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権力を使う理由

レゲインの元にバムと美来が話を聞きに戻ってきた。

レゲインは爆発に巻き込まれたせいでボロボロになったフードの付いた上着を脱いで上を見上げて立っていた。

「レゲイン、上に何かあるの?」

「は? ……別に、魔女が引いて行ってるのが見えるだけだよ」

美来は服以外はほぼ無傷のレゲインを見てホッとしてにっこり微笑んだ。そんな美来を見たレゲインの表情も少し緩んでいるようにも見えた。

「ゲレイン、それで……」

「説明しろってんだろ?」

バムはレゲインを見て頷く。

「俺の母親は魔女なんだよ……」

美来はよく分からないのかただ聞いていたがバムは驚いていた。

「じゃあさっきのって」

「母親から受け継いだ力だ」

魔法は魔女やドラゴンでない限り基本的に魔法陣無しでは使えない。


レゲインは幼い頃、お母さんと二人で暮らしていて力の使い方など教えてもらっていたらしい。そんなお母さんを信頼していた。

だが、ある日レゲインを依代とし強い悪魔を憑依させようとした。それはまだ幼く魔力も弱かったため失敗に終わった、でもお母さんは怪我の治ったレゲインにもう一度同じことをしようとした、そこでレゲインは逃げ出し追いかけてきたお母さんを殺めてしまった。


「その後父親と再会したけどあんまり話をした覚えはねぇな……それに、その後からもずっと魔女達が追ってくるんだ……」

その話を聞いた後、バムがお腹を押さえて笑い出していた。

「どうしたの?」

「だ、だって……それに巻き込まないようにって他人の危険は自分が警戒するためのものって言ってたのに矛盾してるじゃん」

レゲインはむすっとしてバムを見ていた。

「何だよ……」

「つまり、レゲインは私達に嫌われたり怖がられたりするのが怖くて言えなかったんでしょう? 巻き込まないためじゃないよ、臆病者」

「うるさいな、お前だってだろ! 美来に見捨てられるのが怖くて魔女と契約したくせに」

唐突に暴露話しが繰り広げられていた、美来の知らない場所でいろんな事が起きていたようだった。

「私だけじゃないよ、美来ちゃんだってレゲインがあんな態度とるから自殺か何かされるんじゃないかって……」

「わーぁあ!! バム!! やめて!」

バムは美来までも言い争いに巻き込んできた。

美来はとっさに飛びかかりバムの話をやめさせに入った。

そこにフラサとルウブに肩を貸したメアリが来た。ルウブは爆発に巻き込まれたせいか怪我を負っている。

「レゲイン、ありがとうございます。そんな警戒しないでください、別に私達は魔女の子だからと差別するような事はしませんよ?」

フラサはメアリに同意を求めるようににっこりと笑いかけた。

「まぁ、そういう人は側にもいるしね」

必要にルウブを気にする美来達を見て説明を始めた。

「ルウブは気にすることないよ、レゲインが言ったことが本当だったら爆発に巻き込まれて疑った自分を咎めようとしただけだし」

「……メアリ、もう少し女帝のように話してもいいんじゃないですか?」

ルウブはメアリに敬語でそう言い、手を払って自分で立った。美来達の前に出てきて気まずそうに目をそらす。

「その……悪かったな、まぁお前らがごたごたやってんの面白かったけどよ、退学まで追い込む気は無かったんだよ」

美来とバム、レゲインは“えっ?”というようにルウブを見て固まっていた。

ルウブはまるで美来達の行動をみて楽しむために教頭に親について調べるように差し向けたような言い方だったからだ。

「それで、オレはカク以上に教頭に嫌われてる、そこでメアリに頼んで教頭に退学を無しにするようにしてもらうから、チャラでいいだろ?」

「そんな簡単に俺の退学を無しにできんのかよ?」

するとメアリが得意げに話し始めた。

「もちろん、ドラゴンの中でこれだけ壊された建物を直せるのは私ぐらいだし、それを条件に出せば折れざるおえないでしょ」

「メアリさん、こういう所で女帝の力を使うのはあまり好んでいなかったのでは?」

「私は融通の利かない人じゃないので、それに滅多に使わないからこそ使える特権だよ」

フラサは少し引いたような表情をしていた。

メアリさん時々あなたの国民が心配になります……


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