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そのネタは本当に起きる危険なもの

その日カクランは昼食を木の下で食べていた。ピクニックかお花見でもしているような重箱に詰めた卵などを一人で黙々と食べ進めていく。

「カクラン、久しぶり」

木の背後から声がした。

確認しなくとも声で誰かぐらい判断はできる。アウラーだ。

「アウラーかな? 久しぶりって程でもないだろ? こないだも会ったし今日だってすれ違っただろ」

「うん、そうだね。話ではないけど」

あれ? 僕挨拶はしたはずだけどな……話すと挨拶はまた別なのか? これからは何か話題を振らないと。

「……んっ!」

いきなり隣に膝をついて顔を覗き込んできたアウラーに驚き喉と息が詰まりそうになった。アウラーはそんな様子を見てクスクスと笑っていた。

「何だよ……」

「何か前より元気そうだなって、人といる時はいつでも分からない位明るいから」

アウラーはそう話しながらカクランに了承を得てお弁当のおかずに手をつける。

「そう……なのか? 僕は別に意識して隠してたつもりは無いんだけど、何? 僕のこと心配してくれてたのかな?」

いつもの女性に向ける笑顔で首を傾げて笑いかけるカクランを見たアウラーは、持っていたおかずを口に入れた後カクランの両頬を引っ張る。

「いてててっ何するの」

「何で狐なのに目がぱっちりしてるの? 笑っても目細くならないし」

「人間の外見にとやかく言われても」

「カクランは狐の時も犬の目だよ!」

僕、何でアウラーに頰を抓られて食事止められてるんだろ? しかも段々強くなってるんだけど。

「アフハッひゃめひぇ」

アウラーは理解不能な言葉で止めるよう促されてを離した。カクランの頰は引っ張られたせいで少し赤くなっている。

「口の中、変な感じする。それで、僕に何か用があったんじゃ?」

「えっ? うん、校長から伝えるよう言われたんだけどね、カクランのお父さんが近々来るって」

「はぁ!? 何で!?」

考えてみれば当たり前のことだろう。親が子に掛けられた容疑について冤罪であって欲しいと思うのは。その上でルウブに言われてグラン王は事件に関する資料を一切誰にも見せなくしたのだ、気にして来るのは普通だ。

にしても、母さんなら分かるけど、何で父さんが……?

ルウブの奴、こうなる事まで考えてわざとか?

「嫌な予感……」

「フフフッ、カクランでも嫌な顔するんだね、初めて見たよ」

「一応、感情はあるからね」



美来達はディネと共にスカイアイランドの下にある海辺に来ていた。

「って、おい。依頼の場所は反対側だろ」

「何でスカイアイランドの下にわざわざ来るの?」

上空には雲の隙間にチラチラと浮かんでいる島が見える。

「バム、あれって……青い石持ってバ○スって唱えると崩れるやつ?」

「やってみる?」

バムは想像石を取り出して手を繋ごうとした。その手をレゲインが抑え込んだ。

「やめろ! しゃれにならねぇよ! お前ら二人の想像源ならマジであの島壊れるぞ!」

「どうして?」

美来は本当に分からないようでレゲインに聞いた。

「何言ってるんだよ、想像石はイメージを具現化するんだぞ?」

こいつらわざとか!? この世界でその冗談は本当になるから止めろって言われてるのによ。あの島のやつら全員海に落ちるぞ……。

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