鍵がかかっていない理由
エートスデュナミス、個性的な能力。それはドラゴン、魔女以外の人間とティーアンにだけ使える特有の能力だ。個性的で能力を使う者の本性のようなものに影響をされたもので性能はそれぞれ違うらしい。
「私は戦闘的な能力じゃなくピッキングの能力だった、まぁ便利だ事でおかげでここに居るだけで好きなものを恵まれる。これでいいかな? もう話は終わっただろう?」
美来、バム、レゲインはもういいと判断し出口に向かう。最後に後ろで、
「でも、その子達ならここにいてもいいんだよ? 二度と出さないけど」
と、聞こえたのは気のせいだった事にした。
だが、すぐにそんな事はどうでもいいと美来は思った。何故なら地上に戻る時ひんやりとした廊下で数人の教師に連行されるカクランとすれ違ったからだ。
カクランはさっきまでの調子で笑って前を向いて歩いて行った。
「カクラン……カクラン!」
「おい! 美来」
「美来ちゃん!?」
美来はカクランのところに走っていき後ろで縛られている腕を掴んだ。
「カクラン……」
「何かな?」
「その……お願い、死なないで」
カクランは意表をつかれ唖然として美来を見ていた。そんな言葉をかけられるとは思ってもいなかったからだ。
その言葉に対して返事を考えていると思いつく前に引っ張って連れて行かれてしまった。
するとすぐそばの牢から美来にスィミアが話しかけてきた。
「主人公は理不尽にも回されるものに対応して、メインに影響され周りの人に大きな影響を与えなければいけない。周りの人に憧れられなければいけない。そこで質問、君は、良くも悪くも、誰に影響を与えた? 君を見ている人はこの先どうなるかな?」
「えっ? 私が誰に影響を与えるの?」
「フッフフフッ、君はまだ何も知らないのか、質問を質問で返すなんて。それに答えるための知識もない。まぁ、頑張る事だよ」
スィミアは軽く手を振って垂れ幕の奥に戻っていった。
夕食後、美来はバムに何故隠すのかは分からなかったがレゲインに無石を改めて渡された。
部屋で寝ようとベットに腰掛けた時、ルウブから預かった箱が目に入った。
何となく引き出して見ていたが箱の裏に貼っていたメモを見つけた。
「あっ!? 私が書いたんだっけ……頼まれてたのに」
夜十一時にも関わらず美来は部屋を飛び出し男子寮に入った。
皆んなが驚いて美来を見ている中シャンが美来に飛びついた。
「美来、何しに来たの?」
「えっ? えっと、レゲインに話が……」
首に腕を回してぶら下がってくるシャンに何とか耐えて立っていた。
身動き取れないよ、私、そこまで力もちじゃないっ!
「おい、シャン、放してやりなよ。君は頭がおかしいのか? 一番よく知ってるだろうレゲインがまともにこっちと仲良くしてるわけないだろ?」
「えっ? じゃあレゲインの部屋は?」
シャンは美来から降りて腕を引きレゲインの部屋の前に案内した。その様はまるで背の高い弟が背の低いお姉さんを引っ張っているようだった。
「ここだよ、でもね、ドアノブ回したら爆発するから気をつけて。俺も前に吹き飛ばされたから」
「う〜ん」
それでよく生きてるよなぁ〜。
美来はノックなど色々してみたが開かないので寝ているのかとも思った。
あと残る方法は、メールか電話ぐらいなのかな?
メールを送った瞬間ドアが開いた。小さく空いたドアの隙間からコールの耳の部分と髪だけが見えた。
「シャンは入れんなよ」
美来は隣にいるシャンを見ていたが全く動かない。そこでレゲインはドアを思いっきり開けシャンなぶつけて、美来の腕を引いて部屋に入れドアを急いで閉めた。
美来をその場に置き、パソコンの前のクッションが巻かれた木の椅子に腰掛けた。
「んで、何だ? ……って! お前、パジャマできたのかよ」
「う、うん、寝ようとしてたところだったから。それに、レゲインだってパジャマじゃん」
「そりゃあ自分の部屋だから、当たり前だろ」
さすがに部屋では厚着はしないんだ、ん……にしても、レゲインのパジャマ、何処かのお金持ちの家の子供みたい。可愛いな。
「で、何の話だ?」
「あ、えっと、ルウブに連絡したいの」
「そんな事かよ、メールで言ってくれりゃあ連絡先送ったのによ、はいっ」
レゲインはルウブに繋ぎ美来に携帯を投げ渡した。




