシーナです

「坊主はホントにシーナの息子か?」


「そうですよ」


俺は母さんの元に向かう道中おっさん改めギルドマスター改めソルに改めて確認されている。


「あんな事があって辛かったのもわかるが半年もの間どこで何をしていたのじゃ?」


どうやら俺が居なくなった理由を知っているらしい。


「詳しくは言えませんが直ぐに帰る事が出来ない場所にいたのと心の整理をしていた……ですかね」


俺は信用してる人以外にこの半年間の事を話す気はない。


「そうか……」


会話も直ぐに途切れ無言のまま母さんの元にたどり着いた。

そこは豪邸とまではいかなくてもそこそこ大きな家だった。


「ん?馬車が増えとるのう、予定より早いが聖女がきてるのか?まぁいいわ、シーナはこっちじゃ」


俺とネアはソルに連れられて母さんが居る部屋へと案内された。


「シーナ大丈夫か!?」


扉を開けた先には二人の修道服を着た女性とベットで横たわる女性がいた。


「母さん!」


俺は他人に脇目も触れずに横たわる母さんの元に向かう。

顔色が悪い……腕も……血が行き渡っていない証拠だ、早々に治療しないと非常に不味い。


部屋にはネアとソルそれと()()()()()()()に知らない女性がいる。


「直ぐに俺とネア以外は部屋の外にでろ!!早く治療しないと助からない!」


ネア以外は何か言いたそうだったが俺の迫力に負け早々に部屋を立ち去った。


「ネア、外部に漏れないように糸で遮断後に準備してくれ。俺は必要な物を取ってくる」


俺はルームを使い部屋から治療に必要な血濡れ実と仮死の実を持っていく。


「準備は整ってますヨルン様」


「ん……だ、れ…?え…よ、るん、な、の…うぅ、い、いき、いきてえぇ、いきていたのぉ…ヨルン」


「この通り生きていたよ母さん。ごめんなさい心配かけて…ホントはもっと話したいけど、先に俺を信じて治療させて欲しい」


俺は深々と母さんにお辞儀をして頼んだ。


「ごほっごほっ、息子の信じない親なんていないわ…ごほっ、それに隣のお嬢さんを紹介して貰わないといけないしね」


そういって青白い手で俺の頭を撫でてくれた。


「うん…それじゃあ辛いかも知れないけどこの実を食べた後にこっちの実をかじって横になってほしい。暫くしたら意識が無くなるけど、起きたらきっと楽になってるから」


「わかったわ」


母さんは何の疑いも無く俺の言う通りにしてくれた。

母さんに食べて貰ったこの二つの実は、体の血を強制的に増やす役割りと一時的に仮死状態にして最低限の生命活動をさせる効果がある。


暫くして母さんは消え入りそうな息をして意識を失った。


「ネア始めようか」


そう言うとネアは服を脱ぎ背中から蜘蛛の足を八本出す、俺はその間に母さんの服を破き裸にさせた。


「ネア手筈通りに俺は心臓を受け持つから頼んだ」


「わかりました。絶対に助けましょうねヨルン様」


「あぁ当たり前だ」


ネアは八本の足の爪で両足、両手、脇腹、こめかみに軽く刺し血が固まらない毒をほんの少し流した。

俺も心臓付近に同じ様に刺し同じ毒を流した。


「ふぅ…後は血が流れるを待つだけだ…」


母さんが患っている血結晶病は血が塊って結晶化する病気なのだが、俺が二つの実を見つけた事により今回の治療を考え付いた。


その方法は、まず結晶化した血をネアとネアの力を使える俺が血を固めさせない毒を生成しそれを体の各所から刺し流しいれる。

そうする事により、結晶化した血は溶ける。更に事前に血を増やす実を食べる事により刺し傷からは毒の入った古い血が流れ、新しい出来た綺麗な血が体に巡り完治させる方法である。


治療するに辺り、まず毒の量だがこれは魔物を使って毒の濃さと分量を調節した。次に毒の痛みと進行具合だが、これは仮死状態になる事で痛覚を無くし血の動きを悪くする事で解決した。


しかし、ここで大きな問題が発生した。本来は母さんの様子を見て、少しずつ行う筈が今回ぶっつけ本番で一度で治さないといけなくなった。


要するに少しのミスが命とりになり、どんなイレギュラーが起こっても不思議ではないのだ。


そして第一関門の毒の濃さと分量はネアと俺の集中力で何とか大丈夫そうだ。次の関門なのだが、増える血のスピードに対して出てくる血のスピードが遅い。これではいずれ体内で破裂してしまう…


「不味いぞ、血の出が遅すぎる」


「ですが、これ以上の毒の使用は危険過ぎます」


「わかっている…だが出口を増やしても今度は血の出が速くなりすぎる可能性があるし…」


考えろ俺…どうする?やはり出口を増やして…いやこの賭けは危険だ…どうする?考えろ…考えろ…考えろ…


--------------


~???視点~


あたいは同族に追われていた、血を吸わない裏切り者として。あたいもホントは吸いたいけど、魔物の血は臭くて不味くて吸わないじゃなくて吸いたくなかっただけ。


それなのに裏切り者扱いしてみんなして殺しにかかってきた。追われ続け傷だらけになりながらも逃げていたが、とうとう追い詰められもうダメだと思った時に人の少年が助けてくれた。


