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駆け込んできた理由

ーーガラッ!

「レゲイン!!」

どこでレゲインが美来の後に倒れたのを聞いたのかツノメが駆け込んできた。

バムと美来を押し退けベットの横に駆け寄り顔を覗き込んだ。

バムは呆然としている美来の横に行き耳元で同意を求める。

「うわっ嫌な奴……」

「でも、あれ、レゲイン嫌がるんじゃないかな?」

「確かに、目が覚めたら不機嫌だよ」

それにしてもなんか、あのツノメって子に友達が取られそうな嫌な感じがする……バムもこんな感じだったのかな? 私はこれからも先三人で仲良くしたい。

バムは美来の肩をつっつき耳元でこっそり話をする。秘密の話が済むと美来の目を見て“ね?”というように笑いかけた。

美来はその話にニッコリして頷いた。

そうだね、レゲインがあの女の人と付き合うなんてあり得ないよ。まずそんなイメージ無いし。

「あれっ? バム、レゲインと仲悪いのに」

「そりゃあ、まぁ、嫌な奴だけど。別に嫌いじゃないよ」

「そっか」

だが、そのことはいいとして今目の前で繰り広げられている光景に美来もバムも哀れみとゴミを見る目でしかレゲインとツノメを見ることができなかった。

「レゲイン……私寂しいよ〜構って〜」

眠っているレゲインの手をとって頬ずりをしている。

美来、バムは心の中で同じ事を思って引きつった顔をする。

しばらくレゲインの手には触れたくないっ!

「美来ちゃん、忘れても私が切ってあげるね」

「異論はないよ」

ーーガバッ!

レゲインは目を覚まし眠い目をこすり、そっと手の違和感を確認する。

「ん? ……は?」

その光景に目を輝かせうっとりと見つめるツノメと目が合い、レゲインは一瞬固まる。が、次第に表情を変え震えていた。

「なっ……ぁっ……」

「ンフフッ」

さらに手に頬を当てる。

レゲインは完全に頭が混乱していた。

見られた見られた見られた触られてる、しかもこいつっその香水の匂いと舐めたであろう口紅のついた唇を当てやがった!

レゲインは一瞬我に帰ると、手を引き離しツノメを窓の外に蹴り飛ばした。

その後はフードをかぶり布団を被り膝を抱えて手を拭きながらブルブル震えていた。

「れ、レゲイン? 大丈夫?」

「ぁ? ……何が? あんな爆弾」

バムは美来の肩に手を置き首を振る。

「ティーアンはね、人間よりで匂いも人並みにしか感じない人が居るの。それに対して並みのティーアンは嗅覚もそれなりに、香水とか化粧品の匂いが全くダメな人が居るの。アレみたいに」

「へぇ〜それで変わった香りのシャンプーだったんだ、意外といい香りだよね」

そこにツノメがボロボロになって戻ってきた。

レゲインに突き飛ばされたことが腹立たしいのか膨れている。

「あなた達、よくあの先生で我慢できるね」

美来とバムは同じ方向に首をかしげる。

それを見たツノメは腹を抱えクスクスと笑いだした。

「知らないの? あの先生、二年前に自分のクラスの同級生、皆殺しにしたんだよ?」

バムだけでなく震えていたはずのレゲインも立ち上がり布団を下ろして反応していた。

「レゲインとパンダの子知ってたの? 私はこの事を伝えようとしてここに来たの。気を付けて、あの人といると周りの人は平等に見てくれないから」

本当にそれだけ伝えに来たらしい、そのままレゲインに手を振って出て行った。

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