うなされる理由
ここは……夢? でも、はっきり見える、意識もはっきりしてて……。
美来は多分夢の中で教室の席についていた。
周りを見るとバムはいつものように楽しそうに両肘を机について授業を聞いている。レゲインもつまらなさそうに授業を聞きながら口の中で飴を転がしているようだった。
だが、前で立って授業をしているのはアウラーで、ナーゲルは珍しく起きていて周りを警戒していた。不自然なのはその二つだけだった。
何でカクランじゃないんだろ……前に立ってるアウラー先生も何か浮かない顔してるし。
ーーバシャッ!
突然アウラーの体を何かが貫いた。血を吹きながら倒れていく。
「あっ……そ、そんな……」
美来はあっけに取られてしまった。
その時教室の扉が勢いよく閉まり黒い影が周りの生徒を次々に貫いていく。
それなりに避けているものもいたが窓を割ることができず外に出られない。
バムは美来の手を引いて扉から出ようとする。後ろの扉をレゲインが開けようとしたがビクともしないのを見たバムは青ざめていた。
「そんな……何で、ここに閉じ込められたの?」
「くそっ! バム、美来!」
レゲインに叫ばれて後ろを振り向いたが手遅れだった。バムは美来を突き飛ばし無残にも切り刻まれてしまった。
「嫌だ! バム!!」
「おいっ! 気を取られんじゃねぇ!」
美来の方に行こうとしたレゲインの目の前にナーゲルが突き飛ばされて横の壁にぶつかり床に落ちた。
「んな……!」
レゲインは何とか美来の近くに行くが残りの生徒三人の一人、シャンシャスが刺されて中に浮いているのを呆然と見ていた。
「レゲインっ! ど、どうしよう」
「落ち着け……くっ」
レゲインの明らかに動揺した表情に美来はレゲインが自分自身に言い聞かせているのだと思った。
シールドを作り出し止めるも長くは持たず破られレゲインは黒い影のようなものに刺された。
「がっ! ゲホッ……っ、逃げろ……」
いつもは気を使わないレゲインが美来に逃げろと言っていた。
「いやっ!」
レゲインは薄っすらと目を瞑り力なくその場に倒れて息耐えた。
美来は力が抜けたように座り込み側で倒れていたレゲインの服の袖に手を触れた。
その先にはバムが倒れている。
「何で……こんな」
周りは囲まれていた。美来の頬を涙が伝った。
夢の外では苦しそうにしている美来を見てバムは体を揺すって起こそうとしていた。
「美来ちゃん? 大丈夫?」
レゲインはそんな事を気にしている場合ではなくなっていた。石を取るとき美来に触れてから立つのがやっとで壁に手をついている。
何だよこれ、何で眠気に襲われて……。
美来は悪夢から目覚めてバムとレゲインを涙ぐんだ目で交互に見る。
「美来ちゃん?」
「よかった〜夢だ」
相当嬉しかったのかレゲインとバムの首に腕をかけて抱きしめる。だが、レゲインとバムはベットに叩きつけられる形になりとても抱きしめられているとは思えなかった。
顔を向かい合わせにベットに押し付けられているレゲインは向かいのバムをじっと見た。
「お前、何考えてパンダの姿になったんだよ」
「ちょっと別のこと考えたらいきなり拘束されたから」
レゲインは何とか抜け出し立ち上がる。
バムはそのまま人形の様に美来に抱きしめられていた。
「っ……」
これって、大量に想像源吸収してた石取った反動で美来に俺の想像源の大半取られたからか……。
レゲインは立っていることができずそのまま眠り倒れてしまった。
「レゲイン!」
美来はバムをその場に起きレゲインに駆け寄る。バムも人の姿になりレゲインの横に立った。
病室に入った時フードを脱いでいたのでぐっすり気持ちよさそうに眠っているのがわかった。
「バム、どうする? 私、もう平気だしレゲイン代わりに寝かせていいよ」
「そうだね、美来ちゃん、ゲレインベットに寝かせるの手伝って」
「うん、もちろん」