けれど限界まで無理をしていたせいか、その場で気を失ってしまった。次に気が付いた時、あたいの体には広すぎる寝床に寝かされており尚且つ治療までされていて驚いた。


更には近くの台の上には少年の血と思われる物が皿に入っていた。あたいは夢中でそれを飲んだ、量はそれほどなかったけれどとてもおいしく優しい味がした。


あたいは知らず知らずに泣いていた。


同族にすら嫌われ殺されかけていたのに、あの少年は何の戸惑いもなく殺す対象である魔物のあたいを助けたのだ。助けても襲われるかも知れないのにだ。


あたいは何とかしてあの少年に感謝を示したかった。そんな時、近くで扉が開く音がした。何事かとこっそり覗いたら少年が何かを持って急いで扉から出ていった。


あたいはあの少年を追い掛ける為に開けっ放しされた扉から覗き込んでいた。


何やら寝ている人に何をしている様だが、よくわからない。それよりも隣の人?の背中から蜘蛛の足がでた事の方が驚きだった。


そして何かを終え暫くの時が経った時、少年が声に出して悩んでいた。

どうやら寝てる人の血の出が悪い事で悩んでいるようだ。


あたいは感謝を示せるチャンスと思い扉から出て寝てる人に噛み付き血を吸った。


寝てる人が死なない様に調整をしながら……あれなんだろう苦しくなってきた……でも少年に恩を返せ…る…な…ら…


---------------


~ヨルン視点~


俺とネアが考えている時にそれは起こった。閉め忘れていた扉から何かが飛び出し母さんの首に噛み付いたのだ。


俺はそれが母さんの血を吸い出してくれてるのが直ぐにわかった。徐々に母さんの血色が良くなってきたのだが、その一方でそれの様子がおかしくなってきたのだ。


「ヨルン様、もしかして毒に侵されている可能性があります。しかもあれは毒に弱い性質の筈ですから命に関わる可能性が」


「命だって!?それはダメだ!糞、何とかならないのか…母さんを助けて貰って見捨てるなんて俺には出来ない」


「可能性の範囲ですが……ヨルン様が血濡れの実を食べて血をあれに飲ませ続ければ可能性があります」


少しでも可能性があるなら……


「ですが、私はして欲しくはありません。だってヨルン様の身に何かあれば……」


俺はネアの方を抱きキスをした。


「俺は大丈夫」


「ヨルン様はズルいです」


俺は半笑いをしながら血濡れの実を食べた。

うわぁ、まっず。よく母さん何も言わずに食べれたな。それにしてもあのブラッディバットには助けられた、だから今度は俺が助ける番だ。


俺は腕を傷付け血を垂れ流すが、毒が回ってるのか中々吸ってくれない。それだったらと唇を噛んで血を流し口移しで直接喉に流し込んだ。


少ししたら吸い付きが良くなったので腕を口に当て吸わしてやった。

後ろからネアが「あれは治療の為」となんでも呟いているが、この時はどうしてか俺には理解出来なかった。


「漸く吸い終えたか」


俺の血を吸って元気を取り戻したブラッディバットは俺の回りを飛び回っていた。


「これで一段落ですねヨルン様」


「ああ、そうだがまだ安心は出来ない。それとブラッディバットはもう少しの間中に入っててくれないか、母さんはいいが他の奴に見られたら好ましくないしね」


そういうとブラッディバットはルームの中に入っていき、ネアは足を背中にしまい脱いでいた服をきた。


俺はというと、もう少しネアの綺麗な体を見ていたかったがそういう訳にもいかずネアに無理矢理寝かされてしまった。


-----------


~ネア視点~


あー遅かれ早かれそうなるとは思っていましたが……まさかこんなにも早いなんて……多分今頃は()()しているでしょうから、()()とは後で色々お話ししましょうかね。


それよりもお義母様が助かって良かったですねヨルン様。私も嬉しいですし何よりこの憑き物が落ちたような寝顔……とても可愛らしいです。


さて残す所は私の事ですが、本当に受け入れてもらえるでしょうか?もしも受け入れて……いえ、もしもの考えはやめましょう。

私も覚悟を決めてきたので、後は最後まで突き通すのみです。


-----------------


~???視点~


あーあ情けない………あたいとした事が恩を返す筈がまた助けられちまったよ。それにしてもあの少年なんの戸惑いもなく魔物であるあたいと口付けをするとは………意味わかってるのかね?


あたいは魔物、少年は人、交わる事が出来ない決定的な壁がそびえ立ってる。それでもあたいはあの唇の感触それにあの血の味を忘れることなんて出来やしない……どうしたら……あーこうなったらあの少年に一生着いてってやる。

使い魔でもペットでも何だってしてやるさ、あの少年の近くに居られれば何だってね……これが叶わね恋か……


『願いを叶えてやろうか?かなりの苦痛を伴うがな……』


んん!?なんだ?頭に声が……誰の……少年?いや似てるが違う。ただ何だろうか……不思議と信用出来る。

願いが叶うか……本当に叶うなら苦痛ぐらい耐えてやるさ。


『その願い聞き届けた』


声と共に全身の血が脈打つ。そして皮膚がひび割れ血が溢れだし体を覆っていく。

かなりキツいね……でも耐えて見せるよ、あたいはあの少年の隣に立ちたいからね。


ここは異界の家。その一室で一つの願いが叶おうとしていた。

ブラッティバットを助けて良かったね(o・ω・o)


いつもお読み頂き有り難うございます。

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