絶ち切られた鎖と出会い
頑張ります(^_^)v
「おーい、帰るぞ」
「「「はーいヨルン様」」」
俺は設置した扉を開ける。そこはまさしく家、部屋が幾つかあり台所がありお風呂がある至って普通の家・・・場所がダンジョンじゃ無ければだが...。
「ヨルン様?明日からこのダンジョンを本格的に攻略するんですよね」
今、話しかけてきたピンク色の髪をした綺麗系の美女メイドはネア。
「いよいよだね」
次に話しかけてきたのは胸以外はスタイルが完璧な黒髪美女メイドのヴィネ。
「僕としてはもう少しゆっくりでも良かったけどね」
最後に話しかけてきたのは金髪ロリ巨乳メイドのルル。
「みんな思う所はあると思うが少しだけ俺の我儘に付き合ってくれ」
「当たり前です」
「当たり前だよ」
「当たり前だね」
俺は涙を目に溜め三人を抱きしめた。
「ホントにお前たちは主人思いの魔物達なんだ」
そうこの三人は人では無く全員紛れも無く魔物なのだ。
何故人の姿をしているか?話せば長くなる...そうあれは三年前、俺が成人の儀をおこう時まで遡る。
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「ヨルンどうしたの?ははは・・・もしかして柄にも無く緊張してる?」
「っ!うっせーな、俺だって緊張すんだよ...そうゆうジルはしてないのかよ?」
「してるけど...ヨルンが一緒だし.....どんな能力でも嫌わないでくれるんでしょ?」
「お、おう...お前は俺が守ってやるよ」
「そこは好きって言って欲しかったなー」
「も、もち、ろんジルの事、大好き、だよ」
「大好き...へへへっ....そろそろ始まっちゃう行こ」
俺は頬を染めたジルに手を引かれ神殿に向かった。
今日は待ちに待った成人の儀。
それは今年十五歳になった者達を成人と認め主神オーディから何らかの能力が与えられる日である。
俺と幼馴染のジルは十歳になっており今日成人の儀を執り行う。そして成人と同時に婚約するという親にも認められた間柄だったりする。
神殿に入ると俺達は広い場所に集めらた。
「これより成人の儀を始めますが今日は特別に勇者様が来られてますので一言頂きたいと思います」
壇上にもの凄くイケメンが上がってきた。
周りのジルを含めた女の子はみんなキャーキャー言ってるし、まぁあの顔は仕方が無いかな。
「皆さんお静かに、只今ご紹介に頂きましたアレックスと言います。私は商人の息子でしたが二年前の成人の儀で勇者の称号を頂き人生が変わりました。
もしかしたら私の様に人生が変わる方がいるかもしれませし、居ないかもしれません。ですがどちらにしてもこの成人の儀は人生において大きな分岐点になる筈ですので、与えられた能力を真摯に受け止め有効に使ってより良い人生を歩んでください」
勇者の演説が終わり壇上から下りて行く。
周りはウットリとした目で勇者の後姿が見えなくなるまで追っていた。かくゆう俺のお隣さんもその一人であるが………
「皆さん勇者様のおっしゃた事をしっかりと心に止めて置いてください。それでは成人の儀を始めます」
司祭は主神オーディの石像に祈りを捧げ大きく声を張り上げた。
「我らが主神オーディよ、この度成人を迎えた子達に大いなる祝福を」
俺達を暖かい光を包み込み体の中に何かが入ってきたのがわかった。
「これで皆さまは成人と成られました。旅立つ皆さんに良き人生があらんことを」
周りは一斉に自分の能力の確認をし「やった商人よ」「おお剣豪だ」「しゃぁぁぁあ勇者見習いだ」など様々な声が飛びかっていた。
隣のジルも確認してるみたいだし、よし俺も早速見てみようかな、えーと≪ステオープン≫............はぁ?
名前 ヨルン
種族 人族
年齢 15歳
称号 従えし者
能力 ルーム
おかしい...?称号は普通職業的な物が付く筈なんだが、従えし者?聞いた事もないし後で図書館で調べてみようかな。
チョンチョン....ん?
「ヨルン?私少し良い物貰っちゃた...見てくれる?」
ジルに腰を突かれステを見てほしいといわれたけど少し良い物ってどんな称号だろう?
