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内省モラトリアム

作者: keisei1

顔立ちも悪くない 品行方正で

女の好みも趣味も そこそこ良くて


だけど誰も近づけない空気がある

それはあの子だけが持っている欠陥 そして美点


ツァラトゥストラが好きで 帆船の模型を作り

窓の外を虚ろな目で 眺めては

口をつぐんで 考え込む 内省モラトリアム



「わけわかんない」 そう指をさされ

マッチ棒で ピラミッドを作る


哲学者にも似ている その整った横顔

だけどあいつだけが醸し出す近づきにくい欠点


ポアンカレ予想の ドキュメント

楽しそうに鑑賞しては メールも途絶える

塞ぎがちな目で 遠くを見つめる 内省モラトリアム



合わせ鏡の向こうに映る 自分の姿を見つめては

幾何学的な思索にふけるあの子は


姿を隠して 世を眺めてみては 思うところがあり

彼の心は謎めいて 許されるのは 食事時の笑顔


左回りで回る地球 空想してみて

微笑んで 苦しみとか絶望とか

退けては 叶う夢を見る 内省モラトリアム



誰も知りえない 秘密を抱えて

どこにでもいるふりをして その実態は希少種そのもの

忘れた頃に現れる 彼の名前は内省モラトリアム

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― 新着の感想 ―
[一言] 読んでいてなぜか高校生時代のことを思い出しました… 自分にはそういった経験はないのですが、ふと図書館でたたずむ姿が浮かびました… 今年は個人的に忙しくてなかなかに更新がチェックできないのです…
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