出会いの果てに
~前回のあらすじ~
成人の儀からの
恋人の裏切りからの
アラクネを助けてからの
ルームです
母さんなんで父さんは殺されちゃうの?
何も悪い事してないのに。
何で周りが避けていくの?
何も悪い事してないのに。
どうしてジルは俺を捨てたの?
何も悪い事してないのに。
どうして皆裏切っていくの?
どうして。どうして。どうして。どうして。どうして。どうして。どうして。どうして。どうして。どうして。どうして。どうして。どうして。どうして。どうして何も悪い事してないのに!!許さない、父さんを母さんを俺を裏切った全てを許さない!!
ばっ...
「はぁはぁはぁ.....夢か......ここは?」
どこかの部屋で今はベットの上......徐々に記憶が鮮明に蘇ってくる....
「そうだ腕は!?」
大怪我をしていた左腕には包帯のような物が巻かれている。
ガチャ...キィー...
不意に扉が開かれ、入って来たのは上半身は女性で下半身は蜘蛛の魔物アラクネであった。
「き、キシャシャシャー」
アラクネはすごい勢いでよってきて俺に抱き着いてきた。
「シャシャシャキシャシャキシャ」
魔物であっても女に抱き着かれるのはうれしい、ただ柔らかい物が当たって色々ヤバいかな。
「そろそろ離してくれるとうれしいかな」
アラクネは綺麗な顔を赤らめながら俺を離してくれた。
そして俺は左腕を指して考えている事を質問してみた。
「この腕の治療やここまで運んでくれたりしたのはキミかな」
アラクネは頷いた。
「そっか、ありがと。それと何で俺を運んで....いやこの質問はおかしいか.....今から言うのは独り言としてきいてほしい、嫌な夢を見て誰かに聞いてほしい気分なんだ」
そこから今まであった事、ジルに裏切られたこと、魔物であっても綺麗な君を助けたかったこと等思っていた事を全部ぶちまけた。その間アラクネは無言で聞いてくれていたがすべてぶちまけた後アラクネは優しく俺を抱きしめてくれた。
「うあぁぁぁぁぁぁぁぁ」
そして俺は思いっきり泣いてしまった。その間もアラクネは優しく抱きしめてくれていた、まるで恋人の様に。俺は数分間泣き続けそのまま寝てしまった。
---------------------------------------
私はアラクネ上半身が人の女の身体で下半身が蜘蛛の魔物だ。私はダンジョンの七十階層で徘徊をしていたのだが、数年に一度の大変動に巻き込まれ五階層に迷い込んでしまった。
そこで運悪くデッドウルフの群れに遭遇してしまい一階層まで追い詰められてしまったのだ。私は必死に闘い何とか群れのボス以外は倒したのだが、そこまでだったボスは強く傷をおった私では勝てないのは目に見えていた。
私は死を悟り受け入れ様とした時、黒髪の少年が私とデッドウルフの間に入ったのだ。私は驚愕した、ここに人がいるのもそうだが私に背を向けデッドウルフと対峙していることに。しかも後ろから襲われるとも微塵も思っていないのか一切後ろを振り返ろうともしない。
私は少年の小さな背中に何かを感じたが、この怪我だどちらにせよ私はもう長くないだろうと思いその瞼を閉じ意識を手離した。
しかしそうはならず、次に目を覚ました時初めて見る場所で傷が塞がった状態で倒れており隣には左腕から大量の出血をして倒れている少年。
私はすぐさま唇を触り口の中の味を確かめ理解した。この少年は知ってか知らずか私に血を与えたのだと。アラクネに取って人の血は治療薬であり自身の力を増す物でもあった。
なんという事か魔物である私はこの人である少年に助けられたのだ、何としても恩を返さねばいけない例え人であろうと関係ない。私は持てる毒を駆使して少年を治療し、最後に糸で包帯をして寝かせられる場所まで運んだ。
寝かせた少年はひどくうなされていた。私は何故かこの場所にいるのが辛くなり少しこの空間を探索していたが、やはり少年の事が気がかりで寝かせた部屋に戻っていった。
私は扉を開けるとそこには起きた少年が居た、私は思わず少年を抱きしめてしまった。この時、助かって良かったや恩を返さて良かったと思った以外に、他の気持ちも私は抱いていたがこの時は何か分からなかった。
