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慌てる理由

「いってぇな! 何なんだよいきなり人を蹴飛ばしてさ」

いきなり、蹴飛ばされて、倒された。本当に何なんだよこいつら。さっきから俺を尾行してきて、その上蹴り飛ばしやがってよ。

美来を睨むと慌てて謝りだした。

「ご、ごめんなさい! 蹴とばすつもりはなかったんです!!」

バムは、ジーと見て肩の力を抜いた。

「魔女じゃない、よかったぁ〜」

魔女? 何言ってんだ?

「俺のどこが女だよ、魔女なわけねーだろ」

バムは死体のことを思い出し慌てる。

「大丈夫じゃなかったぁ〜木に引っかかってた人、君が殺ったの!?」

こいつ、話聞かねーやつだ。

「はい? 何のことだよ? 殺ったって……俺知らねーけど死体なんてあったのかよ?」

二人が安堵のため息をつく。

確か、こいつら。

「えーと?バムと美来(びらい)?」

美来は、慌てて訂正しようとする。

美来(びらい)じゃない」

あれ? 違った?

「あー、美来(みく)?」

俺って記憶力そんなにもなかったっけ?

美来(みく)じゃないよ」

美来(みらい)ちゃんだよ! だいたい、君は、だれなの?」

フードの子は少し間を空けて答える。

「レゲイン。てかよ尾行しといて疑うとか、しかも、蹴り飛ばすってよお前らどうかしてる」

美来は、自分が一番責められてる気がした。

「本当にごめん…」

美来はまた、謝る。

「美来ちゃん謝んなくていいよ、だって暗闇の中でうずくまってた方が悪いって、それに真っ暗な中何してるの?」

謝んなくていいって……蹴飛ばされた俺の身になってくれ。

「こないだ無くしたものを探してたんだよ、高価なものだし」

レゲインは下を向きそう言った。真っ暗なのに一体どうやって探していたのだろう?

「暗くて見えないのに?」

美来が迷いもなく聞く。

「俺、コウモリだし、お前らと違って真っ暗でも平気なんだけど?」

通りでつまづくわけだ。

「じ、じゃあさ、あれ殺ったの誰?」

バムとレゲインは美来を見て考え込む。

「俺は、殺ってねーからな! てか、その死体ってどこにあったんだよ?」

無実を主張して場所を聞いてきたのでバムと美来はレゲインを死体のある場所に案内する



「これだよ」と、バムは死体を見る。

美来は見ないように俯いた。

「うっ、ひでぇ、腹が斬り裂かれてんじゃん。つーかさあのナンパしてた奴に報告した方がいいだろ?」

ごもっともです。

下手に疑われやすそうなことをするよりいいだろう。

「私、カクランに言ってくるね!」

バムは、走って行った。

二人になり、気まずくなる。数分たってレゲインが美来の方を見てきたので、美来は更に居ずらくなる。

「お前ってさ、人間?」

「えっ!? そ……違うよ!」

いきなり"人間?"と聞かれて思わずそうだと言いかけたが、バムに言われたことを思い出し否定する。

「嘘だろ人間のくせに。じゃあさ、逆に何なんだよ?」

「え…そ、それは…ね、猫!」

パッと思いついたことを言うが、レゲインは疑った目で見る。

「知ってるか? 魔女って一目見ただけでそいつが何の種族か分かるんだとよ」

そう耳元で囁いてきた。

「ひっ…」

鳥肌が立ち少し身を引く。

「なんだよ、俺男だって言ってんだろ魔女なわけあるかよ」

確かにそうだった……。

「ご、ごめん……」

何故か美来は謝る。

「大丈夫だよ、お前が人間だって誰にも言わねーし。それとよ、昨日は悪かったな。あいつら俺に喧嘩売ってきてよほっといたら石を取り上げてそのまま美来の所に飛んでっちまってよ」

美来は、驚いた。

謝れない奴だと思っていたが謝ってきたからだ。

「謝れるんだ」

思わず口に出てしまった。

「なんだよ……まるで俺が謝れない奴みたいに言うなよ」

そうだと思ってたからだよ。



「あれ? カクランどこ? ここでナンパしてた筈なのに」

キョロキョロしていると牛の女の子に話しかけられた。

「どうしたの? カクラン探してるの?」

「へ? うん……」

この世界の不利な所。

先生なのに歳下だったりして生徒と区別がつかない事がある。社長にタメ口を聞いてるなど日常なのだ。

「えっと、カクちゃんなら向こうで昼食を食べてるよ? 朝食は食べれないくせにお昼は凄く食べるんだよね。どうなってるのかな?」

と、上を向いて考えだす。

もしかして、この人先生? って、カクちゃんって……先生じゃなくて、キャバクラのお姉さん? カクランの愛人の一人!?

