魔物との戦い(準備と開戦)
頑張って一日一話目指したいと思います。
~前回のあらすじ~
ヴィネとの一夜からの
情事の暴露からの
ソルが付いてきたいからの
魔物の軍勢です
~ソル視点~
西門から離れた場所、魔物が迫って来ている目と鼻の先で5人は立っていた。
「おおーいるねー。ゴブリンにオーク、オーガやワイバーン、おっ!グリフォンやキマイラまでいるじゃないか」
今、目の前で目を輝かせているのはワシの孫であるヨルン。あれだけの魔物群れをたった5人で戦おうというのに臆するどころか余裕すら感じる。
それにヨルンは出発前に、この戦いで2人の正体が分かると言っていた。
ワシはこの戦いに勝つ事は勿論の事、確りと2人の正体を見極めねばならん。
それにしても、この大剣といいあの杖といい、どこでこんな物を手に入れる事ができるんじゃ……そして極めつけはあの条件じゃ……
「ああ、但し条件がある」
「なんじゃ言うてみい。この危機を打開出来るのであれば領主とマスターの権限を全て使うわい」
「では、俺とネアとヴィネ、それとソルじいちゃんの4人が西門から出た後、西門を封鎖して貰う。そして他の兵士、冒険者たちには他の門の警戒に当たらせる。以上だ」
「おい!それはちと無謀すぎじゃぞ!」
「そんな事は無い。正直俺1人でも全滅させれると思うが、万が一討ち漏らした場合が無いようにその体勢をとってもらいたい」
ワシはヨルンの言葉に耳を疑ったが、シーナの治療方まで見つけて来たヨルンが安易にそのような事を口にする筈が無いと思い至り……
「サロ、サブマスターに冒険者は他の門にて討ち漏らしの討伐せよ報酬は金貨5枚と伝えてくれんか?」
「えぇ!?」
「それと西門で大規模魔法を行使するから巻き込まれたくなければ近づかないようにとな」
「大規模魔法……分かりました。そのように伝えます」
サロも何か察してくれたのじゃろう、すんなりと退いてくれ急いで戻っていったわ。
「さて、表向きの大規模魔法で西門の人払いをしたんじゃ、勿論話してくれるな?」
「ああ、二人の正体を教える為に丁度いいと思ってだ。勿論、俺1人でも問題ないのは嘘じゃない」
この騒動で二人の正体を教えるじゃと?そもそも華奢な二人が魔物相手に戦うなど無理であろう。
「今、華奢な二人が戦うのは無謀とでも思ってる?ヴィネは分からないが少なくともネアはソルじいちゃんより強い。だから無用な心配はしなくて大丈夫」
「ネアさんがワシより強いだと!?」
「論より証拠、魔物相手で見たらいい。それより今は時間がないのだろう?先に向かおう」
「そうじゃの、急ぎワシも大剣を取ってくるわい」
「いや、いい。現地で俺が使ってない物を渡そうと思う。ネアとヴィネ、それと念のため母さんもルームに入っていてくれ。ネアはあの剣を準備もしておいて欲しい」
「畏まりました」
「それじぁあ行こうか」
ワシはヨルンに言われるがまま武器も持たずに西門まで来てしまった。
「門番ご苦労様じゃ。領主のワシの名により任務を言い渡す。君はワシたちが出た後、門を封鎖せしワシが帰って来るまで決して開けるでない。
そして君は全兵士に他の門の防衛をするように伝えよ」
「「はっ!」」
言葉通り門を出た後、確りと封鎖された。
「よし魔物までまだ距離があるな、ネアとヴィネは外で待機して。ネアはソルじいちゃんにアレを」
ルームの扉からネアとヴィネが先ほどとは違う黒を基調にしたメイド服で出てきた。
「まさか、その大剣が言っていた物か?」
出てきたネアの手には刀身が1メートル強、幅が30センチ弱の大剣が握り締められていた。
「その通り、大狼フェンリルの牙で造った剣だ」
渡された大剣を握り軽く振ってみると、驚くほど軽く良く手に馴染む。
「よく、フェンリルの牙が手に入ったのう。いかほどしたんじゃ?」
滅多に出回らないフェンリルの牙、買うだけで金貨数百枚は下らない稀少な物。ましてやこの大きさ、売れば一財産になるだろう。
