名も知らぬ魔族の末路
~前回のあらすじ~
ヴィネ無双からの
ネア無双からの
ソル無双からの
ヨルン一発です
~ネア視点~
ドドドドド………………ドン、バン、バン…………
「「えっ!?」」
「ネアさん、魔物って空から降ってくるのかな?」
「いえ降ってきません。ただ原因はハッキリしてます」
後方から何かが凄い勢いで駆け抜けて行きましたが……多分ヨルン様ですね……その証拠に線上にいた魔物が吹き飛ばされていますから。
ただ、もう少し吹き飛ばす位置を考えて欲しいです。もう少しで私とお義母様に当たる所でしたよ。ホンっとに……帰ったら説教です。
ドゴォォォンッ!
今度は何で…………ヨルン様…………説教する内容を追加致します。
「ね、ネアさん、あ、あれは?きっと何かの見間違いよね?山が半分ほど……」
「いえ、見間違いでは無いですお義母様。先ほどの魔物といい今回のやり過ぎといい、全てヨルン様がされた事です」
これはもう一度手加減についてお話する必要がありますね。
「よ、ヨルンがね、ねえ……じゃあ、あの空にいる魔族も大丈夫かしら?」
魔族?
ヨルン様が頭を下げてる後ろにそれがいた。気配は私とヴィネに似ているが人族にも似てる……そう、私とヴィネが純粋とするならばアレは紛い物。人族とも違うけど、魔物でもない……アレが魔族ですか。
「アレが魔族ですか……私達と似た気配を感じますが魔物では無いのですか?」
私達を含め周りの魔物達も一斉に手を止めている。いや、正確には動けない程の殺気を浴びている。お義母様も私が前で殺気を受け止めなければ少々キツいかも知れません。
「ネアさん魔族を知らない?あっそれと無理して殺気を受け止めなくて大丈夫よ?これぐらい何とも無いからね」
「決して無理をしていないので大丈夫です。それよりも魔族とは何なのですか?」
魔物が動かない今少し細工をさせて貰いましょう。私はお義母様の話を聞きながら魔物に気付かれない様に魔物同士を糸で結んでいく。
「魔族はねここよりもずっと北に国を構えていて邪神を拝め自分達がこの地の支配者だと言って人族や獣人、エルフ達を襲ってくる狂人達なのよ。
しかも言うだけの事があって魔法も使えて身体能力も高く魔物も操れる見たいなのよ」
魔物を操るですか……多分アレは私とヴィネの正体に気付いていると思いますが、何もしてこないという事はアレが操れるのは何かの条件を満たさないといけないもしくは地上の魔物だけ、あるいはその両方と言った所でしょうか。
「ネア姐さん」
「シーナ」
どうやら二人は私の仕掛けに気付いて合流したようですね。
ヨルン様もアレと始めるようですし私もそろそろ仕掛け終わりますので、まもなくこの戦いも終わりが近いようですね。
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~ヨルン視点~
「俺達だが何か?」
何だか肌が浅黒く気持ちの悪い奴だな……
「あなた達だけで?また冗談を……」
面倒くさそうだしやってしまうか。
「冗談かどうかはやってみたらわかるだろ?」
そう言って勢いよく飛び出し殴り突けたが拳がこいつに届くこと叶わず見えない何かに遮られた。
「野蛮な人ですね。名乗る位待てないのですか?」
やっぱり面倒くさい奴だな……にしてもあの見えない何かは厄介だな。もう少し本気でやるか……
「ネア、少し本気を出すから回りを片付けてくれ」
「わかりました。お義母様、この糸に最大の雷を流して頂けませんか?」
「わかったわ、テオライトニング!」
回りの魔物に繋いでいた極細の金属糸に高圧の電流が流れ次々に魔物が倒れていく。
「なっ!?」
「ネア、全員連れて離れろ」
俺以外の全員がその場を後にする。それと同時に少し本気になったスピードでアイツの左右から攻撃を仕掛ける。
「無駄ですよ。私の防御魔法は鉄壁なのですから。何せ私は魔王四天王が一人……」
何か言ってるがよく聞こえない。それよりも前後左右どこも駄目か……けど振動が伝わってるのか髪が揺れてる。
「振動は伝わるか……ならもう少しギアをあげて全方位からほぼ同時に攻撃を仕掛けるか」
俺はもう一段階ギアを上げて全方位から殴り突けた。
ゴガンっ!
大きな土埃を巻きあげ辺り一面が砂嵐に包まれた。
暫くして砂嵐が引き中から目、耳、鼻、口から血が吹き出て倒れているアイツがいた。
「ぐっ、ば、ばかな…ぶっふ…どう…やっ…て」
「どんな生物も中身を攻撃されるとそうなるって事だって死んでるか」
それにしてもコイツ魔王がどうとか言ってたな……それに結局名前も名乗らなかったみたいだし、変な奴だったな。
魔族が倒れた事により運よく生き残っていた魔物達は一斉に元来た道へと帰っていき、コーワ街への魔物の進行は幕を閉じるのだった。
名前言えなかったですね。