寒気の理由
「っ……!」
メランはルウブの氷結から逃れ、ルウブから距離をとる。
「足だけじゃ足りなかったようだね」
ルウブはその光景をしっかり見ていた、メランが一瞬黒いドラゴンの姿になり氷を割り元の姿に戻ったのを。
「ドラゴンにならねぇと逃げられなかったのか?」
「黙れ!」
メランはルウブに向かって走っていく。ルウブは突きをされる瞬間槍で水しぶきを上げ攻撃を避け槍での攻撃に入る。避けようとしたメランは氷の針に囲まれており逃げ道を失った。
槍はメランの服をかすっただけだがメランは後方に吹き飛んだ。
「……っ!」
ルウブは自分の攻撃が当たっていないことぐらい分かっていたがそれに関わらずメランが吹き飛んだのを見て驚き、更にマフラーが消えていることに気がつきメランの方を見る。
「クフフフッなんてな」
メランの手にはルウブの青いマフラーが握られていた。
「てめぇ……っ」
「ほら、約束だフルネームを教えてもらおうか?」
ルウブは歯を食いしばって黙り込んでいたがメランが目に止まらぬ早さでルウブへ突きの攻撃をする。
「……!!」
ギリギリで避けたが頬をかすった。
「嘘はダメだろう?」
メランはそこからレイピアを引きルウブを思いっきり蹴り飛ばす。とっさに反応しガードするも蹴り飛ばされ水を二、三回はじき体制を直して止まった。
「ケホッ……!」
更に向かってくるメランを見てルウブとメランの間に十メートル程の厚さの氷の壁が出現しメランは突如現れた壁に激突した。
「なにっ! ……そうか、凍らせられるのは水だけじゃないんだな?」
「さっきの水は凍らせやすくしただけだっヒックシュンッ!」
ルウブはくしゃみをし少し震えながら立ち上がる。
くそ……またかよ……
メランはルウブとの間にできた巨大な壁を見てどうしようかと策を練る。
いくらジャンプ力があるからといっても到底届かないであろう高さ、何メートル続いているかわからない幅。
「クッハハハッさすが、こうじゃなきゃな……デタラメな魔力」
メランはドラゴンへと姿を変え黒い炎を吹き付ける。
「っ……」
ドラゴンに戻りやがったか……十分ぐらいかかるは……!!
四本足の黒いドラゴンが氷の壁を突き破って出てきた。
「なにっ!?」
「残念……君のドラゴンになった時の姿、見てみたいな……」
ルウブは殴りかかってきた前足を避け足場にして上に上がり首元に突き刺そうとするが足場が消え人の姿になったメランに上から蹴りおとされた。
ーーバシャンッ!!
壮大な水しぶきを上げて床に激突した。
「ぐはっ……」
更に攻撃に来るメランを見てルウブは自分を囲むように氷でガードする。
誰があんな奴にフルネーム教えるか……
氷のドームの中で立ち上がる。ところどころ傷だらけで服もはおいの方はかなり破れていた。
「くそっ……」
メランがドームに足をつけた途端、氷のような水色の鱗をしたドラゴンがドームを突き破った。
メランは尾で弾き飛ばされ氷の壁に激突する。
そのドラゴンは二本足で透き通った翼をしている。だがメランのドラゴン姿より小ぶりの大きさだった。
「クッハハッ、そうか……まだ若いから小ぶりなんだな満足に成長も出来ていない」
ルウブはその青い目でメランを睨みつけ、翼を羽ばたかせ床を蹴りメランにかかるが避けられ、人の姿になり壁を蹴り床に降りる。
「避けんじゃねー!」
「だめだ……君は自分の力を充分に使いきれていない」
「あ? クシュンッ!……何がだよ?」
「魔力は魔女以上そこそこ素早い、けれど君の攻撃は隙はないもののぶれすぎている、それに今も君は人間の体質がドラゴンの体質に負けてしまっている……」
ルウブは確かに魔力がずば抜けて高い、だが全リーダーの父親には魔力の高さを理由に戦闘面はまだ触れるぐらいでいいと制限をかけていた、更に母親譲りの人間の体質がブリザードラゴンの体温の低さに耐えられず今のように厚着をしていないと寒気に襲われた。
「マフラーを取られただけでその様子だ」
「うる……ぐはっ!?」
一瞬でメランは目の前に来てルウブの腹部を刺した。ルウブはメランのレイピアを握る腕を掴み自分で手前に引く。
「ぐっ……これで、逃げられねぇな」
口の中に鉄の味が広がった。
メランはそのままの勢いで氷の壁にルウブを押し付ける。
「君もね、さぁ、名前を教えてもらおうか」
「誰が……」
ルウブが口ごたえをすると溝内を膝蹴りされる。
「がっ……」
ルウブのピアスに手をかけるとルウブの表情が一変した。
「これ、そんなにも大切なものなのかい? 残らないように壊してやろうか?」
「……ルウブ・グラシエース」
「ほう、諦めたか……その体、明け渡してもらおうか」
「! どういう……うぐっ」
ルウブは腕で首を押さえつけられ、息苦しさに襲われた。
途端、氷の壁が崩れルウブとメランを直撃した。
「うわぁぁぁ! カクラン! 下ろして」
「何言ってんだよ! 下ろしたらあいつらに殺されるって」
カクランと美来はゾンビのような者に追いかけられていた。
目の前からも現れ挟み撃ちにあった。
カクランは美来の傷が痛まないよう下ろす。
「くそ……!?」
ーーゴゴゴゴゴゴッ……
大きな地響きがなり、揺れが襲う。
「えっ? ……カクラン! 上!!」




