殺しにかかる理由
ピシャッ……ピシャッ……
床に薄く張った水の膜の上を歩く足音がする。
ルウブはその場から動かずじっと足音のする方を見ていた。
「クフフフッ……別にあんな人間死んでしまっても構わなかったのだけれど? 迷路の魔女はそれが嫌だったようでね」
その先からは黒髪で黒目のメランがレイピアを手に持ち肩にかけて立ち止まった。
「誰だよあんた」
あの目……ドラゴンか?
メランは花の刻まれた鉄の板についている紐を持ち前に出す。
「! ブラックドラゴン……何でここに」
確か今のリーダーはこいつじゃない……誰だよ
「戦う前に君の名前を聞いておきたい」
「は? 誰がお前なんかに教えるかよ、つーか誰?」
「シュヴァル・メラン……らしい、君は?」
「嘘で本当か……まぁいい、ルウブ」
ルウブは氷のような槍を取り出し構える。
「ん? 名前だけ?」
「フルで教えたら何があるんだろ? じゃあこうしようじゃねーかオレの身につけてるもの一つでも取れば教えてやるよ」
メランはレイピアを持ち直し片足を前に出し構える。
「幻影の魔女の時みたいにか、ゲームが好きなのかな?」
ルウブ、メランはお互いに向かって走る。
向かってきたルウブの頭に三回の連続突き攻撃をするが一回二回と右、下と避けられ三回目はギリギリを避けられ前に迫られる。後ろに跳びのこうとするがルウブの槍の突きがくる、それを横に避けると蹴りが来て後ろへ飛ばされる。ルウブも後ろに飛びのいた。
「くそっ……」
「残念だったな、強さでも証明してぇのか? ピアスなんて小さい物狙いやがって」
ルウブが向かってくるので前に出ようとするが足元だけ凍っていて前に出られない。
「っ!!」
ルウブがいた場所から枝のように足元まで凍っている。
メランに槍の先が迫ってくる。
「み、美来ちゃん? 居ない……私一人だ」
後ろに下がると何かを踏んだ。
バムは足元を見る、そこにはファンシーの死体が転がっていた。
「一人じゃなくて死体が一緒!?」
最悪……靴に血が付いた……
「どうしよう……ゲレイン捜そっかな」
「うわぁ〜可哀想、友達に裏切られて……」
「!!」
バムは耳元で声がしたので振り返るがそこには誰も居ない。不思議に思いながら前を向くと竹やぶに変わっていた。
「……私の過去で同様でも誘おうとしてるの? 馬鹿らしい」
「君の記憶だよ……」
呆れたようにバムは目の前の光景を見ている。
バムが幼い頃の光景、同じパンダの女の子が幼いバムに勉強を教えている。楽しそうな二人、だがそれを見るバムは嫌いなものを見る目だった。
「何がしたいの? こんなの見てもイラつくだけだよ?」
「そうなの?」
「当たり前じゃん、美来ちゃんと居るからって私が人間と同じとは限らないよ? 自分を傷つける者は二度と味方になんてならない」
すると周りの風景が草原に変わり目の前に美来が現れる。
「……幻影じゃないの?」
「バム……」
美来は銃器とナイフを構えていた。
バムに向けて銃を撃った。
「っ!?」
バムには当たらなかったが頬を掠めたらしく血がにじむ。
「じ、実体!? 何で、偽物なのは確かなのに」
バムは頬を伝った血に手で触れて見て血なのを確認する。
幻影じゃない……これは、夢想の中だ……レヴェリーの魔法
ーーパンッ! パンッ!
バムは二発とも避ける。
「レヴェリー! 出てきてよ!」
前を向きなおすと目の前に美来が来ておりナイフで切りつけてきた。バムは避け二回目の切りつけで腕を掴み腹部を蹴り飛ばした。
「ギャッ!」
そのまま美来は一メートルほど吹き飛びむせながら身を起こしていた。
「レヴェリー!!」
「うるさいわよ! パンダ娘! パンテルはねあなた達には用ないの、あのドラゴンさえ生きていればそれで充分、他は死んでもらうんだよ」
「ゲレイン生きてたじゃん」
バムは声のする方を向きながら美来がかかってくるのに対応しながら話す。
「ゲレインって誰……何よ! レゲインちゃんの名前間違えないでよ!! 魔力の量でいくと第二級魔女に入る量なんだよ!」
バムは声のした方に美来を投げ飛ばした。
美来は何かにぶつかる。
「ぐっ……何するのよ!!」
美来が倒れている近くで不自然に草が沈んでいる。
……カメラで見えない物もおさめられるのかな? でもあれは写っているものしか……見えなくなってるのは大丈夫じゃないかな……
バムはカメラを使うのを諦め草の沈んでいる所を足払いする。すると、沈んでいる面積が広がった。
そこをバムは手を伸ばし掴む。
「ギャッ! 離して!! ふふふっあなた私を殺せるの?」
「……殺したことはないけど、拷問ならできるよ」
バムは手探りで見えないレヴェリーの腕を探す。
「キャハハハッ待ってそこくすぐったい!」
「あれ? ……」




