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エリオスを捜す理由

「えっカクランが何したの?」

バムは困りながらも憶測だという事を先に伝え二年前の話をする。

二年前、この学校で起きた学級崩壊は魔女との契約者とカクランのせいで起きたものって事。

「皆殺しにするのに先生も入ってたかもしれないって事」

「そんな……だってカクランは人を殺せないんだよ? ましてクラス全員殺すなんて……」

バムとレゲインはポカンとして美来を見ていた。

み、美来ちゃんが……。

キツネの特徴をしっかり覚えてやがる。

「二人とも酷いっ! 私だって覚えてる時は覚えてるの! 特に人に関する事なら覚えやすいの」

レゲインは深呼吸をしてその場に珍しくあぐらをかいて座った。

「確認のしようがねぇんだ」

バムと美来の方を見てフードを外す。

「本人に確認するしかねぇだろ」

「でも先生は今……!」

後ろから視線を感じ振り返るとそこには、話を聞いて青ざめ立ち竦むカクランがいた。

「っ……お前達……」

美来はその様子を見て聞かせてはいけない事を聞かせたのだと気がついた。

「先生、二年前の事件、先生が殺った……」

「バム! やめてあげて!」

「ふぇ? 美来ちゃん?」

バムは美来が血相をかけて質問を止めに入ったのが理解できなかった。だが、すぐに気がつく。その言葉のせいでカクランの様子がおかしくなったことを。

「な、何を……アレは僕じゃない……僕は……っ!」

カクランは苦しくなり膝をつく。そして、見えないはずのものが見えた。

何で……僕の手に、服に、髪に、血がついてるんだ?

顔を上げると血に染まった木造の教室がチラチラと見える。だが、責任を感じて近寄ってくるバムも見えた。

バムがカクランに触れようとするとカクランはバムの手を払いのけた。

「僕に……近づくな、これ以上もう……」

その声は震えていて、やっと喉の奥から出たかのようだった。

過呼吸になり倒れたカクランを偶然駆けつけたヤギはおぶって美来達に注意をし、病室を後にした。

「そんな、カクランそんな事しないよね? ねぇ……」

「でも、あの様子だと殺したのは事実かもよ? 美来ちゃん、止めてくれたのにごめんね」

「えっ? 止めたけど謝るのはカクランに対してでしょう? 私はバムに何もされてないよ?」

何で、カクランはクラス全員殺したのかな? でも、あの怯え方……。

その様子を見ていて考え込んでいたレゲインはベットから降りると二人のそばに来る。

「そういえば、エリオスって霊がいたはずだけど。そいつに聞けば分かるんじゃねぇか?」

そういう事でエリオスを捜し、話を聞いた。

「え? 二年前の事件? 私に聞くのかい?」

バムが前にでた。

「だって、その、エリオスしか死んだ人居ないからぁ〜」

エリオスは袖と袖に手を突っ込み腕を組む。

「そうだねぇ、私に聞いたのは間違いとでも言っておこうかな?」

「どういう事だよ? お前、未練があってここにいるんじゃねぇのか?」

「未練があったのは私の魂の欠片なわけで、未練の部分が無い魂本体の私には、その記憶が無いんだよ?」

バムとレゲインは無駄足だったと肩を落とした。

美来は首をかしげる。

その事件の事は忘れてても、クラスの状態は覚えてるんじゃ……?

「あの、カクランの居たクラスってどんなんでしたか?」

「それは……カクランはクラス内で二番目ぐらいに強くて、妬まれて虐められてたね、それでも本心から明るく振舞ってたよ」

美来はバムとレゲインの方を向きなおる。

「でもさ、先生が虐められたぐらいで殺すかな?」

レゲインも美来もそれに返せる返事は思いつかず黙り込んでいると、エリオスが三人の間に入り込んできた。

「もし知りたいのなら、図書館に行ってみたらどうかな? 校長は意外とそういう資料を書き残してるし、レゲインの成績ならそこに入れるはずだよ?」

美来は頼むようにレゲインの目を直視した。

「分かったよ、探しやあいいんだろ」

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