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押さえつけられてる理由

美来達は何とかしのいでいたがだんだんと的に押され始めていた。

「美来ちゃん! 後ろ!」

「えっ!」

ーードカッ!

「きゃっ!?」

美来はヘルバの足元に投げ飛ばされ木の枝に拘束された。

「っ!? 美来!」

レゲインはその光景を見て焦ってしまった。

そのせいで目の前に母親が現れたとき後ろに尻餅をついてしまった。

「なっ……!」

「レゲイン!!」

バムがその間に入り蹴り飛ばした。

だがその瞬間入れ替わるようにしてメランが目の前に出てきた。

「しまっ……!!」

次の瞬間、バムはレゲインの方に投げ飛ばされていてバムがいた場所にはルウブが槍を持って攻撃を受け止めていた。

メランを押しのけると槍を持ち直し突くが全て避けられている。

「おっと、お前ってさ捕まってたんじゃなかったか?」

「てめぇが手を回したんだろ」

「けれど、脱獄してまで来る理由は何かな? もしかして、弟を助けに来たとか?」

ルウブは睨みつけるだけで答えることはしなかった。手を止め一旦槍を払い片足を後ろに引く。

メランはそれを余裕の表情で見ていた。

ルウブは地面を蹴り槍を振りかぶる。所々にフェイントをかけ次に避けられた時、槍を地面に立てメランを蹴りつける。

メランは全てを受け止めていたが二、三回受け止めたところでルウブが槍を支えにしてメランを飛び越え後ろから蹴りつけられた時には防ぐことができず前によろけた。

「ぐっ! っ!!」

ルウブは距離を詰め槍の柄で脇腹を強打させ反対側から斬りつける。

その瞬間メランは得意げな笑みを浮かべた。

ーーシャッ!

「……っぐ!?」

斬りつけた槍を跳ね返しメランの陰から伸びた黒い影が後ろからルウブを斬りつけた。

「フハハハッ残念だったな、前と性能も変わってねぇのによ!」

背中から血が滴る。ルウブは痛みに歯を食いしばりなんとか立っていた。

「まさか、お前ってさカクランと違って痛みに弱いのか?」

「だったら、っ、なんだよ?」

するとさっきまで斬りつけてきていた陰が足や腕に絡みつき押さえつけた。



カクランは屋上からその様子を見ていた。

「ルウブ……なんで、ぐはっ」

リガーティオは背中を踏みつけ直した。

「知ってるか? 私みたいに魔女の力を借りれば他人の体を乗っ取れるんだよ、あのブラックドラゴンもね」

「……っ!! じゃああのドラゴンも本人じゃないのかよ! って事は……!」

「気がついたかな? ルウブは死ぬ事はないのよ? 面白いよね、今度は立場が逆なんだから、お前は私達に殺されていく仲間を見てから死ぬの」

カクランの脳裏に記憶の奥底に封じられていた光景が浮かんだ。

自分が友達やクラスメイトを仕方なく斬っていく。

あの時、僕は、僕の目には皆んなが襲いかかってくるのが見えたんだ。殺すことしかできなかった。死にたくなくて皆んなの命と引き換えに自分を守ってたんだ。

カクランは下の光景を見ながら涙を流していた。

「このまま見てるのも美来やルウブ達と引き換えに恐怖から自分を守っているのと同じだ、誰かの命と引き換えに自分を守るなんて……最低だ」

カクランを縛っていたロープに水色の火がつき燃え尽きた。

「っ! お前っ!」

手をつきリガーティオを払って距離をとった。そして護符を取り出す。

「リガーティオ……僕はあの時のことを今まで忘れてたんだ。謝っても許してもらえないのは分かってるだけど、最後に言わせてくれ、ごめんね」

「最後? ……!!」

リガーティオが動こうとした瞬間足元が水色に光った。

「お前っ!! よくも! やめろー!」

手を伸ばしその場から逃げ出そうとした時そのまま前に眠るようにして倒れてしまった。

カクランはそれを受け止め落ちない場所にねかせた。

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