表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
41/223

大丈夫な理由

カクランは崩れ去った建物を見て何かを思い出そうとしていた。

「カクラン、どうしたの? 帰るんでしょう?」

「いや、何か足りない気が……みんな居るよね?」

バム、レゲイン、美来はカクランを見て頷くが、いつも来るはずの痛みが無い。

「……あ、ルウブどこ?」

周りを見てもルウブの姿は無い、目につく場所に居ないということは瓦礫の下でくたばっているか先に帰ってしまったかのどちらかだ。

「んー、戻る?」

カクランは簡単にルウブを切り捨てた。

「ルウブは!? 」

「大丈夫だろ? それにこれで僕殴られないし」

と、喜んだ途端瓦礫が吹き飛びカクランを潰した。

「先生!?」

「カクラン!!」

建物の方を見るとドラゴンの姿をしたルウブが氷と瓦礫を破って出てきた。

美来はそれを見て子供のように目を輝かせていた。

「ワイバーンだ」

「美来ちゃん、ドラゴンだよ」

「え? でも二本足じゃん……」

ルウブは瓦礫の外に出ると体を震わせて鱗に引っかかった瓦礫のクズを振り落とし、人の姿になる。だが足取りはふらついており、出血の治っていない腹部を押さえている。

「美来……だったか? ワイバーンとドラゴンは元々区別なんてなかったんだよ、だから二本足でも……オレはドラゴンだ」

ルウブは怪我で苦しいのにも関わらずドラゴンについて熱弁を始めた。

この世界ではドラゴンの足の数は遺伝で二本か4本か決まりどちらでもドラゴンだ。ワイバーンも同じように二種類の形状があるがどちらも人が二人ほどしか乗れない大きさで野生動物の知能だ。

「分かったか?」

「……えっと……へ?」

「美来ちゃんはすぐ忘れちゃうから無駄だよ?」

ルウブは少し頭を抱えたが熱弁中と変わらず無表情で今度は袖で口元を押さえてくしゃみをしだした。

「くそ……クシュンッ! 最悪じゃねーか」

レゲインはカクランを押しつぶした瓦礫の上に上がる。とどめを刺す感じで。

だが瓦礫は持ち上げられレゲインがそこから下りるとカクランが出てきた。

「っ……帰るぞ」



フラサは背中におぶっているノイの携帯が鳴ったのに気がつき、ノイを揺すって起こす。

「な、なに……」

「携帯、鳴っていますよ?」

ノイは携帯を取り出しメールを確認する。

「……ルウブから、移動塔側から引っ張ってくれないと帰れないって」

「どうします?」

「どうって終わるまでほっとくのもアリだけど後が怖いから行こうよ」

フラサはノイを見てニッコリすると前を向き、移動塔へ走る。


ファルが移動塔に着いたときには負傷した美来、カクラン、ルウブと無傷のレゲインとバムが扉の前で座り込んでいた。

「おせぇよ、ファル」

「おせぇよ、じゃないだろ!」

ファルはルウブの頭を上から押さえるように掴む。

「ぐっ」

「お前以外の怪我、ルウブの仕業だろ、あ? てかメアリの時みたいに敬語使え」

敬語と言う言葉にカクランが反応した。

「えっ!? ルウブが敬語つかうのか!?」

ーードカッ!

カクランはルウブにぶん殴られ塔の一階まで落ちていった。

「あのキツネ、だ、大丈夫かよ……」

「ゲレイン何で私の後ろに隠れてるの、血生臭い」

「お前も血生ぐせぇだろ、俺よりひどいなに殺したんだ?」

「殺してないし! 一緒にしないでよね、相手は氷の塊に潰されたんだよ!」

美来はレゲインとバムの口喧嘩の様子をノイの治療を受けながら見ていた。

バムはレゲインを叩いたりなどするがレゲインは意外に手を出すことはない。

「ありがとう、えっと」

「ノイ」

「ノイ君? 小さいのにえらいね」

美来の言葉にノイは顔を赤くして固まってしまった。

ファルは腹を押さえて笑っている。

「ノイ、キャンディあんぞいるか?」

「うるさいな! ルウブの方がガキだろ! てか、それ氷じゃん! そのまま出血死しろ」

「別に、医療館あるし」

ファルがノイの肩に同情の意を込めて手を置くとノイは手を払いのけファルの顔の高さにジャンプして思いっきり蹴り落とした。

ファルは一階のカクランの上に着地する。

「ノイちゃん、ルウブ、怪我人を増やしてどうするんですか? ルウブはともかくノイちゃんは怪我人を治す為に来ているのですよ!」

ノイは少し反省している様子だが、ルウブは頑固なのか腕を組んでそっぽを向いてしまった。

だが向いた方には美来がいてバムとレゲインのやり取りに飽き、ルウブたちの方を見ていた為、目が合ってしまった。

「……?」

「ぅ……何だよ」

「大丈夫? さっきより寒そうだけど……」

「っ!?」

睨むように目を合わせていた相手に額に手を当て体温を確認され、振り払うように前を向いて目を瞑った。

「もういい」

ルウブは傷も治さず立ち上がり階段を降りて行ってしまった、座っていた場所から血の道ができる。

「まぁ、メアリが到着したみたいですし、ルウブは大丈夫でしょう」

美来はあの怪我を見て大丈夫と言えるのが信じられなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