ギルドでの騒動
~前回のあらすじ~
奥さん貰ってからの
魔物の楽園ダンジョンからの
ブラッティバット助けてからの
地上到着からの
回りだした歯車です
「はい次の方」
若い男女が門番の前まで出て来た。
「身分がわかる物の提示と銅貨五枚の通行税をお願いします」
「すみません、二人とも身分を証明する物と今手持ちがありませんのでどうしたらいいでしょうか?」
今時珍しく礼儀正しい若者に門番の男は関心し丁寧に返答した。
「それだったら、入ってすぐ右に行った所に冒険者ギルドがあるからそこに登録してお金を稼いでから払ってくれたらいいよ。登録証は身分証の代わりになるから問題ないし、お金稼ぎも雑用なんかもあるから問題ない。あっ通る前にこの球体に触ってもらうのと借用証明を渡すから」
若者二人は球体を食い入るように見つめていたのを見てド田舎から来たと門番の男は勝手に勘違いをしていた。
「この球体は犯罪履歴を見る物で、過去に捕まった事のある人が触ると赤く光る様になってるんだ。君たちは・・・・よし問題ないな。ようこそ冒険者の街コーワへ」
門を潜った先には久しぶりに見る沢山の人や獣人、エルフやドワーフ。それに沢山のお店、二人は別々の事を思ってはいたが目だけは同じように輝いていた。
「今日は時間も遅いし会い行くのは明日にして先に身分証などを作りに行こうか」
二人は門番の男に教えて貰った冒険者ギルドへと足を進めた。
「すみません、俺と彼女の冒険者登録をしたいのですが?」
「はいご登録ですね、一人銀貨一枚かかりますがよろしいですか?」
そういわれ俺は先ほど手渡された借用証明を受付に見せた。
「そういう事ですね、わかりました。通行税はギルドからお支払いしておきますのでお二人はギルドに銀貨二枚と銅貨十枚借りた事になります。なので今日から一月の間に依頼をこなして頂き返却して・・・」
「あっ大丈夫です。後ほど道中で倒した魔物の魔石を買い取ってもらおうと思っていますので」
「それでしたら大丈夫ですね。では少々お待ちください」
受付の猫獣人のお姉さんが登録用紙を二枚差出して来た。
「ではここに名前と年齢、能力を書いてくださいね」
「えっと能力もですか?」
「あっ他の冒険者に見せたりはしないですよ。ギルドが能力を知るのは能力に見合ったお仕事を斡旋する為ですよ」
「そうなんですか、それでしたらこれで」
「私もこれでお願いします」
二人は受付に登録用紙を渡した。
「えーと、ヨルンさんは15歳で能力はルーム・・ネアさんは十六歳で能力は糸魔法ですね。これで登録しますので最後にランク分けの試験をさせて頂きますが、良ければその間に買い取りの査定を致しますのでここに出していただきませんか?」
「そうですねお願いできますか?」
そう言ってネアお手製のカバンから一メートルの魔石を取り出しカウンターに置いた。
「え、え、えーえ!?マジックバック!?そ、それにお、大きい...これを査定で...よろしいですか?」
「お願いします」
俺は満面の笑みでお姉さんにお願いした。
と、不意に後ろから数人の男達が声をかけてきた。
「おいおいどこの坊ちゃんだよ?」
「なぁ何人雇ってその魔石を手に入れたんだよ?」
「まぁ俺達は優しいからそんな事言い触らしたりはしないけど、もしかしたら口が滑るかも知れねぇから部屋に閉じこる代わりにそこの女を一晩貸してくれねぇか?」
あー要約すると、俺がどこぞの貴族の息子で金の力を使って魔石を手にいれた。その事黙ってやる代わりにネアを寄越せと....くだらねー。
「どうぞ言い触らすなりして下さい、あっお姉さん試験って「きゃっ」...」
後ろを振り向くとネアの綺麗な髪を引っ張る男、それを見てニヤついている取り巻き達。
俺の中で何かが切れそうになる・・・
「おい、お前ら俺の大事な女に手を出して只で帰れると思うなよ?」
「はぁなにを....?」
既にネアは俺の腕の中。髪を引っ張ってた腕は宙を舞っている。
「いでぇぇぇぇぇ!俺のうでがぁぁぁぁ!」
