居なかった理由
バムは美来と魔女の所に割り込んだ。
「美来ちゃんに何してるの!」
「フフッ何にもしていないじゃない、ただ話しているだけ」
バムは構える。
「私が何の魔女だと思っているのかしら?」
「えっ?」
魔女は手に美来から取った銃を構えていた。そして引き金を引く。
ーーカチッ
その音がした瞬間バムがいた場所が爆発した。
バムは腕に傷を負ったがギリギリで避け大きなダメージは免れた。
「っ……何で、何で美来ちゃんの武器で? それにこの威力」
「面白い武器ねぇ……この子の想像源を最大限に活かすためのものね」
もう一つの銃も一緒に構え同じように連射する。
バムは初めは避けられていたがだんだん避けられず擦り始めた。
「っ……美来ちゃんの武器だよ! お前なんかが使っていいものじゃない!」
バムに銃口を向け二発撃った。
直撃を受け吹き飛ばされたバムに更に銃口を向けた。
「ケホッ……!」
だがその銃の引き金は引かれることはなかった、足元から線のように魔女の体を伝った氷が手と銃を凍りつかせていたからだ。
バムの後ろの方からルウブが出てきた。
「バム、こいつを抱えてどっか行け」
ルウブは少し抵抗する美来を掴みバムに投げつけた。
バムは美来を受け止め、ルウブを見る。
「でも、いつから……」
「いーか、言われて一回で危険から逃げねぇ奴ほどうざいんだよ、さっさと行け」
美来を抱えて立ち上がると走って行った。
「んで、想像の魔女……あの子の罪悪感揺さぶって何がしてぇんだ?」
「あら? 逃しておいて私と乱戦でもするのだと思っていたわ、だって短気なんだから」
「自分が敵わねぇ相手ぐらい分かるよ、ただ見物してる時に思い出したんだよ……親父が最後に言ってた事を」
魔女は腕を下ろしニタリと笑う。
ルウブは目を細め魔女を見た。
カクランはレゲインの後をついてきている。
「っ……あー何なんだよ!! しつこいな!」
「しつこいって用があるからに決まってんだろ……」
それを聞いたレゲインは立ち止まりカクランの方を向いた。
「退学書……教頭から預かってきた」
「あっそ……」
レゲインはカクランから紙を奪い取り歩いて行ってしまった。
「美来ちゃん! 美来ちゃんって!」
バムはまるで魂が宿っていないように視点の合わない美来を揺さぶる。だが反応はない。
「美来ちゃん……ごめん」
バムは美来を叩こうと振りかぶったが避けられた。
「えっ!?」
「っ!? バム、危ない」
「普通避けないよ……」
「だって、怖かったから避けるよ」
美来を見て安堵の表情を浮かべ、思い出したように美来にあのノートを差し出した。
美来は驚いていたがゆっくりそのノートを受け取った。
「美来ちゃん、ごめんね中身見ちゃって」
バムの目を見て美来は横に首を振った。
「このノート……死んだ子のお母さんが書いたらしいんだよ、私のせいで……」
美来の話では小学5年、前半の記憶は自殺の瞬間を見たショックで無かったらしい。
その為、自殺した子が唯一仲の良かった美来にその子の母親がそのノートを書き、忘れて欲しくない一心で渡したらしい。
それでも美来にとってそのノートは“お前のせいで死んだのだからその罪を忘れるな”という足かせになっていた。
「美来ちゃん……そのノートの受け取り方は美来ちゃんが好きなように受け止めていいと思うよ、でも今の受け取り方だとその子のお母さんを疑ってるってことになるけどね」
「えっ? そんなつもりは全く」
「友達として覚えててほしかったからなんでしょ?」
バムがそう言うと美来は俯いて黙ってしまった。
「酷いことかも知れないけど、死人は有無を言わないんだから生きてる人だけ見て、死人は存在を覚えてるだけでいいの」
美来はバムを見てポカンとしていた。
「ご、ごめん……私達の考え方だから」
「うんん、そういえばレゲインは?」
「それが……美来ちゃん出てったこと俺のせいかよって怒って行っちゃった」