バムは一人でありもしない事を考えていた。半分は冗談のつもりだったが。

カクランのいる店の前につくが店の中で夢中で昼食を食べているのを見ると話しかけずらい。

怒られたらどうしよう。

「あれ? 美来は?」

カクランの方が気がついて出てきてくれた。

事情を話しながらあの場所に連れてくる。



カクランは、死体を見て口を開く

「ふーん、で、三人とも何でロープの内側にいるんだ?」

「えっ…」

レゲインは言葉に詰まる。

「あ、いえ、レゲインが入っていくのが見えたので私達は止めようとしただけです」

美来はしれっとそう言った。

「って! おい、お前な!」

レゲインは美来につっかかる。そんな事をよそに、カクランは連絡をした。

「アウラー、死人が出た魔女が犯人かは分かんないけど、とりあえず報告を頼んだよ」

それだけ言って通話を切る。

「三人とも悪いけど一日、質問責めにされるかもな…」


言われた通り、質問責めにされて疲れた。レゲインはフードをまた深く被っている。

「疲れた……でも魔女ってどんなの?」

美来はレゲインに聞くが反応がない。

「ねぇ?聞いてる?」

フードの中を覗くように見ると、座ったまま居眠りをしていた。

見ているのに気がついて目を覚ました。

「あ? なんて?」

やっぱり柄が悪い。学校に居たら不良に居そうだ。

「だから、魔女って黒い服被っておばあさんで、緑色の肌で、鼻が長いの?」

そう聞くと、吹き出された。

「プッハハハハどこの純粋な子供だよ?」

「ハハあのよ、普通の人で云う魔女ってどんな奴だ? ハハハッ」

いくら何でも笑いすぎだ。

魔女、現実でいう魔女といわれると。男を奪って捨てるという漠然としたイメージがあった。

「そんなに、笑うことないじゃん」

頭にきてそう言った。

「魔女は、そんなプッ……い、異星人みてぇな、くっふふっ……肌してねーよ」

もう、いっそのこと我慢しずに笑ってほしい。

「もっと、人間ぽくてそれぞれ個性的な服着てるよ。男を騙したりもしてるなそれに、魔力が高いな」

レゲインのいい方はあったことがある人をそのまま説明しているようだ。

そんな事を話していると、バムがやっと部屋から出てきた。

「ううっ…何もしてないのに怖いよ…」

怒鳴られたのだろう涙目だ。

「バム、大丈夫?」

美来はバムを心配する。

「今日は、もう帰っていいって」

疲れているのだろう落ち込んだような声でそう言った。


外に出ると真っ暗で一人だと歩けそうになかった。

美来たちが連れてこられた場所は、立ち入り禁止の場所の奥にある建物で不気味な森の中だった。

「早く帰ろうぜ」

レゲインは歩き出す。美来とバムもついて行った。

美来は遠くの方で何かが光っているのが見えた。

「何あれ?」

美来は二人にそう問う。青色の光だ。

「んー、なんだろうね?」

すると、レゲインが急にその光に向かって走り出した。

「ちょっと? ゲレイン危ないよ、寄り道しずに戻れって言われたのに」

バムが心配してついて行く

「えっ!? バム待ってよ」

美来はその場に取り残されそうになり、バムのあとを急いで追った。

「はぁ……はぁ……あれ? さっきの光ここからだったはずなのに」

レゲインは暗闇に光っていたものがあるはずの場所まで来たが何もない。

そこへ、バムが追いつく。走っていたはずなのに息切れをしていない。

「マジでどこだよ、どうしょう」

膝をついて頭を抱えているレゲインを見てバムは聞く。

「ゲレインどうしたの?」

「俺の想像石が見つからないんだよ」

美来が虫の息で追いついた。

「バ、バム、速いよ……」

「美来ちゃん? これぐらいで倒れてたら危ないよ?」

バムが呆れたようにそう言った,

「お前ら先に戻ってろよ。俺、まだ探してるからよ」

レゲインは立ち上がり森の奥へと行こうとする。

「ちょっ! 待ってよゲレイン危ないって、魔女が居るかもしれないんだよ?」

バムがレゲインを引き止める。腕を掴んで居るがレゲインの方が力が弱いようだった。

美来はその様子を見て首をかしげる。

あれ? 気のせいかな?

