一緒にいる理由
「え、じゃあここって旧校舎?」
「……まぁ、そんなところか」
シューネの話では館は二年前まで校舎として使われていたらしい。
「二年前の惨劇の後、私の家がこの土地を買ったんだ……実は親に上がるなって言われてたんだけどソテがね……」
「ふ〜ん、惨劇って?」
ナーゲルもシューネも美来を驚いたように見ていた。きっと知っていて当たり前のようなものなのだろう。
美来はそれらしき事を何度も聞いていたが忘れてしまっていた。
「魔女の襲撃の事だよ、知らないのか?」
「……うん」
ナーゲルは呆れたようにため息をついた。
「ここで大勢の生徒が死んだんだよ」
「……忘れちゃったらごめん」
「どうぞご勝手にお忘れください、所詮人間風情が知っても意味ないよ」
シューネのその態度に美来はさすがに頭にきた。だがよそを向いて深呼吸をして怒鳴るのを我慢する。何故なら自分が忘れてしまうかもしれないところで問題を起こすわけにはいかないからだ。
「ナーゲル!!」
ーードカッ!!
シャンが走ってきて美来を突き飛ばしナーゲルに飛びついた。
「痛い……ううっ」
シャンを含めナーゲル、シューネで話を始め美来は突き飛ばされたのに気にもとめられず少し惨めな気持ちになった。
やっぱり馬鹿にされるのはムカつく……バム、レゲイン……
「何で全然人に会わないの……」
「……そりゃあ向こうも動いてるんだから、それとさっきから同じところ歩いてる」
バムはナーゲルの呆れた声での指摘に立ち止まり、ナーゲルに行く道を決めるよう目で促した。
「はいはい、こっちが決めればいいんだね」
ナーゲルはバムの少し斜め前を歩く。
「君ってティーアンなのに人間と仲良くして、レゲインをハーレムの主人公みたいにしてよく平気だ……ね……っ」
「別に美来ちゃん優しいからいいんだし! ゲレインは私は反対だったんだから」
ナーゲルは本気で睨まれたので静かにすることにした。
「ナーゲルは何でシャンシャスと居るの? まるで保護者みたいなんだけど」
「歳の離れた弟みたいなもの、家族じゃないけど君は何年生きてる?」
「私?……十六年で十五歳」
「シャンは八年で十六歳、こっちは三十年で十八歳……同じ年に生まれてもそれぞれ歳の差のせいで関わりにくくなったりするんだよ」
バムは自分達より何年も生きているナーゲルを疑った目で見た。
「大人気ないね、人を差別して……」
「他のやつの方がこっちよりもっと長く生きてるのに?」
美来達のところに向かっている方向からレゲインが走ってきてナーゲルを膝蹴りで飛ばし、美来の横に着地した。
「れ、レゲイン……ナーゲル置いて逃げたんじゃ?」
「関係ねぇだろ」
レゲインはフードを深く被って美来に泣いているのを見られないようにしていた。
ナーゲルは起き上がりレゲインに怒鳴りかけた。
「何するんだよ!?」
「うるせぇよ偽物、その頭につけてるコールどうしたんだ? 本人の方はコール取られてしかも腕に怪我してたはずなんだけどよ」
レゲインは逃げたもののグールに襲われているナーゲルを陰からこっそり見ていたのだ。
「まぁ、シューネとシャンがそいつをどうしようと知らねぇけど。美来、こんな奴らと言われるように行動する前にバム探すのが先だろ?」
「ふぇ?」
レゲインがいつも言わなさそうな事を口にしているので美来は言葉を理解するのに時間がかかった。まるでレゲインの方が偽物に見えてくる。
「……早くしろよ、行くぞ」
美来があまりにもぼけっとしているのでレゲインは手首を掴んで立たせ、早歩きで引っぱって行った。
「何だあれ……」
「ナーゲル? えっと、レゲインの言うようにそのコールどうしたの?」
「え? いや、これは一旦外に出て……」
ナーゲルが言いかけたところでシューネが口を挟む。
「偽物か……もしドッペルゲンガーとかだったら本人が危ないね」
シャンはそれを聞いて不安にかられ目の前のナーゲルをすごい勢いで降り始めた。
「な、ナーゲルだよね!?」
「ぎ、ぎもちわるい……」




