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胸騒ぎの理由

美来は森の中にいた。ひんやりと湿った土の香りがする。だが、それは現実ではなく夢だと分かる。

「何で……私、寝不足じゃなかったのに」

少し周りが霞んで見える。

目の前をレゲインが通り過ぎた、だが表情は目が霞んでいて全体的によく見えないので分からなかった。

目を凝らして見てもやはりよく見えない。

「レゲイン!……」

呼んでも聞こえていないのかこちらを振り向かない。

……あ、夢だからそうか、意識ある方がおかしいんだ

レゲインが行く先に金髪の長い女性らしき人が軽く腕を広げて立っていた。声は聞こえないが何かを喋っている。

美来はそれを見て胸騒ぎがした。


「……来!……美来っ!」

「……レゲイン?」

美来が呼ばれて目をさますと倒れた時に支えたのかレゲインが美来を抱えて座っていた。

「ふぁ〜……あれ……今なんかレゲインが森の中で」

「お前、どっか打ったのかよ? 袖引っ張っていきなり倒れやがって……寝不足? それとも何も食ってねぇとかか?」

美来はレゲインの腕から離れ立ち上がる。

「痛っ……んぅ、怪我してる……レゲイン、知ってたのに教えてくれなかったでしょ?」

「面倒かったし、つーか、今まで痛くなかったのがおかしいだろ宿の方行くか? お前受けて止めたせいで服汚れたし」

美来はレゲインの服に土がついているのを見て自分の髪に砂がついているのに気がついた。

レゲイン……教えなかったからじゃん、自業自得だよ


エメの家で部屋を借り美来は髪を洗ってレゲインは洗濯機の前でフードの付いた上着の乾燥が終わるのを待っていた。

「えっ!? 今から? ……うん、分かったバムは何もなってないよね? ……そう」

美来はカクランからの通話を切って髪留めを付け用意をする。

「美来? キツネ達からか?」

「うん、今すぐ来てって、魔女に追われてるらしい……カクランは浮かれてたけど」

レゲインは扉のところで呆れたように美来の方を見た。

「どういう意味だよ……?」

「綺麗な金髪の女性が僕から逃げてるって」

「……逃げてる? キツネが逃げる方じゃねぇのか?」

「バムがその魔女に追われてるんだよ、行こう」

美来は用意をするとレゲインを置いて先に出て行ってしまった。

レゲインはそれをよそに洗濯機を眺めていた。

金髪……ん? キツネのやつキャラ変わってね?

そして出口の方を見る。

「美来のやつ、行って何できんだよ?」

レゲインはフード無しに外に出るのが嫌で洗濯機が止まるのを待っていたが、そのまま出て行こうか迷っていた。



美来はバムが来るであろうところに先回りをしていた。

「よし、ここのはず……」

銃を片方取り出し深呼吸をする。イメージをしバムを待つ。

足音が聞こえる。

「っ……はぁはぁ……しつこいよ!」

「! バム! 避けて!」

「へ!?」

いきなり進行方向に現れた美来に驚くが言われた通り横に避けた。美来がバムの方に銃口を向けていたからだ。

ーーパンッ!

美来の銃からは網が飛び出し魔女の方にかかったかに見えた。

カクランが追いつき網を確認するが魔女は居ない。

「カクラン、捕まえれた?」

「逃げられたよ、ん? レゲインは?」

「あれ? ついてきてない……」

美来はここでようやくレゲインが付いてきていないことに気がついた。

カクランはふわ付いている美来を見て苦笑いをしていた。

美来が分けたのに……僕がレゲインといるべきだったんじゃないかな……

そんな考えもよぎったが教師は安全のため同伴しているので危険と判断されない限りカクランはこの班の依頼に手出しができない。

もっとも、危険な状況になったとしてカクランが助けになるかは分からないが。


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