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入った理由

「ううっ……触らないで!」

ヴェーリはさっきからずっと気がおかしくなったように騒いでいた。そんなヴェーリにクロもバムも困り果てていた。

「何でこうなったの……」

「何か見たんでしょうね……まともに話せないですし、気を狂わせるものでもあったんでしょうか?」

「気を狂わせる?」

ーーホーホー

どこからかフクロウの鳴き声が聞こえた。

「原因はこれですね……ソテさん大丈夫でしょうか……手がかりを見つけられるといいのですが」

「手がかり?」


レゲインはある部屋を見て部屋の中で突っ立っていた、未だにおさまらない涙と苦しさに耐えながらその場で起きたことを考える。

「……この教室、生臭いし血の跡」

何があったんだよ……あいつの所有地なのに教室みてぇで……!

「知りたい?」

振り向くと幽霊らしき男が壊れていない机の一つに座っていた。

「あぁ、君、驚く事ないよ。私は元々霊力が高かったから基本誰にでも見える」

警戒をして構えていたレゲインは緊張を解き普通立つ。

「そういう事……お前は話せるまともな奴ってことか?」

「ハハハッ面白い事言うね、魂の欠片をまともな奴だなんて思わないほうがいい」

袴のような服を着ていて袖と袖に手を入れてうでを組んでいる。

「自分が不幸だなんて思わないほうがいい……」

「何が言いてぇんだよ? ここは何か知ってんのか?」

「知らずに居るはずないだろう? ここは二年前の惨劇の場、旧校舎だよ。私を含めて三十人がこのクラスに居た、私を含めて二十八人がこの場で死んだ……」

ーーガラッ!

「二十八人? 一人残して全員じゃないのかしら?」

突然シャンを引きずったソテが教室に入ってきた。

「ソテ……っ!?」

レゲインは突如襲ってきた眩暈によろめき机に手をつく。その手元にはいじめられたような痕跡があり文字が彫られていた。

「お前っ……何でここに」

「フード脱げているけどいいのかしら? 可愛らしい……私は元々二年前の惨劇を調べる為にここに来たのよ?」

ソテはふらついているレゲインに近づき顔を覗き込む。

「っ……何だよ?」

「泣いてたのかしら? もしかして取り憑かれた?」

ソテが顔を近付けるのでレゲインは払うように後ろに下がった。

手をどかした下にあった文字を見て驚く。

そこには、カクラン・アニールと書かれたシールが貼られていた。

「どういう事だよ……これ」

「見ての通り、このクラスの一人だよ。明るい子だったね……かなり強かったし、そのせいでこのクラスは崩壊した」

「……あのキツネが? 何で」

「人間に近い奴がティーアンより強いとそれを妬む奴がいるんだよ、仕方ないだろう?」

レゲインは名前を睨むように見つめていたがそのまま力が抜け気を失い倒れてしまった。


「いやーだ!!」

ヴェーリが今度は子供のように騒ぎ出してバムとクロは耳を塞いでいた。

「何の騒ぎだ……っ……」

後ろから声がし振り向くと腕を押さえたナーゲルが居た。服に血がにじんでいるので怪我でもしているのだろう。

「ナーゲル……ゲレインは?」

「ゲレイン?? レゲインの間違いだろ……あんな奴知らないよ、グール見た途端一人で逃げてこっちは後から気がついて襲われて」

「じゃあその腕グールに噛まれたの? ほおってたら壊死するよ?」

「知ってる、治せるもんなら治してる」

ナーゲルは痛みをこらえながらバム達のそばまで来た。

「……ナーゲルはシャランシャラン探しに行くんだよね?」

「何その擬音……探しに行きたいけどな」

「じゃあナム○一緒に行こ、私も美来ちゃん探したいし」

「ゲーセンの名前にするのやめろよ……」

バムはカラーの写真を取り出しそれに竹串を刺して包帯を取り出し、ナーゲルの腕を止血して包帯を巻き、引っ張ってヴェーリとクロから離れて行った。

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