俺は無差別に殺気を放ちながら言い放つ。
「お前ら誰の女に手を出したか後悔しながら死ね」
俺は腕を振り上げ軽く振り下ろそうとした時後ろから腕を掴まれ止められた。
「ギルドマスター!」
怖くて隠れてた受付のお姉さんが叫んでる。
「もうその辺で許してやってくれんか?」
俺の腕を止めたのは体格のいい強面のおっさんはギルドマスターか。
「なぜ?俺は俺の女に手を出した報いをこいつらに受けさせる」
「女の髪を引っ張ってた奴の腕は無くなり、坊主の殺気を真近くで浴びた他の奴らは再起不能で今後冒険者活動が出来んじゃろ。それでもまだ足りんかの?」
「あぁ足りないが、ここはギルドマスターであるアンタの顔を立てて条件次第で許してもいいが……構わないかネア?」
「私はそれで大丈夫です」
「との事だがどうする?」
ソルは少し思案した後口を開いた。
「坊主は今からランク分けの試験との事だがワシが試験管をやって、ワシに勝てたらSランク負けてもAランクでどうじゃ?」
「ハハハ、嫌いじゃないやり方だ。でもいいのか?いきなりそこまでランクを上げて?俺としてはコイツらを見捨てた方が楽だと思うんだがな」
「良くは無いが仕方が無いじゃろう、Bランクのそいつを瞬殺する奴が低ランク居る方がギルドとしてはもっと良く無いしのう。それにワシの管轄のギルド内で死人を出したくもないしの。
職員は怯えてるこいつらとこの腕の無い阿保を治療してやれ、ワシは坊主とサロを連れて闘技場にいく」
「ええっ!?私もですか?」
「当たり前じゃろ、担当したのがおまえさんなんだから」
「そんなぁ~」
俺はおっさんと首根っこを掴まれ引きずられるお姉さん改めサロに付いて行き闘技場に入った。闘技場には観覧席があり先程のやり取りを見ていた冒険者で満席になっていた。
「では坊主、獲物は何を使ってもよいから全力でかかって来るとよい」
んー、獲物か...流石に何もしてないこのおっさんを殺したいとも思わないし素手でいっか、ってあのおっさんの大剣背丈よりデカいんじゃねえか!?まぁいいけどね....
「あー俺は素手でいいよ、おっさん殺したくないしね」
「ほーワシも舐められたもんじゃのう。ワシは手加減が苦手なんじゃ、坊主後悔してもしらんぞ?」
「そういうのもういいから、早く来てくれない?」
「その減らず口を二度と言えなくしてやるわ」
構えと同時におっさんはその体格からは想像がつかないスピードで俺の正面まで来て大きく大剣を振りかぶってきた。
「チェストォォ」
俺は向かってくる大剣を片手で掴んで受け止め一歩踏み込みもう片方の手でおっさんを横にはたいた。おっさんはそのまま壁に激突し会場内はまさかの事態で静まり返った。
「坊主...何をしたんじゃ?ワシの大剣を片手で受けるのもワシが吹きとんどるのも何かの能力としか考えられん」
うわぁ、おっさん瓦礫の中から傷だらけで這い出てきた、叩いただけだけどまだ意識があって喋れるなんて中々タフだな。
「能力なんて使ってないよ。ただ受け止めて叩いただけホントにそれだけだ」
「ふははははははっ」
おっ何とか剣を使って立ったけど.....頭を打ってイカれたかおっさんよ。
「いやー悪い、慢心しておったのはワシの方だったみたいだ。試験は坊主の勝ちじゃそれでじゃ....」
バンっ!
「マスター大変です」
勢いよく扉を開けたのは血相を変えた男。その男が重要な事を伝える為に闘技場に舞い込んできた。
「なんじゃ騒がしいの」
「シーナさんの容態が急変しました」
「なんじゃと!?」
「母さんの!?」
「今坊主なんといった?」
「母さんと言ったんだ。この街に他にシーナと呼ばれた人が居なければ俺の母さんで間違いない。それよりも俺を母さんの所に案内してくれ」
「ええい、ついて来るんじゃ」
突然の状況に頭が追いついていないソルだったが連れていけば全てわかると思い決断を下した。
「ネア行くよ。それとアレの準備もお願いね」
三人は急ぎシーアの居る場所まで向かった。
ギルドの規定やランク説明聞く前に出ていっちゃった(o・ω・o)