そんな疑問は心の中にしまっておいて口を出す。

「何でそんなにも急ぐの?」

レゲインは力を緩め美来を見る。

「想像石は、持ち主がいないと周りの記憶を元に建物とか人物を実体化させるんだよ。そんなんで、事件でも起こされたら没収されるよ。誰か拾ってくれてればいいんだけどよ」

俯いていて暗い表情をしていた。

「じゃあ、その……」

美来が言いずらそうに言い出したのをレゲインとバムは不思議そうに見る。

「何だよ?」

なかなか言い出さないのでレゲインがそう聞く。

「明日の放課後一緒に探すからさ、今日はもう帰ろうよ?」

なんかあったら、私とバムが責められるし。

レゲインは不服そうにしていたが一応美来の提案に従ってくれた。

「……分かったよ、絶対だぞ」



「まず、想像源ってんのは目に見えない粒子と同じようなものでほかの物質に変化しやすいんだ」

カクランはいつもの調子で授業をする。

「周りの空気に混ざってて触れた気体と同化する。まぁ、基本それ以外は特にないけどな、周りのもの以外に生き物それぞれに蓄積されるものがあってこれは、能力を使う時などに消費されて、またしばらくすると回復するけど底をつくと命に関わる。だがごくわずかしか消費しないから滅多にないし、鍛錬次第で魔力、霊力と一緒に消費するのも抑えられる」

美来はじーっと聞いていたがやっぱり意味が分からない。

え?つまりなんなの?

ゲームでいうMPに生命力を加えたものなの?

とりあえず美来は自分なりに頭の中で考察していて半分ぐらい話を聞いていなかった。

お昼を過ぎてからは授業がない。

この世界の構造上、一ヶ月が六十日もあるのでそこまでやらなくてもいいだろう。ということらしい。

「えっと、外にいる時は一人で行動しないように。あと、グループごとの一人、鍵持ってってくれ」

カクランの言葉に周りがザワザワしている

一人が、あくびをしながら聞く。

「すみません、グループって?」

カクランは、一瞬だけ顔をしかめる。

「あ……んと、ほらよく二、三人の仲良いグループつくって行動してんだろそれでいいんだよ」

適当さが出ているがそう答えた。

レゲインが手を挙げる。

「俺、一人です」

その一言に全員がレゲインを見る。恐ろしく寂しいセリフだった。

でもまぁ、一人だということには納得がいく。普段はフードを深くかぶり暗い雰囲気で誰も寄せ付けない感じがするからだ。今もフードを深く被っている。

そんなレゲインにカクランは、

「バムと美来がいるだろ」

そう言いくるめた。

それぞれが鍵を取る。

「これから必要なグループだからな。あと、その部屋もな、以上。じゃあ。」

それだけ言ってカクランは出て行く。



「何でだよ、一人でいいだろうが……俺、男なんだけど。何で異性と居ないといけないんだよ、いずらいじゃねーかよ」

ブツブツと美来とバムの後ろを歩きながらレゲインは文句を言う。

「美来ちゃんと二人かと思ったのに」

バムはわざとらしくそう言った。

「ねぇ、この鍵ってどこの鍵?」

美来は二人の文句に触れないことにして鍵のことを聞く。

「ん、確かにどこのだろ?」

「鍵についてるタグに書いてあんだろ馬鹿か?」

確かに書いてあったでも。

「馬鹿ってなんなの? 私に言ってるの? 大切な物なくした人に言われたくないよ」

バムが、レゲインの“馬鹿か?”と言う言葉に反応した。二人の言い合いが始まる。

その二人をよそに美来はタグを確認する。

そこには『2F202』と書いてあったまるでホテルの部屋割りのようだった。


「あ、ここかな……?」

それっぽい部屋に着いたが、中も普通の教室の半分の広さで机と椅子が数台置いてあるだけだ。

「ねぇ、ここだよねーあれ?」

美来が後ろを向くと二人が言い合いながら部屋を素通りして行ったのに気がつく。

「本当は覗きでもしてんじゃないの?」

「なんで俺がそんな事すんだよ! てかさっきの話とどういう繋がりがあんだよ」

面倒くさい……二人は何の話をしてるのか。

「ちょっと! バム、レゲイン行かないでよ」

やっと気が付き戻ってくる。

「何だ? これ……」

美来達は中へ入った。

「教室だよね?美来ちゃん?」

何故かバムは美来に聞く。

「私に聞かれても、この世界の事知らないのに」

「美来ちゃんそれは言っちゃダメだよゲレインいるのに」

とバムは美来に耳打ちするが、聞こえていたのかレゲインが反応した。

「人間って知ってるよ今更隠してどーすんだ? ハム」

美来はまた違和感を覚える。

あれ? んん? 今のはわざとなの?

