呼び出された理由
美来達はソテなどに呼び出され島の一角にあるお化け屋敷のような館の前に来ていた。
「遅かったじゃないの!」
そこにはソテやクロ以外にもクラスの者数名が来ていた。シャン、ナーゲル、ディールスに羊のルネン、他に美来が名前を聞いていない男女二人がいた。全体的に白い服を着て白い耳のような髪飾りをつけた黒髪の女の方がソテの肩に手を置き美来とバムを舐めるように見回した。
「ウフフ、ソテが読んだにしてはまともだ」
「うるさいわね! その言葉遣いなんとかしなさいよ!」
「誰がするか、ソテこそその魔女みたいなのやめたらどうだ。そんな事より、レゲインはいないのか?」
美来とバムは呆れたように顔を合わせている。
二人の後ろにレゲインがひらりと着地した。
「ゲレイン、来てたの?」
「行かねぇなんて一言も言ってねぇし」
「さっきバムが幽霊怖がってこないって言ってたの信じちゃったじゃん」
レゲインは美来の話を聞きしまったという顔をしているバムを睨みつけた。
「誰が言った、誰が」
「み、美来ちゃんの記憶違いだって」
「お前な、美来の忘れやすいのを何だと思ってんだよ」
美来とバムの間をかき分けてレゲインは前に出てきた。
女はレゲインのフードをつまんで顔を覗き込もうとしたが手を払われた。
「んで、何すんだ? こんなボロい館で」
銀髪で黒い服を着て変わった黒い髪留めで髪の束を止めた男が出てきた。
「ボロい館とは失礼じゃないか、私の家の物だ、私が何と言おうと勝手だけれど他人にとやかく言われたくないね」
「誰がどう見てもボロい館だけどな」
女と男が睨み合いを始めた。
「ねぇ、あの二人は?」
「あら、美来さん知らないの? 黒髪の女子の方は黒い虎で、ヴェーリ。銀髪の殿方は真っ白な孔雀でシューネよ、スカイアイランドの貴族らしいの」
「スカイアイランド?」
美来はまるで自慢話のように目を輝かせて紹介するソテに嫌悪感を抱きながらも質問をする。
「仕方ないわね、スカイアイランドっていうのはその名の通り空の上に浮いてる島なのよ、橋で繋がってて一つの国として存在してるのよ」
その話し方をみて美来はソテとは気が合わないと悟った。きっとこの事は忘れないだろう。
「皆んなさ、ごちゃごちゃやってないで本題に入ってくれないか? こんな館の前でシャンも怖がってるんだ」
シューネが睨み合いを止め前に出てきた。
「見ての通り、この館は幽霊屋敷だ。バカバカしいとは思ったんだけれど、ソテがくどいから貸すことにしたんだ、肝試し用の館としてね」
シャンとクロ以外の全員がソテを白い目で見ていた。
特に怖がっているシャンにひっつかれているナーゲルは怒っているように見えた。
「てめぇ、何考えてんだか分かんねぇな」
「分からなくて結構よ」
レゲインはソテの態度にイラっとしていた。
ソテの奴何考えてんだよ、下手したらただじゃ済まねぇだろ……
「君さ、分かってるの? この世界の霊がどれだけ危険か、霊力の強い人何人かいれば話は別だけどさ」
ディールスがここで初めて口を聞いた。
レゲインもナーゲルも同意見のようでディールスの話に頷いていた。
「えと、いいですか? このメンバーで何で私も呼ばれてるのです? 帰って良いのですか?」
ルネンが不安そうに手を上げて聞いた、するとそれぞれの間を誰かが通り過ぎた感じがした。気のせいかと前を見るとクロが鍵付きの箱を手にしている。
「あっ!? わ、私のピンは?」
バムはパンダのフードを頭に留めていたピンが二つ取れていることに気がつき慌てている。ピンが無いせいかレゲインのようにフードで顔が隠れたため、フードを脱いだ。
「あれ? レゲイン、髪飾りは?」
「……美来だって取れてんぞ、あいつだろ」
レゲインはコウモリの髪飾り、美来は左右につけていた髪留め、ナーゲルはアイマスクと他はそれぞれ動物を象徴するコールといわれるものが取られていた。
「ルネン、この箱を持ってここで見張っててほしいの」
ルネンはソテに言われクロに渡されるがまま箱を受け取った。多分その中には美来の髪留めと皆んなのコールが入っている。
「この箱の鍵はこの館の何処かに……って! わ、私の帽子はどこよ!?」
ソテは説明中帽子を直そうとしてその耳がついた帽子が無くなっているのに気がついた。
「あ……すみませんソテさん、ソテさんのコールも箱に入れました」
「すみませんって、入れましたってワザとよね……その箱オートロックだから開けられないのよ!? とりあえず皆んなこのくじ引いてペア組んで」
皆んなが戸惑って嫌がっていると、ソテは混乱しているのか箱に取り付けた爆弾のスイッチを皆んなに見せた。
ソテのコールも爆発するが皆んな自分の体の一部を爆発させられたくないので仕方なくくじを引きそれぞれペアを組み館に入っていった。




