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王が来た理由

「もうそんな事になったのかよ、早えな」

ルウブは美来から連絡を受け報告だけ聞くと一方的に通話を切った。

そして代から降りると伸びをする。

「はぁ……こんな薄暗いところともおさらばだな」

腕に刺された点滴の針を抜く。すると、警報が鳴り響いた。

「お? マジかよ……」

オレが一回出てったのを学習してそんな機能つけたのか。

ーーガチャッ!

「おとなしくしろ! っ!? 貴様、何で麻酔をされてたにも関わらず動ける」

「悪りぃけど、それは答えれねぇな。ドラゴンの秘密だよ」

そう言うとルウブはドラゴンの姿へと変わる。

部屋より大きなルウブは建物を崩して降りかかった瓦礫を払う。

止めに来た看守達はその光景に腰を抜かしているものや逃げ出すものがいたが誰一人瓦礫に潰されたものはいなかった。

それを確認したルウブはその場から飛び立つ。誰一人それを止められる者はいなかった。



その日美来達は教室には行かず授業をサボりグループルームに居た。

「美来の夢の通りだと、出来るだけあの教室に同じ状況をつくらねぇようにするのがいいだろ」

「そうだけど、それ信じるの? 夢だよ?」

「それよりさ、カクランどうすれば助けれるかな?」

バムとレゲインは机の一点を見つめて一言も話さなくなってしまった。

二人共やっぱりカクランが担任やってくれる方がいいんだ、それに、普通に心配してくれてる。

ーーガラッ!

突然開かれたドアの方を見てバムは息を呑む。

そこに立っていた男は銀髪で長い髪を垂らしてこちらを見ていた。頭にはレゲインの物と似た耳の垂れたコールがつけられていて横のヒラヒラが長かった。結んである先も長いのか後ろで揺れている。

「レゲイン・リフレインっていうのはきみか?」

ドアの開く音とは裏腹に落ち着いた声をしていた。

バムはそこでようやく口を開いた。

「グラン・ビストレ王……何でそんな人が」

「誰だそれ?」

「ゲレイン今呼ばれたのに知らないの? あの人、アマルフィ王国の王だよ」

グランはすたすたと歩きレゲインの前に立つ。

「君がレゲインか?」

レゲインは笑いかけられ戸惑うも頷く。

「そうか、残念だったな。君には脱獄の共犯者の容疑がかけられている」

「はぁ!? 何でだよ? 誰の脱……まさか」

「君も聞き覚えがあるはずだ、ルウブ・グラシエース・カランスのことを。昨日の晩牢を破壊して脱獄に成功した、まぁ、脱獄したことよりもだ、牢を破壊された事に怒っているんだ!」

レゲインはその言葉に少し呆れた。

「んじゃあ何か? ムカつくから俺を捕まえに来たってか?」

「いいや、正当な理由でだ。脱獄犯の手伝いって方で捕まえる、同行を願うよ」

「嫌だっつったら?」

グランは剣を抜きレゲインに剣先を突きつけ睨みつけた。

はっ、逃げるんなら命はねぇぞってか?

レゲインは椅子から立ち上がると一瞬油断をしてしまったグランの腕を蹴り上げ剣を落とさせると脇腹に蹴りを入れる。

チッ塞がれたか……。

後ろに下がり紙を取り出す。

「ネーベル」

床に魔法陣が展開されグループルームから廊下まで全体が一瞬で霧に覆われた。

「レゲイン! どこ行くの!」

「ちょっと!」

霧が晴れるとレゲインとグランの双方ともその場から消えていた。

「レゲインは?」

バムはハッと我にかえり窓を開け外を覗く。


外ではレゲインとそれを追いかけて出てきたグランが向かい合っていた。

「アロウ」

グランは魔法陣から放たれる矢を全て剣で切り落としてしまった。

「っ……」

「これしき防げないとでも思ったのか? おとなしくしろ」

レゲインは後ろに下がり隙を見て逃げようとした。

「っ!? なっ」

一瞬で後ろに回られ剣を脇腹に突きつけられた。

少し動こうとすると殺気を感じ振り向いた時には蹴り飛ばされていた。

「ぐはっ! うぐっ……」

起き上がろうとしたところ背中を足で踏みつけられ首筋に剣を突きつけ直された。

「まぁ、逃げるな。落ち着け」

「づっ、これを落ち着けだと!?」

「そうだ、常に落ち着いているのが戦闘の基本だろう? それに、逃げなければ殺さなくていい」

そう言うとレゲインの上から足をどかし剣を鞘に収めた。

レゲインは危険でないと判断すると起き上がり服を払う。そしてグランを警戒した目で見ていた。

「君の携帯の電波をたどったんだ、来てもらうよ」

「わかったよ……」

三階の窓から心配そうに見ている美来に“大丈夫だ”と笑いかけて行った。

バムはそれを見て少し引いていた。

当然だろう、レゲインはそんな笑いかけるようなガラではない。

美来は自分が罰を受けることを望んでいるカクランとは違う笑いかけを見て、レゲインは大丈夫だと安心した。

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