「何で言っちゃったの!?」

「バ、バム、ばれたんだって」

すると、後ろからカクランの声がした。

「知らない奴とグループ組むよりいいだろ?」

「カクラン、これってなんのグループなの?」

バムは当たり前のようにそう言った。

「バ、バム!? この見た目でも一応は先生だよ! いくら何でも呼び捨てはどうかと」

美来が指摘する。

「いやいや、いいよ呼び捨てで〜」

カクランが嬉しそうに髪をくしゃくしゃしながら笑っていた。

「で? カク何の用?」

レゲインが聞いた。

「あだ名で呼んでいいって言ってねーけど、それに女の子限定だし。えっとグループの説明ね」

カクランは訂正して話を続ける。

「ほら、生活費少ないだろ?」

話の途中レゲインが、

「俺達、用事あるからまた今度でいいよな」

そう言いながらカクランの横を通り抜けようとする。

ーードカッ!

「いってー!」

レゲインはカクランに殴り戻されてしまった、フードが脱げて殴られた首元をさすっている。

「わっ……ひっ……」

その光景を見ていた美来は震えて口を抑えていた。

「それで、依頼を受けて金を稼げって事だよまぁ、何処かの学園の奴と会うかもしれねぇけど」

構わずカクランは説明をした。

「どうやって依頼受けるの?」

バムも気にしていない。

「あーそこの端末で出来るよ休みの日とかにしかできねぇからな」

それだけ言って出ていった。



「何だよあいつ……いきなり殴りやがって」

美来はまだ震えている。

"いってー"で済むことなの!?

「でよ、昨日の約束覚えてんだろうな?」

レゲインは何事もなかったかのように出て行く。

「美来ちゃん?本当に行くの? 危なくない?」

「う、うん殴られそうだし」

震えながら美来はレゲインの後をついて行った。

「殴らないと思うけど」

バムもついて行った。


「見つかんないよーどんな形なの?」

バムがレゲインにそう聞くと

「丸い宝石の形に加工されてたはずなんだけどよ」

困ったように答える。茂みなどを探したが見つからない。

「あったかー?」

「ひっ、な、ないよ」

レゲインが美来に話しかけると、ビクッと飛び上がり震声でそう言った。

「何だよ……とって食おうってわけじゃねーのによ、んなに震えんなよ」

それはイラついているように聞こえた。

「い、いや……だって恐ろしい光景を見た気がして」

まだ少し震声で言った。

「恐ろしい光景? あー、さっきのね大丈夫だよ、んなに強く殴られてねぇし」

レゲインは平気そうにしている。

本当かな? てか、タフだなぁ……。

「んー、ないよゲレイン」

バムは草むらをかき分ける。



「んー……」

カクランは退屈そうにフォークで皿の上の豆を転がしたりつっついたりする。

何か別の仕事探そうかな……とりあえず、三年間やってから考えるか。

「カクちゃん? 食欲ないの?」

顔を上げるとアウラーが見ていた。

「うん、そうだね……先の事を考えると食べるどころじゃないのかな?」

困り顔でアウラーの疑問に答える。

「やりたい事がないから? でも、ここに入った理由って警備官になるためじゃなかったの?」

アウラーの言う通りだ、特に憧れるものは無かったが警備官をやってみたかったのだ。

「それより、魔女の事ってどうなったの?」

質問には答えず話をそらす。

「魔女はまだ皆んな探してるよ。ねぇ、校長見なかった?」

カクランは驚いてアウラーをみる。

「いって!う…首ひねった…あの校長が行方不明?」





カクラン・アニール

挿絵(By みてみん)


歳、18

性別、男

家族関係、秘密だよ

職業、教師

種族、狐

特徴、女好き

一言

「へ?一緒にお茶でもs…」

キャラ紹介でした。

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