爆発の理由
カクランと別れた後、美来はバムとレゲインと訓練所に来ていた。
ーーパンッ!
「変な夢?」
「うん、何か意識がはっきりしてて視界だけぼやけてるの。起きても寝た感じしないし」
「美来ちゃん、眠りが浅かったんじゃないの? それと、夢の話なんて美来ちゃんから初めて聞いたけど……」
バムは今まで美来に夢の話を持ち出したりもしたが見た事すら覚えていないので全く話にならなかった。
レゲインは武器庫の方から銃やライフル銃、弓を持っき来て隣で弓を引く。
美来は銃を置きレゲインの方を見た。
「あれ? レゲインって飛び道具使ったっけ?」
「……ほんとだぁ〜、いつも魔法なのに弓なんて弾けるの?」
レゲインが矢を放つと的の中央近くに刺さった。
バムと美来は感心して的の方を見ている。
「意外といけるな……」
「「初めてだったの!?」」
「当たり前だろ? 俺、実物の武器なんて使ったことねぇし。それに」
的の方を見ると矢が勝手に抜けてレゲインの手元に戻ってくる。
「あ!? 磁力使ったの? ゲレインずるい」
「射った時は使ってねぇよ……」
ーードンッ!!
大きな音がしてレゲインとバムは美来の方を見た。
的の方を見ている美来は予想以上の威力で爆発した的を見て驚いている。
的は粉々になり壁には焦げ跡が付いている。
「美来ちゃん大丈夫? 何か暴発したみたいな」
「うん、大丈夫……普通の弾撃ったはずなのに……またイメージ失敗しちゃったのかな?」
レゲインは的から離れた所に美来が撃った弾が落ちているのを見つけた。
「……力加減失敗しただけだろ? あそこに落ちてんの普通の弾じゃねぇかよ」
それか想像石の暴走……美来の想像源の量が増えてんのか?
美来とバムが笑いながら話しているのを見て考え込んでいたレゲインは前の魔女の襲撃後ヤギと話していたことを思い出した。
「軽度の火傷だねぇ〜何の魔女と殺り合ったのかなぁ〜はははっ」
レゲインは痛いというのに楽しそうに話して力強く手当てをするヤギを睨んでいた。
「爆撃の魔女だよ、普通の魔法じゃ手が出せねぇ相手で……」
「それで自分の魔法使ったんだねぇ〜磁力の魔女のレゲインちゃん」
「魔女じゃねぇ!」
ーーガッ!
レゲインはヤギの顎をひざ蹴りした。
ヤギは床で転がって悶えていたがそれでも口は止まらなかった。
「けれど、レゲインちゃん、魔女の力あっても逆井さんとパンダちゃんは別に拒絶なんてしなかったんだし良かったじゃない」
「ちげぇよ、あいつらにとって害のないって分かってる奴を親だけで拒絶するのがおかしいって考えるのが普通なだけだ……本当は魔女の子に慣れたらいけねぇんだよ……」
全ての魔女の子どもが俺みたいな奴とは限らねぇし……魔女側に着くやつだっているんだ
「……馬鹿なやつら」
レゲインは小さく呟き口元に笑みを浮かべた。
「そういえばバム、カクラン元気そうだったね」
「何が? 先生いつも元気で明るいじゃん一片の曇りもない目で」
「でも昨日何か寂しそうにしてたよ? 笑ってたけど、珍しいなって……何かある気がするの」
もしかしたら今までずっと何か誤魔化すために明るく振舞っているのかな? けど、明るい時も違和感とかないし……
するとレゲインが美来に携帯を差し出した。
「あれ? レゲインって携帯持ってないんじゃ……」
「元から持ってんだよ持ちあるかねぇだけで、ルウブにつなげてみたんだ」
確かにゲーム好きのレゲインがゲームができるスマホなどを持っていないのはおかしい。
美来はレゲインから黒い携帯を受け取り耳にあてる。
レゲイン……スマホをゲーム機と間違えてないかな?
しばらくして、着信音はなるものの中々出ない。
『もしもし……かけるんなら夜にしろよレゲイン……あ? お前……誰?』
「えっ? ……あ、美来です。えっとカクランのことですけど……」
『敬語やめろ……は?』
ルウブは真っ暗な中点滴などに繋がれて台の上に座っていた。
「カクが何か隠してねぇかって? ……へぇ、心配なのかよ?」
からかうような笑った口調でルウブは聞いたがルウブが思っているような返事は返ってこずがっかりして肩を落とす。
『うん……心配だよ?』
「なんだ……つまんねぇな、嘘なしで答えるなら」
ルウブは姿勢を戻し床につかない足をぶらぶらさせて続ける。
「カクが何隠してるかは言えねぇけど、あいつは元からああいう性格だよ。オレが殴ったり骨折ったりしても軽くキレるだけで直ぐに明るい顔してんだ、気にすんな」
『でも……カクランは……』
「何だよ? 本人に聞けばいいじゃねぇか、それにオレが帰る前に頼んだこと忘れたのか?」
『えっ? うんん、それは覚えてるよ』
「じゃあもしもの時にだけにしろ、オレは忙しいんだよ」
ルウブは通話をブチ切りし携帯を見つめる。
オレが抵抗しないせいで……面倒くせぇな
少し身震いをして服の一番下に携帯をしまい寒気のする肩をさする。
「このままだと風邪ひくな……責めてマフラーぐらいつけてぇのに」
台の上に仰向けに寝転び目を瞑った。