「ああそれは、フェンリルから貰った物を加工しただけだから元手はタダだ。だからソルじいちゃんは気にしないで使ってくれ」
ワシはこの大剣よりもフェンリルから貰ったの言葉に驚きを禁じ得なかった。
「これが終わったら洗いざらい聞くかのう……」
ワシは新たな武器を手にこれから始まる戦いに身を引き締め直すのだった。
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~シーナ視点~
「お義母様は戦いが終わるまでこちらの部屋でお休みになって下さい」
私はネアさんに案内され、部屋にいる様に言われた。
「ネアさん、お願いがあるの」
私は病気が治って直ぐにある決意をしていた。
「何でしょうか?」
「私も戦いに参加させてくれないかしら?」
「それは……」
「ネアさんやヨルンの気持ちは有り難いわ。でもね、もう嫌なのよ。私の知らない所で私の大事な人が傷付くのわ。それにね、こう見えて昔は【雷神の魔女】って二つ名がある冒険者だったのよ?足手まといにはならないと思うわ」
「ですが……何かあれば……」
「もう大切な人達を失うのはごめんよ。だから私は護る為に戦うわ、ヨルンが貴女たちを護るみたいに、ね」
ごめんなさいね、ネアさんを困らせてしまって。でもこれが私の決意なの。
「……わかりました。そこまで言うのであれば、但しお義母様でも条件があります」
よし、第一関門突破ね。
「まず、私が用意出来うる最高の装備を着けて下さい。それと、何かあれば直ぐにヨルン様、もしくは私に仰ってください。万が一にも怪我をされたらいくらお義母様でも引っ張って戦線離脱致します。いいですか?」
「問題なしよ。それで私の装備は何処にあるのかしら?」
「直ぐにお持ちしますので少しお待ちください」
暫くしてネアさんが私が付ける予定の装備を持って来てくれたのだが....
「これは....なんというか...控えめに言っても凄いのが分かるのだけど」
「そうですね...凄いかどうかは分かりませんが、これは雷獣麒麟より頂いた角を元に作った杖と頂いた体毛と私の糸で編んだローブです」
麒麟!?超危険大災害級の魔物じゃない!?....それに今頂いたって。
「この装備で万が一も無いと思いますので、絶対に着けて下さいね。絶対、ですよ」
「わ、わかってるわ。でも後はヨルンに説明するだけね。ネアさんからも宜しくね」
「.......はい」
そして私は決意を胸に外に出るのだった。
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~ヨルン視点~
何でこうなった。本来ならばネアとヴィネの正体を教える戦闘の筈が....何故母さんが加わる!?
二人と一緒に出て来たと思ったら完全装備で戦う気だし、いくら駄目だと言って引かない処か何故かネアが母さん側の援護射撃に加わって押してくるし....ネアが確り見てる事を条件で泣く泣く許可出すしか無かったじゃないか。
ああもう、そろそろ魔物が射程圏内じゃないか....よし、俺も後で暴れて憂さ晴らしをしよう。
「母さん、話した通り開戦の強烈な魔法を頼む」
「任せない。【雷神の魔女】の力見せてあげるわね。
空よ 大地よ 海よ 大いなる自然の怒りたる雷の力を貸したまえ!
雷の雨」
魔物の群れに雷が雨の様に降り注ぐ。日が昇っているにも関わらずそれを更に白くさせんと光が立ちこめ、激しい爆音が鳴り響く。
魔物も無防備だった事からかなりの数が死傷し、こちらに向かう速度が明らかに落ちだした。
それを待って居たかの様にヴィネが飛び出し続く様に、ネアとシーナ、ソル、最後にヨルンが飛び出す。
さぁ魔物ども、悪いが俺たちの都合の為に蹂躙されてもらおうか。
本格的な戦いは次話からです。
本当は今回から戦い無双したかったんですが、少し書きたい箇所があったので次話に持ち込みました。
ごめんなさい(*_*)