その後離れて欲しいと少年に言われ離れたが、何故か自分の行動を恥ずかしく思い顔が熱くなってしまった。
そこから少年は私に幾つかの質問した後、自分の事を話し出した。話してる内容は酷いものだったが、話してる少年の顔の方が何倍も酷い様に思えた。
だけどその話の最後に私の話が出て来た事がすごくうれしく胸が高鳴った。この時私は理解した、私はこの少年に叶わぬ恋をしているのだと。人と魔物……所詮は相容れぬ存在、でも私は少しでも少年の心を軽くしてあげたいと思い話し終えた後静かに抱きしめた。
今、少年は泣き疲れて私の腕の中で眠っている。私は少年をこんなにした人を許せないと心の奥で思い寝顔を見ている。
だがこの後直ぐにあんなことになり、私の願いが叶うとは予想もしていなった。
-----------------------------------
「ん....寝てしまってたか」
目の前には魔物に見えない綺麗な顔が俺を覗いている。
「ありがとうアラクネ」
俺は自然と手をアラクネの頬に置きそのまま口付けを交わしてしまった。俺もどうしてかわからない、でも目の前のアラクネが愛おしくて堪らない例え魔物でも。
口付けが終わり顔を離した時異変が起こる、急にアラクネが後ろに飛びのき奇声を出しだしたのだ。
「きぃーーーーあーーーあーーーー!」
それからアラクネは糸を出し自らを包み繭になった。
繭に籠るなんてまるでサナギじゃないか、でも繭になるなんて聞いた事が無いな。やっぱり俺のせいかな魔物に人とのキスは毒だったかもしれないな....
ビリ...ビリ...ビリ...バリバリバリ………
「えっ....アラ、クネ?」
そこから出てきたのは裸の女性だった。
「は...い」
舌ったらずな言葉だが紛れも無く人の言葉を話したアラクネは俺に抱き着いてきた。
「な、ま、え、きい、ても、い、い?」
「ヨルンだ」
アラクネは勢いよく俺をベットに押し倒し再度口付けを交わしてきた。俺も男、目の前には裸の女性しかもプロポーションは抜群で顔は絶世の美女……俺は迫りくる欲望には勝てず駆け足で大人の階段をかけ上がった。
-------------------------------------
「....おはようアラクネ」
「おはよう、ございます、ヨルン様」
早くも人の言葉に慣れたのか大分流暢な言葉になっている。その事を言おうとアラクネと目を合わせたが昨日の事が恥ずかしくなって目を逸らしてしまう。
「昨日は初めてで...その...」
「もちろん、私も、初めてですよ。人の、交尾、はあんなにも、激しいものなのですね」
「そんなにズバット言わなくてもいいじゃないか」
二人は顔を見合わせてクスクス笑いあった後アラクネの糸で作った服を着て今の現状と今後の話をする事にした。
「お話しする前に先に一つお願いを聞いてもらえませんか?私に名前を付けてください」
「そっかアラクネは種族名だもんね.....うーんネアはどう?」
「ネアですか?ネア……すごくいい名前です。ありがとうございます私は今日からネアです」
名付け終わった時俺の中でストンと何かが落ちた、まるで喉につっかえていた物が落ちる様に。
「では、私の事をお話ししますね。まずはこれを見てください≪ステオープン≫」
名前 ネア
種族 クイーンアラクネ
年齢 120歳
称号 魔王(アラクネ種の王) ヨルンの妻 種を超えし者
能力 糸生成 糸放出 糸硬化 毒生成 毒放出 毒無効
ヨルンとの繋がり
ん?魔王は百歩譲って良しとしよう、だがその隣の俺の妻って...マジ?
「アラクネ種にとって口付けは番いの申込みになりそれを受け入れれば晴れて番いとなります。それと私が人型になれたのはヨルン様の能力のおかげです」
どういう事だ?とりあえず≪ステオープン≫
名前 ヨルン
種族 人
年齢 15歳
称号 従えし者 進化させし者 ネアの夫 種を超えし者
能力 ルーム ネアの力 ネアとの繋がり
「ヨルン様よく見てください」
えーと、従えし者は繋がりを持った者の力をそのまま使う事が出来る称号。
なるほどね、進化させし者はと、自然に進化条件を達成させ相手の思うように進化させる事が出来る称号。
.......いや、何気にすごくないですか?この称号....
階段を駆け足で昇る………解り面いかな?