名前 ジル
種族 人族
年齢 15歳
称号 聖女見習い
能力 メディカル
「聖女見習い!?少し所じゃ...」
俺の口はジルの指によって塞がれた。
「少しなの...これでヨルンが怪我しても直してあげれるしね」
俺はジルと手を繋ぎジルの親に報告しに向かった。
俺の父親は早くに無くなっており母親も病気で隣り街の祖母の家にいてる。そして俺は商人であるジルの家で住み込みで仕事をして母親に仕送りを送っていた。
「ただいまーお父さんお母さん帰ったよー」
「お帰りジル...少し話があるからこっちに来なさい。ヨルンとは後で話をするから二階の部屋で待っていてくれないか」
俺はジルのお父さんに帰って早々にヨソヨソしい態度でジルと離され二階の部屋に行かされた。
「んー?どうしたんだろう?俺何かしたかなー?」
俺は床に座り何をしたか考え込んだ。その間一階から「えぇぇぇ」とか「本当に!?」とか「する!」等のジルの大きな声が二階まで届いてきた。その後に「ありがとうございます」と玄関口の方から聞こえたので俺は窓から下を見下ろした。
「最後にもう一度聞くけど本当にいいんだね?」
「はいっ!」
「婚約者はどうするんだい?」
「ヨルンは正式な婚約者じゃ無いし、多少顔が良いのとそこそこ腕が立つから婿にしてステータスにしよと思っていました。そりゃ多少は好きだけどやっぱり裏切り者の息子はちょっとね」
「そうかなら僕も罪悪感を抱かなくて済みそうだ」
信じていた人や恋人に裏切られそれだけでもショックなのに、こともあろうか勇者は帰り際にジルの手を取り抱き寄せ甘い口付けを交わしていた。
「何で!何故なんだよジル!」
俺は窓から見た光景に深い怒りと悲しみを覚え、気が付けば俺は裏口から走って逃げていた。現実という残酷な運命から。
どれぐらい走ったのだろう。もう嫌だ、ジルにもジルの家族にも裏切られもうあの家には戻れない・・いや戻りたくない。父さんの事があってから俺の支えは母さんとジルだけだった...
ん・・・?ここは・・・俺は濡れた瞳を拭いながら周りを見た。たしか父さんが裏切り者呼ばわりされた原因の場所だったかな?
ズゴンッ!!
えっ!?足元が崩れた!?
突然崩れた足元にヨルンは吸い込まれていった。
「うわぁぁぁぁぁぁぁイテ!」
そこまで深くなかった様で着地に失敗する程度ですんだ。
俺はどれぐらいの高さか落ちてきた場所を見上げ確認....嘘だろ塞がってる!?いやいや、穴が塞がってるってこの現状まるで食べられたみたいじゃないか。
ん?食べられた...という事はやっぱり父さんの言ってた事はホントだったんだ!でも何故俺も食べられたんだ?確か父さんは仲間が食べられたと言っていた....そもそもなんで食べられたって表現なんだ一体父さんは何を見たんだ。
「とりあえず進むしかないか、それにしてもこの洞窟明るいな...ん?」
キシャー....がるるぅぅぅ...
「えーと....アラクネ対デットウルフってか、ハハハ....」
魔物対魔物ってここの生態系どうなってんの!?...あのアラクネ怪我してるな...何を考えてるんだ俺は、あいつらは魔物だ無視しとけばいい。
それにデッドウルフは武器が無い状態だと流石に勝てない。けど.....何故だろうかほって置けない、いや助けないといけない。何故かそんな気がして気が付いたらデットウルフの前に出ていた。
背にはアラクネ、普通なら後ろからその足で刺されてもおかしくもないが何故か刺されないという確信があった。
しかし勝算は...三割といった所か、こいつらは足が異常に早いからなぁ仕方ない一本やるか。
俺は生身の左腕を盾代わりに差し出した。それを見たデットウルフは左腕に噛みついてきた。俺はワザとそのまま腕に噛みつかせ痛みを我慢しつつ地面に叩きつけ首をへし折った。
「きつっ!あーくそいてー!けど上手くいった」
けど噛まれた左腕が痛いし血が止まらいしクラクラするしピンチかも。
後ろのアラクネは...気を失ってるみたいだな、さてどうしようか。何か使えそうな………そういえば俺の能力ってどんなんだっけ?
【ルーム】亜空間に家が出来る。玄関口は使用者のみ開け閉め可能。
家が出来るのか?いやそんな事より今は使ってみるしか打開策が浮かばない。
「ルーム」
突如何も無い所から扉が現れた。
俺は扉を開けてアラクネを連れ中に入る、何とか扉を閉めた所で俺の視界は暗転した。
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この時の私はとても幸福だった。何でかって?それは少し前、お父さんに連れられてやってきた応接間に勇者様がいて私を一目見た時好きになっちゃって、うふふっそしてそのままトントン拍子に結婚の話までもっていっちゃた。しかも最後に甘いキスのお土産つき。
最初はヨルンに悪いと思ったけど、勇者様は顔はイケメンで将来が約束されている。対するヨルンは多少顔は良いけど裏切り者の息子………どう考えてもヨルンより勇者様に行っちゃうわよね。
その事を考えるとヨルンの事なんてすっかり忘れてしまっていたわ。最後に私に聖女の学校を進めてくれ、四年後に王都で式を挙げる事を約束してくださった。
もう私の心から完全にヨルンの事が消えていってしまった....後に後悔するとも知らずに私はヨルンを........裏切ったのだ。
恋人の裏切りは精神ダメージMAXですよね(ToT)