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青ざめた理由

外で箱を抱えて切り株の上に座っていたルネンの元にカクランが歩いてきた。

「せ、先生!?」

「何でそんな驚くんだよ?」

カクランの横には明かり代わりの狐火が浮いていた。

ルネンは遠くから来るものが幽霊か何かではないかと思ってビクビクしていたのだ。狐火を見てこないだの物も同じものだと気がついた。

「先生の能力だったのですね……」

「何が?? それよりこんな所で君みたいな子が何してるの?」

「そ、それはですね……私は箱を押し付けられただけで……」

ルネンは一通り説明をした。

「そう……こんな館にね、明らさまに霊がいるのに……」

ーーゴーン、ゴーン

低い鐘の音が突然響きだした。体の芯まで振動させられるぐらい大きな音が鳴り続けている。

「な、なんなのですか?」

「っ……この館、一回も鐘なんてなった事ないのに」


美来とシューネは耳を塞いでその音に耐えていた、胃が振動させられうまく話せない。

「何で鐘なんて鳴ってるんだ……」

「苦しい……」


クロ、バム、ヴェーリも耳を塞いでいた。

「うへっ、頭が揺れてる……」


ソテは音が鳴り止んだ所で側にいたシャンシャスが目を回して気を失っているのに気がついた。

「ちょっと! 起きなさいよ」

シャンはなかなか起きなかった。


ナーゲルとレゲインは耳を塞いでしゃがんでいたが、音が鳴り止むとナーゲルは顔を上げた。

「何だったんだ?今の……おい、立てよ?」

「っ……」

レゲインは頭を抱えたままうずくまって動こうとしない。

ナーゲルが腕を引き無理やり立たせるとフードが脱げ耳や頬を赤らめて泣いているのが分かった。

「何で泣いてるんだよ?」

「知るかよ! 俺が知りてぇよ……ヒック……涙が止まらないんだよ、勝手に」

「……!」

レゲインとナーゲルの目の前を半透明な人が壁をすり抜けて通り過ぎていった。

「君は、幽霊見た事あるか?」

「いいや、俺は霊力全く無いに……等しいから見た事ねぇな……」

「同じく……君ほどじゃないけど霊力は弱いから見た事ないんだ」

レゲインは鼻をすすり涙を拭きながら周りを見る。

「ケホッ……ここおかしいよな? かなり歩いたはずなのに……っ曲がっても階段すらねぇじゃねぇかよ」

「……泣きながら言って台無しだな」

「うるせぇ! ……ううっ」

レゲインは絶えず流れてくる涙を袖で拭っていた。

「レゲイン、君は取り憑かれたんじゃ……」

「ま、まさか……!」

レゲインは何かを見て後ずさりを始めた。

ナーゲルはレゲインを見て嫌な予感がした。

「な、何だよ? 何かあるなら……」

「っ……」

レゲインは青ざめた顔をして走って逃げて行ってしまった。

ナーゲルは後ろを見て青ざめる。


レゲインは後ろの方でナーゲルの叫び声がしたのを少し気にしながらも逃げていた。

「っ……何でグールなんでここにいるんだよ」

この世界でのグールはゾンビから感染能力を抜いたものでほぼゾンビと変わりはなかった。ある研究でできたものだったり元からいた魔物とも言われていた。

ーーダッダッダッダッ

「っ!?」

窓を叩くような音と振動に足を止め部屋に面した窓を見る、そこには無数の手跡が付いていた。

「……これじゃあ本当に幽霊屋敷じゃねぇかよ」


「早く走れ!」

「む、無理だよ……」

後ろからは小さい牙のある煤をかぶった爪が鋭い人型の物体が追いかけてきている。

角を曲がった所でシューネは美来の腕を引いて教室のような部屋に引きずり込んだ。

追いかけてきていたものは標的を見失いどこかへ去っていった。

「さ、さっきのは?」

「マサンっていう魔物の一種だ……こんな所に居るなんて、ここは霊の巣窟か?」

「でも、何で?」

シューネはちょっとした心当たりがあるようでどこかの一点を見つめて黙り込んだ。

ーーガッ!

「ぐっ……!?」

突然シューネに血塗れのワンピースを着た女が嚙みつきにかかった。

「し、シューネ!」

鋭い爪でシューネを引き裂こうとする。

「逃げろ! 早くっ……」

するとドアが開きその女を蹴り飛ばす者が来た。

抜け出したシューネの腕を引き外に逃げ出す。美来もその後を一緒逃げて行った。

「ナーゲル!? 何でここに……」

「偶然見つけたんだよ、本当はシャンを探してたんだけど……」

レゲインといたはずのナーゲルが助けに来ていたのだ。

「れ、レゲインは? レゲインはどうしたの?」

美来が心配そうに聞くのでナーゲルは目をそらして答える。

「一人でグールから逃げやがったよ……モーラまでこの館にいるなんて」

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